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160カ国で禁止されている致死性の家畜用医薬品をめぐる訴訟

 工場畜産に少しでも詳しい人なら、合成抗生物質、成長ホルモン、ステロイド、その他の不健康な化学物質が大量に家畜に与えられていることを知っていることでしょう。 そして、これらの製品は家畜の体内から家畜を消費する人間へと受け継がれるのです。

 工場畜産で使われる化学物質のひとつにラクトパミンがあります。 これにより、豚や七面鳥などの動物を屠殺できる大きさまで成長させるのに必要な餌の量と時間を減らすことができますが、この製品は動物にかなりの苦痛を与え、肉を消費する人間にも確実に影響を及ぼします。

ラクトパミンの有害性
 ラクトパミンはβ拮抗薬で、投与された動物の筋肉の成長と発育を急速に促進することで作用します。これによって動物が成熟し、食用として屠殺されるまでのスピードは上がりますが、同時に動物に深刻なダメージを与えます。この製品を投与された家畜の多くが、麻痺、震え、激痛、寿命の短縮心臓や呼吸器の障害などで苦しんでいます。さらに、この製品で処理された家畜の肉を食べた人間自身が、呼吸器や心臓に問題を抱えているというエビデンスもあります。 また、この製品を扱う労働者が、繰り返し曝露されることによって、心臓や呼吸に問題が生じることも確認されています。

 この製品は、工場畜産業界全体で牛、鶏、七面鳥、豚に使用されています。この化学物質を使用した肉を食べた人、さらに肉の加工処理をした人にも深刻な健康リスクを及ぼします。ラクトパミンは160カ国以上で禁止されているが、米国では禁止されていません。2012年、米国食品医薬品局(FDA)は、ラクトパミンに関する研究から得られた十分なエビデンスと、世界中で受けた圧倒的な禁止措置に基づいて、ラクトパミンの禁止を検討するよう、関係する個人や地域社会から通告を受けています。 FDAは、今後8年間かけてラクトパミンを調査し、対応策を決定すると発表しましたが、2024年現在、決定はなされておらず、ラクトパミンは全米の何千もの農場で未だに使用され続けています。

 こうした懸念をFDAに訴えているグループは、この化学物質を全面的に禁止することを目標としており、その理由として、人体への健康リスクと動物の残酷な苦痛を挙げています。また、ラクトパミンは投与後、最大95%が動物の排泄物に混じって排泄されるため、水道水に混入する懸念もあります。 これはもちろん、あらゆる野生生物を汚染する可能性があるため恐ろしいことですが、その水を使用している人々にも気づかないうちに影響を及ぼす可能性があります。

 2020年のFDAへの請願の時点で、環境保護団体は、米国で食用に使用されている豚の総数の60〜80%に、加工処理の際、ラクトパミンが使用されていることを示しています。

●ラクトパミンから身を守る
 工場で飼育された肉を食べる場合、特に豚肉を食べる場合は、ほぼ間違いなくラクトパミンを日常的に摂取していることになります。食事からこの化学物質を除去する最も手っ取り早い方法は、工場で飼育された肉を食べるのをやめることです。

 もし余裕があれば、多少割高でも地元の農家から肉を買うのが常に最善の方法です。 工場で飼育された食肉製品を除外すれば、将来発生する可能性のある余計な医療費を払わなくてすむことになるでしょう。
 
 

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