ゲーデル

ゲーデル

最近の記事

くまだがきている【禍話リライト】

10年ほど前の話である。 Fさんはその日、奥さんが出かける用事があったために、当時中学生の娘さんと2人で夕食をとっていたのだという。 年頃の娘とコミュニケーションを取ろうと色々と話しかけていたのだが、なかなか話題が続かなかった。 だから話題が唐突に二転三転していて、どんな話の流れでそうなったかは覚えていないのだが、娘さんが、最近学校でこっくりさんをやってるんだ、と言い出した。 「へえ、懐かしいね。こっくりさんやってどうするの?」 「いろいろ質問する」 「それで、答えてくれる

    • 放置区間【禍話リライト】

      警備員のEさんから聞いた話だ。 Eさんの会社は、公的な機関など、いろいろなところの警備を請け負っていて、Eさん自身もしばしばそうした機関の夜間警備に派遣されることがある。 大抵は、夜になっても人の出入りがありそうなところだったり、あるいは、何かしら重要なものがありそうな場所だったりするのだが、たまにそのどちらにも当てはまらない施設の警備に派遣されることもある。 これは、Eさんが、とある街の公民館に派遣された時のことだという。 派遣先を聞いた時から、Eさん自身、こんなところを

      • 石の塚【禍話リライト】

        ヤンキーのBくんから聞いた話。 女の子も集まって、楽しくお酒を飲んでいた時のこと。 雑談の流れの中で、武勇伝……つまり、こんなバカをやりました自慢が始まった。 警察に追われたけど、逃げ切った……とか、そんな話である。 だが、やがて話がずれ始めて、罰当たりなことをしたぞ選手権みたいなノリになっていく。 「そもそも俺、神様とかあまり信じてないから、鳥居に立ちションしたんだよね」とか、そういう話である。 「うわ、罰当たりだなあ」 そんなふうにBくんも話を楽しんでいた。 「そ

        • 山の喪服【禍話リライト】

          某県の山に、使われなくなった廃トンネルがある。 その先には、使われなくなった元林道が続いている。 かつては奥になんらかの作業場があったらしいのだが、今はそこが使われていないため、トンネルも林道も、誰も通らなくなったのだ。 トンネルは放置され、ボロボロになってしまっているのだという。 そこには、絶対に行っちゃダメだ、と言われている。 死ぬ・死なないではなく、行ったらとんでもなく怖いことが起きる、というのだ。 シンプルに怖いことが起きるというくらいなら、いいんじゃないのかとも

        くまだがきている【禍話リライト】

          バラバラバイクの夢【禍話リライト】

          大学進学を機に、Yくんは全く馴染みのない土地に引っ越した。 新生活にも慣れてきた頃、朝、いつも通っている大通りを通って大学に向かっていると、反対車線のあたりに人だかりができているのが目に入った。 どうやら事故があったようだ。 もうすぐ救急車と警察が来るよ、という声が漏れ聞こえてくる。 チラッと現場を見ると、バイクがバラバラになっていた。 何かにものすごい勢いで激突したようだ。 うわ、バイクバラバラになってるよ。 これ乗ってる人絶対…… Yくんは、頭に浮かんだ嫌な想像

          バラバラバイクの夢【禍話リライト】

          だいなし【禍話リライト】

          今、30代の女性・Wさんが中学生の頃の話である。 数学が苦手だったWさんたちのグループは、期末テスト対策に頭を悩ませていた。 数学の先生はかなり厳しい人で、テストも難しく、山を張ることも困難である。 このままでは追試待ったなしだ……という状況にまで追い詰められたところで、誰かがこんなことを言い出した。 「仕方ないから、こっくりさんに聞こう」 それまでWさんたちのグループでは、試しに一度だけこっくりさんをしたことがあるのだが、その時もこれと言って何もなかった。 しかし、今は

          だいなし【禍話リライト】

          玄関の母子【禍話リライト】

          小学校の時の思い出として、Tさんが語ってくれた話である。 Tさんは40代後半の男性だ。 だから、これが起こったのは、今から30年以上前の話だということになるのだが、いまだにTさんはそのときの光景を夢に見るのだという。 その日、Tさんは、Uという友達の家でファミコンをしていた。 Uの家のテレビは大きく、ファミコンのソフトもたくさん持っていたので、当時、小学生男子のたまり場のような状態になっていた。 だから、普通はUの家に行くとなると、4、5人で行くのが常だったのだが。 な

          玄関の母子【禍話リライト】

          二十六日女【禍話リライト】

          Sくんは、ご両親と弟、そして祖父と暮らしている。 先日の日曜日に、昼頃まで寝ていたSくんが一階のリビングに降りていくと、お爺さんだけがソファに座っていた。 両親や弟は、それぞれどこかに出かけていったそうだ。 「おはよう」と挨拶を交わして、食卓で朝食にヨーグルトを食べていると、お爺さんが食卓までやってきて、おもむろにこんな話を始めたのだという。 —------------------------------------------------------- 今から50年ほど

          二十六日女【禍話リライト】

          つながりの部屋【禍話リライト】

          昭和の頃、とある企業で行われていた新人研修があった。 その企業は少しカルトじみていて、新入社員の精神を追いつめるような研修を行なっていた。 いわゆる企業戦士を育成するために、そんなことをやっていたのだという。 具体的には、窓もない真っ暗な部屋の中にペアで新入社員を放り込んで、お互いに一切の会話を禁じる。 もちろんいかなる手段であれ、外部との連絡を取ることも御法度である。 食事などは最低限与えるが、その際も会話はない。 ただひたすら真っ暗な空間で、自分自身を見つめて、会社にどう

          つながりの部屋【禍話リライト】

          個室から……【禍話リライト】

          Nくんの通う大学のある街には、新しい商業施設に客が取られてしまい、さびれてしまったテナントビルがある。 そのビルは空きテナントが多く、人の姿もまばらであった。 そして、トイレがちょっと奥まったところにあって、ひたすらだだっ広いものだったという。 小便器だけで10個くらいズラーっと並んで、個室も6つほどならんでいる。 昔は栄えていたため、このくらいの広さが必要だったのかもしれないが、今となってはさみしいばかりの光景だったそうだ。 ある日のこと。 Nくんたちは、男三人でそのビル

          個室から……【禍話リライト】

          人体模型【禍話リライト】

          匿名掲示板が全盛だった頃。 まだ、インターネットが無法地帯で、グロ画像やスナッフ動画なども比較的簡単に見られていた時代だった。 とあるアングラサイトに、グロ画像・動画の専門掲示板が存在していた。 いろいろなスレッドがある中に、「人体模型」というスレッドがあったのだという。 世の中に知られた都市伝説に、本当の人体を人体模型にしている……などという話があるので、知らない人はそう思うこともあるのだが、無論そういう内容ではない。 そこには、一本の動画がアップロードされている。 当時

          人体模型【禍話リライト】

          細い道の女の話【禍話リライト】

          北九州の大学に通うDくんは、とある体育会系のサークルで活動していた。 数年ほど前の、ある雨の降る夜のことだ。 雨でやることないな……などと部室で駄弁っていたら、そこにいた三年生のE先輩が、「……いい雰囲気だな」と言い出した。 「いい雰囲気ですか?雨降っててちょっとムード暗めですけど」 「それがいいって言ってんだよ。ホラーっぽいムードだろ?」 「はあ……」 「なあ、怖い話しようや」 先輩のその言葉に、やることが他になかったDくんたちは、そうしますか、と賛同し、即席の怖い話

          細い道の女の話【禍話リライト】

          ばらばらの山【禍話リライト】

          普通に車が通っていて、途中までは民家がいっぱいあるような、花見シーズンには近隣の人が集まって一杯やるような、そんな山で起きた話。 夜。 Cくんたちがあてどないドライブをしているとき、運転手が「久しぶりにこの山道通っていい?」と尋ねてきた。 助手席のCくんは、「運転してるお前の好きにしろよ」と答える。 「おっけい」 そう言って運転手は山道に入って行った。 山道とは言っても、舗装はもちろん道もきちんと整備されている。 グニャグニャ曲がってるわけではないし、ガードレールも綺麗

          ばらばらの山【禍話リライト】

          お前か?【禍話リライト】

          令和に変わる直前の時期の話だ。 Bくんは、学生専用マンションに住んでいた。 比較的新しいマンションで、セキュリティもちゃんとしている。 家賃は高いが、10階建てで眺望も良い。 その、6階に住んでいたのだという。 ある夜、大学近くの学生ご用達の安い飲み屋で、他県から来た一人暮らしの友達と飲んで、Bくんたちはベロベロに酔っ払った。 「このあとうちでもう少し飲もうぜ」 「おお!!」 という話になって、Bくんのマンションに向かうことになった。 エレベーターに乗り込み、6階へ昇

          お前か?【禍話リライト】

          本当になるよ【禍話リライト】

          平成の後半のこと。 Aくんの通っている私立の中高一貫校には、使われていない旧校舎が残されていた。 「この学校、なんで旧校舎が残されてるんだろうね」 「取り壊せばいいのにね」 そんな話をしていたのだが、あるとき、同じ部活の友達がある噂を仕入れてきた。 旧校舎にまつわる噂だ。 昭和の時代、こっくりさんが流行った時に、隠れてやっていた連中がいて、そのときに不審火が出て部屋が焼けて、何人か怪我をした。 それで、こっくりさんが禁止になったという噂だった。 その噂を聞いたAくんた

          本当になるよ【禍話リライト】

          かかっていたもの【禍話リライト】

          Zさんという女性から聞いた話である。 彼女は夜に一人で晩酌するのが休日前のささやかな楽しみだった。 その日は度数の高いお酒を飲んで、酔いやすいタイプでもあったためベロベロに酔っ払ってしまって、気絶するように寝たのだそうだ。 だが、アルコールを摂取し過ぎたこともあって、Zさんは夜3時くらいにトイレに行きたくなって目が覚めてしまった。 ああ、トイレ行こう…… 若干痛む頭を抑えつつトイレに行き、用を足していた、そのとき。 部屋の中から物音が聞こえてきた。 あれ? がたがたが

          かかっていたもの【禍話リライト】