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勝手にアナリストレポート Vol.1019:ヌーラボ(5033 TSE-G 時価総額65億円)

次なる勝手レポートはヌーラボ(5033)です。Backlogというプロダクトで有名な企業です。Backlog、馴染みない方も多いかもしれません。私も正直詳しくは存じ上げませんでした。理由は簡単。プロジェクト管理ツールというものを使う環境にいなかったから。WARCに来て、WBSやらガントチャートといった言葉に慣れていくと共に同社のサービスを認知した口です。
機関投資家と言われる方々は私と同様に馴染みがないように思います。正しい認知がされていない場合、バリュエーションは適正価値から上にも下にも乖離しやすくなります。この会社の場合はどちらなのでしょう(投資判断の提供はしません。最後のディスクレーマーをよくお読みください)。

ヌーラボ(5033)


24年3月期決算ファーストインプレッション
当面はBacklogを軸にした事業拡大がメインストリーム

<キーポイント>
 24年3月期は会社計画線で着地しており、ノーサプライズ。25年3月期も主力プロダクトBacklogの成長を軸に堅調に成長する計画。

 前期今期とも積極的な投資を行ったうえで収益性を向上させている点に着目したい。投資が一巡した後、同社が標榜するプロダクト・ドリブンでの成長がキャズムを超えるタイミングでは、収益性が大きく向上する可能性がある。

 主要KPI等の時系列データ開示が改善している点も評価したい。

<本文>
ヌーラボ(以下、「同社」)の24年3月期は、前期比35%増収となり、営業利益は同3.3倍の332百万円。23年11月に増額修正された会社計画(売上高3,642百万円、営業利益326百万円)水準での着地となった。25年3月期会社計画は、売上高3,937百万円(前期比+8%)、営業利益406百万円(同+22%)。
主力サービスであるプロジェクト管理ツールBacklogが堅調に推移(同事業売上は前期比+36%)。Backlog有料契約件数が13,884件から14,140件に伸長したことに加え(会社計画14,180件に対しては未達)、料金改定を23年1月に行ったことによる契約単価上昇が24年3月期3Qまで持続したことが、全体業績を牽引した。
コスト面では、テレビCMや交通系媒体への広告出稿、サイトのリニューアル、ユーザーコミュニティイベント活性化、有料の導入支援オプションの開始、セルフオンボーディングコンテンツの強化、セールス専門部署立ち上げ等を重点的に実施。そのため、売上高販管費率は前期60.3%から62.9%に上昇したが、増収効果によって売上高営業利益率は同3.7%から9.1%に向上した。25年3月期についても積極的な開発・マーケティング投資、採用強化を継続する計画であることから、売上高営業利益率は10.3%に留まる見込みだが、投資一巡後の収益力向上は視野に入れておきたい。
同社は、経営資源の選択と集中の観点から、ビジネスチャットツールTypetalkのサービス提供を25年12月で終了する意思決定をしている(売上構成比0.5%、24年3月期実績)。同社が有する高い開発力を背景に、将来的には国内Backlog市場に依存しない成長モデルを画策することになろうが、当面は国内市場におけるBacklogの事業拡大を成長戦略の根幹とすることを示している。同社は創業来セールス・ドリブンでの事業拡大を推進するのではなく、プロダクトの魅力を高めることでユーザー基盤を拡大してきた。今後もこの取り組みが同社の成長源となっていく。
新たな成長に向けては、既存プロダクトへのクロスセルが柱になってこよう。組織の情報セキュリティ・ガバナンス向上ツールNulab Passのライセンス数は順調に伸長しており、今後の展開が期待される。

<ディスクレーマー>
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