NPOが幅を利かせている国事務所で若手Pスタッフがサバイブするには?

本稿で取り上げるNPOとはNational Professional Officerのことである。国連の国事務所にはNPOと呼ばれるスタッフが大なり小なりいる。彼ら/彼女らは当該国の出身でinternational professional staffとは給与体系が異なるが、歴とした(日本的な言い方をすると)総合職である。他の国連機関の事情は分からないのだが、WHOの場合はNPOの多くは元保健省の役人である。入職する時点で既に保健省内に人的ネットワークを持っているので、それを利用して案件形成や調整業務を行ったりする。職歴もそこらのinternational staffより長いことが多く、当該国のコンテキストも当然理解が深い。それに加えてSpecial Service Agreement (SSA)と言う、現役保健省職員をWHOに出向させるスキームもある。

こうしたNPOやSSAが幅を利かせている国事務所にJPOや若手Pスタッフが赴任すると、苦労することになるかもしれない。JPOや若手Pスタッフは技術的専門性が十分でないことが多い。じゃあ専門性がなけりゃ調整業務でバリューを出そう!としても、NPOやSSAの方が調整に長けている。カウンターパートが(英語やフラ語ではなく)現地語を使って仕事を進めがちな国では、コミュニケーションを取ること自体にもNPOやSSAの力がなければできないかもしれない。そんな状況に放り込まれて、JPOや若手Pスタッフはどうやってサバイブすれば良いの?となる。

私も明快なアドバイスができる程考え抜いた訳じゃないのだが、何はともあれNPOと仲良くするしかないだろう。NPOにカウンターパートを紹介してもらわないと、話が始まらない。カウンターパートとの信頼関係が築ければ、だんだん直接やりとりすることが増えるかもしれない。またチーム内にベテランNPOがいる場合には、JPOという立場を逆手に取って、色々教えてもらうことができたらベストかもしれない。あとはスーパーバイザーとあなた自身のTORについてよく相談して、既存のNPOとのデマケや現実的に出せそうな成果を設定してもらうのも手かもしれない。まぁJPOに親身に接してくれるスーパーバイザーばかりではないのだが…。

どうしても国事務所でバリューを出すのが難しければ、JPO3年目で地域事務所や本部に異動するという手もある。当然だが地域事務所や本部にはNPOは存在しない。そもそもJPOを国事務所に派遣するべきではない!と主張する人もいる(上記のような苦労があるので)。まぁ本部や地域事務所に派遣されたJPOでもWHOに残ってない人もいるので、一概にそうとは言い切れない気もするが…。他の記事でも書いたが、JPOが生き残るのは自らがコントロールできない要素に依存することが多い(例:誰がスーパーバイザーになるか、等)。

中長期的には技術的専門性を伸ばすしかないだろう。経験値や専門性でNPOに一目を置かれれば、NPOを束ねる立場になれる。専門性の構築については他の記事に詳細を譲るが、国際機関で働きたいのであれば海外MPH留学が辛いとか言っている場合ではない!ということだろう。

自らのJPO時代を振り返ってラッキーだったなと思うのは、私が赴任した某国は

  • 国事務所にNPOがほとんどいない

  • 保健省カウンターパートが英語を用いる

国だったのだ。だからJPOの私でも活躍する余地が十分にあったの。もしこれが保健省とWHOの関係がNPOでガチガチに固められてる国だったら、私の仕事の仕方はだいぶ変わっていたかもしれない。ただ私が本部→某国に赴任した際には、上記は全く考慮してなかかった(というか国レベルでのWHOの運営状況など知る由もなかった)。運が良かったし、自分は恵まれてたのだなぁと思う。

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