体型②
少し早く待ち合わせ場所へ。
大阪、梅田の泉の広場。
ここは多くのセラピストとお客様が待ち合わせに選ぶ場所。
僕はなるべく目立たないように、広場の隅でお客様を待っていた。
いつものように服装や持ち物が書かれたDMを読み直す。
黒の上着に、黒のロングスカート、ベージューのバッグ。
同じコーディネートの人が多くいる。
キョロキョロと姿を探しながら、それらしい人を待つ。
そんな中、一際目立つ体型をした人が広場へ向かって来た。
イメージとしては、マ〇コ・デラックスさんよりちょっと大きい感じを想像してほしい。
ある意味存在感とオーラを放っていたその女性に一瞬視線を持っていかれた。
”すっごい存在感やな”
単純にそう思った。
一瞬目を奪われたものの、僕は引き続きお客様の到着を待つ。
-着きました。
お客様から到着のDMがあった。
僕は顔を上げ、辺りを見回す。
黒の上着に黒のロングスカート、ベージュのバッグ…
携帯を片手に、辺りをキョロキョロと見渡していて、待ち合わせをしてそうな感じのそれらしき人がいた。
(あの人かな??)
足を進めようとしたその時、それらしき人かなと思った人は友人らしき人と合流した。
(あれ?違う??)
どこだろう。隅の方にはいたけれど、見渡せる場所には立っている。
他にそれらしき人は見当たらな…。
(まじか。)
思わず笑いが込み上げた。
さっきの大きめマ〇コ・デラックスさんがこちらを見ている。
目が合った。
この人だ。
会話をかわさずとも、DMを送らずとも、感覚で僕を待っている人というのはわかるようになっていた。
想像していた“太っている人”を遥かに超えていた。
僕は少し戸惑いながらもその人のほうへと足を運ぶ。
それと同時に会釈をしてきた。
この人だ。
「さやかさんですか?」
躊躇いはしたものの、声をかける時には僕の気持ちはもう普通だった。
「はい。今日はよろしくお願いします。
すみません…。やっぱり引きましたよね…。」
彼女は申し訳なさそうに頭を下げた。
「いやいや!!引くなんてそんな!!
会えて嬉しいです。手を繋いでもいいですか?」
いつも通りの流れに持ってはいくけれど、引いてないと言えなかった僕がいた。
恥ずかしそうに、照れながら繋がれた手。
肉厚で指の関節に少し痛みを感じたりした。
「さやかって呼んでくれたら嬉しいです。」
そう言って笑う彼女は、見た目の貫禄よりもおしとやかで、かなり控えめな印象。
でも、冗談抜きで僕の3倍~くらい大きかった。
-続
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