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あなたの今を”リズムとメロディー”に例えるならば...?

「今、自分の仕事で大事にしていることを、リズムとメロディーに例えて語ってみてくれ」
以前、仕事で長年お世話になっていた医師の先生から突然言われた問いです。

食事会の場で唐突にそんな問いかけをされました。

突然の質問に、その場に居た全員ポカーンとした表情…
なんのこっちゃという感じで、何をどう答えれば良いのかとまずは全員困惑しました。

その問いの意図は、仕事において自分が何を大事にし、何に波長を合わせて活動しているのかを考えてみよ、とのこと。

とあるトーク番組に出演していた音楽家が、自分の仕事をリズムとメロディーに例えて語っていた。それがとても面白かった。
だから君達にも聞いてみたくなったんだ、と。

いつも唐突に、わりと難解な質問をよくされる先生でしたので、
今回もまたきたな、と私はその時思いました。

その先生はしっくりくる答えを聞くまでは何度も質問し直して、
こちらにもっと考えさせようとされる方でしたので、
さて今回はどのように答えようかと、結構なプレッシャーを感じながら
その場の皆が頭を抱えながら考え、順に答えていきました。

中には質問の意味を捉えきれずに、しどろもどろ答える人も。
答えはしたものの、先生にはしっくりこなかったようで、質問攻めにあった人も。

そうなっても仕方ありません。
なかなか難しい質問だと思いませんか。

それはさておき
「リズム」とは
『周期的に反復、循環する動き。律動、節奏とも言う。
 運動や音楽、文章などの進行の調子、詩の韻律、
 音楽の最も根源的な要素で音の時間的進行の構造のこと』
という説明が一般的に多いです。
ゆっくりとか、はやいとか、はげしいとか、動きの要素が入っているものと言えるでしょう。

「メロディー」は
『ある高さと長さを持ついくつかの楽音が前後に連続して、
 それがリズムに 従って、連続的に進行する(歌唱、演奏される)
 ことによって、何らかの音楽的内容をもつもの』
辞書的にはこのように書かれています。
音程等、複数の音に意味を持ったものということのようです。

単に楽器の音を鳴らしているだけではメロディーにはなりません。
一定の動きや抑揚等、リズムをつけることでメロディーとなります。
リズムがでたらめで、まとまりがないとメロディーとしては成り立ちません。
適切なリズムがあってこそのメロディーとなるのです。

それは音楽の話だけでなく、日頃の自分の在り方や、仕事で重要視していること、何を主軸にして働いているのか、という点でも同じ。
己が大事にしている生き方・働く原動力のようなものをリズムとメロディーに置き換えて表現してみよ、と先生は問いかけたかったのです。

そこでの私の答えは
「リズム」は”言葉を聴く”、傾聴すること。
カウンセリングは相談者の言葉を心から理解しようという気持ちで、傾聴することから始まっていきます。
相談者が語る言葉と話し方の強弱、そこから複雑に表れる複数の感情…
それが相手のリズムであり、そのリズムに合わせてこちらも聴いていく。
直感的にそう思いました。

そして「メロディー」は、”喪失”と答えました。
悩みに悩んで相談に来られた方は、皆さん何かしらの喪失体験をしています。
・付き合っていた人と別れてしまった
・離婚した
・病気で健康を失った
・家族との死別
・友達が離れていってしまった
・仕事を失った
・信じていた人に裏切られた
・災害に遭った、等々…

何かしら別れやそれまでの生活を失い、それがつらくて耐えられず、
救いを求めて相談に来られます。

その方達の語り(リズム)から溢れてくる喪失の思い出・悲しみ等のメロディーにこちらもリズムを合わせて聴く。
喪失という寂しさ・苦しさにそっと手を添えるかのように、共に浸りつつも、次に喪失以外のどんなメロディーへと変わっていけるか…
そのお付き合いをしていくことが私の仕事であり、大事にしていきたいことだと、その当時答えたのです。

それに対して先生からいただいた言葉は
「確かにお前はあえて、人の痛みの部分に一緒に居たがる感じだな。
普通は痛みに触れるのがつらい人の方が多くて、
どうにかしようとしたくなるけど、
お前の場合はその傷に一緒に浸っていきたい感じ。
傷の部分が嫌とかではなくて、むしろ心地良い。
それがあるからこそ次に頑張っていける。そんな感じだな」
でした。

その言葉を受け、痛みをむしろ大事にし、それを抱えたまま、
それはそれとして次へと進んでいこうとする自分を改めて感じました。

『感謝できないことほど情けないことはない』の記事でも触れていますが、
私自身も震災による喪失体験をしていましたから、より重きを置いている精神状態であり、相談者と繋がれる大きな要素でもあると感じています。
その喪失状態から這い上がる術、心の在り様も、私だからこそ伝えられる何かがあるとも感じています。

先生の「リズムとメロディー」の問いと、
その問いに答えた時の自分の気持ち、いただいた言葉は
数年経った今も忘れられませんし、それを意識しながら仕事や活動をしています。

そして今、こうして文章を”書く”ことがまた新たな「リズム」となり、
”現代社会に対する問いかけ”という「メロディー」を奏でていきたいと思っている自分がいます。

皆さんの今の「リズムとメロディー」は一体何でしょうか。




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