見出し画像

愛してやまない選手への手紙


親愛なる大和様


あなたの美しい守備に一目惚れしてから、ずいぶん長い年月がたちました。
あの日以来、私の心の中にはいつもあなたの存在があります。


あなたは私をしょんぼりさせることもあれば、この上ない喜びをくれることもありました。あなたを応援すればするほど、そのひとつひとつが私の中で、大切な大切な思い出となって、心の中に積み重なっていきました。

20歳のあなたが好きでした。
25歳のあなたも、30歳のあなたも好きでした。
けれど今、34歳のあなたが元気にプレーする姿を見られるのが、私は嬉しい。ここまでがんばってきたあなたを、応援できるのが本当に嬉しい。
あなたが今もどこかでがんばっている。
そう思うことは胸の中にいつも温かな火を灯してくれます。


私には昨日のことのように思い出す試合があります。
その日、あなたはタイムリーを3本打ったのににこりともしなくて。
前日のエラーに腹が立って腹が立って腹が立ってしかたがない、という顔で。
挙句、ヒーローインタビューでは聞かれてもいないのに、エラーの話ばっかりで。

はらはらしました。
なんでそんなに真面目なの?
やりましたー!でいいのに。
最高でーす!っておちゃらけてればいいのに。

でも、とてもあなたらしいと思いました。
私はあなたのそういうところが大好きで、可愛くて、愛おしくてならないのです。

あの時、分かれ道で、あえて先の見えない、どこまで続いているかわからないほうの道を選んだあなたを、私は誇りに思います。
その道はまだ続く。
あなたがどんなに険しい道を行こうとも、嘆いたりはしません。
あなたがどこまで行くのか、見届けたいのです。

いつかあなたが道の終わりにたどり着き、グローブを置く日が来るのなら、
「幸せな野球人生だった。もうここらでよか。」
と笑ってほしい。


私が願うのは、ただそれだけなのです。









空心菜おひたちさんの企画、#片思いのラブレターに参加させていただきました。

おひたちさん、きっかけがないと書けない想いってあるんですね。
とても素敵な企画をありがとうございました。