熱くなれ!下剋上球児
鈴木亮平主演 + 野球という、え的に見ないわけにいかないっしょなドラマ・TBS日曜劇場『下剋上球児』が絶賛放映中である。
寄せ集め部員ばかりの弱小野球部が甲子園を目指す王道青春ストーリー。その野球部の顧問を鈴木亮平がやると聞けば否が応にも期待は高まるというものである。
最近あまりドラマを見なくなった私も今回ばかりは期待に胸を膨らませ、第1話からがっつり視聴した。
注意:ネタバレ全開でいきますのでお気を付けください。
ところが、である。
この『下剋上球児』を3話まで見た感想を一言で言うならば、ど~も思ってたのと違うな~である。
昭和脳全開の私は、『 スクール☆ウォーズ 』(※1)的展開を思い描いていたのである。
鈴木亮平演じる南雲脩司は人望あるさわやか社会科教師。
野球部の顧問を打診されるも断っていたが、大の野球好きで野球部を強くする気まんまんの家庭科教師・山住香南子(黒木華)に請われ、成り行きで手伝うことになる。
野球経験者で野球が嫌いではなさそうなのに、なんだか煮え切らない南雲。
さらに妻の美香(井川遥)に怪しげな電話がかかってきたりして、おいおい、野球どうなるんだよ……とちょっとイラつかせる展開。
亮平の演技力の高さが逆にこれじゃない感を生み出してしまっている。
そんな私のイライラをつかの間吹き飛ばしてくれたのは、元プロ野球選手鳥谷 敬(※注2)の登場だ。
鳥谷の役は野球部の初練習試合の相手、草野球チーム越山ドーマーズのピッチャー下川原祐一。
忙しい(?)中、急遽来てやったのに、「おっさんかよ」という態度ありありの野球部員たちに、
「来いや、お前クソガキども!ぁあ??」
と、赤星の「入ってねぇんだよ、コノヤロー!!」(※3)を彷彿とさせるガラの悪いセリフで挑発する草野球メンバー鳥谷。
誰も予想できなかったであろう意外過ぎるセリフで俳優デビューを飾ってしまう。
本当は2000本安打打ってる元超一流プロ野球選手なのに、ガラの悪い草野球のおっさん役をノリノリで演じる楽しそうな鳥谷。
試合序盤は投手戦だったが、野球部の守備が体力測定のソフトボール投げをする女子並みに下手すぎてあっという間に大差がつく。
投げては高校生をバッタバッタと三振に切り、打っては走者一掃のタイムリーを打ってしまう大人げない鳥谷。
楽勝ムードに「今日のビールはうまいぞ~」と浮かれまくったり、めっちゃ悪い顔で「夢ってねぇ~~~~笑笑笑」(※注4)とまぜっかえしたり、とにかくどう見てもいい人ではない役なのであった。
そして試合後、さっきはあんなにキレてたのに、
「いい試合だったよ~」
「がんばれよ~」
とご機嫌で帰っていく鳥谷。
そのナチュラルすぎる芝居に、
鳥谷グッジョブ!!
と鳥谷の再登場を熱望する私である。
鳥谷の活躍でドラマの重苦しい空気を忘れたのもつかの間、第2話では南雲は教員の資格を持っておらず、教員免許を偽造していたという衝撃の事実が発覚。
えっ……この先どうすんのよ!? それいる!?
と視聴者を呆然とさせている。
先は長いのに第2話でそんな展開にしちゃって大丈夫かなぁ……
と心配しつつも、これからの『下剋上球児』の盛り上がりに期待する私であった。
蛇足だが、第3話で私が一番好きだった場面。
南雲に無免許で教師をやっていることを告白された山住が、南雲が逮捕され学校が謝罪に追い込まれる事態を妄想してしまうシーン。
フードを被り、うつむいている亮平を乗せた車がフラッシュを浴びながらカメラの前を走り去っていく。
【独自】教員免許偽造教師逮捕
有印公文書偽造・同行使の疑い 南雲脩司容疑者(39)
というテロップの向こうで、カーテンの隙間から半分覗く亮平の青ざめた顔がニュースでよく見るあの絵面そのまんまで、これは亮平の高い演技力が無駄に発揮された名シーンと言えよう。
さすが亮平。
(敬称略)
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