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野球好き原体験の記憶

幼稚園に通っていた頃の話です。
断片的な記憶しかないのですが、何かの列に並んでいたのです。何で並んでいたのかは思い出せません。
私の前に並んでいたのがくりくりとした坊主頭の男の子で、その子の後頭部を見ているうちに私はある欲望を抑えきれなくなってしまいました。

触りたい。

私は手を伸ばして男の子の頭を触りました。
思わず触ってしまったのです。
そのショリショリとした触り心地はとても気持ちが良くて、もっと触っていたい誘惑にかられました。

坊主頭フェチ。なんでしょうね。

無言でいきなり触ったのですから、びっくりさせてしまったに違いありません。男の子は振り向いて私を見ました。とっさにどんな顔をしていいものか困った私は、なぜだかにっこりと笑ってしまったのです。
男の子の顔に浮かぶ、怯えたような表情。

当然でしょう。今思うと完全に痴漢です。
痴漢したやつを見たら笑っているのですから、もうホラー以外の何物でもありません。

その後の記憶が曖昧ですが、男の子は何も言わずに私に背を向けたような気がします。きっとヤバいやつだと思ったことでしょう。

ごめんなさい。我ながら、狂った園児でした。


野球の話です。
坊主頭といえば高校野球。まだ坊主頭の球児が多いんでしょうかね。
通っていたのが高校野球の強豪高校系列の幼稚園だったということもあり、子供の頃は高校野球が始まると、テレビに張り付いて1日中観ていました。高校野球で覚えた地名も少なくありません。

個人的ベストは1986年センバツの新湊(富山)の試合です。


優勝候補だった享栄(愛知)のエース近藤真一投手が、1回戦で敗れて呆然とする姿が印象的でした。
桶狭間の戦いで、織田信長に討たれた今川義元の心境でしょうか。
前評判の高くなかった雪国の高校が、強豪高校を次々と破ってベスト4になる姿は痛快&爽やかで、あの感動は今も忘れられません。


中学生になるとクラスメイトの影響でプロ野球を観るようになります。

いつでも、自分の知らない世界に足を踏み入れる瞬間というのは、驚きとドキドキとワクワクの連続です。
初めてプロ野球を観に行ったのが、友達と行った後楽園球場の巨人VS阪神戦。
今は無き後楽園球場。
お世辞にもキレイとは言えない、小さくて、タバコの煙がもうもうとしていて、よく観客どうしの乱闘騒ぎが起こる、女子中学生にはスリリングな球場でした。

球場に入って階段を上り、目の前にグラウンドが開けた瞬間の、うわあ~~~っと感動の声をあげたくなる感覚。
テレビで観ていた選手が目の前で躍動している姿。
そして、友達とはしゃぎまくった楽しい思い出。
私の野球好きの原点だったと思います。

中学生の頃、選手の背番号を全部覚えていましてね、歴史の年号を覚えるとき、例えば1631年だったら岡田・掛布って覚えると、めちゃくちゃ頭に入るんですよ。おかげで歴史の成績は良かったです。
野球好きの学生さんに、背番号暗記法、ぜひお勧めします。



あれから何十年もたち、私もすっかり薄汚れた大人になりまして。
長年野球を観てきて、その後ろにある利害関係だとか、いろんな事情だとかを察しながら見る癖がついてしまいました。
そんな大人の事情に心の中で文句を言ったり、憤ったり、失望したり。
あの頃のようにピュアな気持ちには戻れないけれど、それでもいまだに好きで野球を観ているのは、中学生の自分の楽しい原体験があるからなのでしょう。

あの頃の自分を裏切りたくない。
野球にあの頃の自分を裏切ってほしくない。
そんなことを思いながら今日も野球を観ています。