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ピカチュウメットを眺めながら



ピカチュウである。
何が。
ヘルメットが。

プロ野球公式戦でプレーしている選手たちのヘルメットがピカチュウなんである。
かわいいなぁ。すごくかわいい。

6/30~7/2に横浜スタジアムで開催されたポケモンと横浜DeNAベイスターズのコラボイベント「ポケモンボールパークヨコハマ」。
ピカチュウの顔が描かれた黄色いヘルメットを着けたいかつい男たちが真剣な顔でバッターボックスに入る様子がシュール。
テレビ観戦しているとどうしてもピカチュウと目が合ってしまい、なんだかゲームに集中できない。
ピカチュウメットで野球。すごい企画である。

そんなイベント2日目の7/1。
事件は起こった。

立ち上がり、調子の悪かったDeNA先発のバウアー選手はなんとか2失点でこらえるピッチング。
天候は悪く、打線の援護がなく、味方の守備も乱れ、主審の判定に不満げな様子を見せたりとちょっと神経質そうな様子を見せていたバウアー選手。0-2で迎えた6回裏二死1、2塁の後。内野安打になった後挟殺プレーに持ち込むも連携がうまくいかず、結局オールセーフで満塁になってしまう。

するとバウアー選手は「ふぁ〇く!!」と叫んで大激怒。
怒りの全球ストレートで次打者をピッチャーゴロに打ち取ると、自ら猛スピードで一塁まで走り抜けスリーアウト。
その後も怒りが収まらず、「ふぁ〇く!!」を連発しながらベンチの奥に消えてしまう。

なんともいたたまれないシーンだった。
そして、何もかもうまくいかない試合だった。




私は中学生の頃に気まぐれで阪神タイガースのファンになり、30余年阪神を応援。
その後大和選手の移籍がきっかけで横浜DeNAベイスターズを応援するようになってはや6年目になる。

例えるなら。


「俺はこの街を出ていく。あばよ」
「待って、どこにいくの?」
「俺のことを必要としてくれる街があるんだ。俺はそこでBIGになってみせる」
「私を置いていくつもり?私、あなたについていくわ!」
「やめとけ……不幸にしたくない」
「あなたのそばにいることが私の幸せなの!私、どこまでもあなたにについていく!」
「……フッ……勝手にしろ」


てな感じで大和選手についてきた私である。(妄想です。ご了承ください)

阪神ファンをやめてDeNAを応援するようになったのは大和選手の移籍がきっかけではあるが、理由はそれだけではない。そこは長くなるので割愛するが、DeNAを応援するようになってからは自分の野球好きとしてのアイデンティティをどこへ置くか、ずっと思い悩んできた。

大和選手のファンであることは間違いない。
だがしかし、大和選手の引退は遠くない未来にやってくる。
その後、自分はどういうスタンスで野球と向き合えばいいのだろうか。


選択肢は三つ。

1、阪神ファンに戻る。

2、DeNAを応援し続ける。

3、野球を観るのをやめる。



1はおそらくない。
もはや私が応援していた頃の阪神とは別のチーム。選手もほぼほぼ変わってしまい、正直愛着はほとんどない。


3もないだろう。私の中で野球を観ない日常はちょっと考えられない。


2はどうか。

大和選手がDeNAに移籍してからというもの、「DeNAを応援している」とは言えても、自分を「DeNAファン」とは言えなかった。それは多分に大和選手個人のファンという気持ちが自分の中で強くて、DeNAという球団に対しては「大和がいる球団だから応援しているんだよ」という一歩引いた気持ちで見ていたからなのだと思う。
大和選手が引退してもDeNAを応援できるか。
その答えはいまだに出せずにいる。

しかしこの5年、大和選手はすっかりチームになくてはならない存在になった。好きな選手が選んだ球団で居場所をつかみ、必要とされ続けているのはファンとしてこの上もなくうれしい。そして、今年の横浜DeNAベイスターズは優勝を狙えるまたとない位置にいるのである。

バウアー選手は激怒した理由を「強いて言うなら自分自身に腹が立った。優勝するチームの野球ではなかった」と述べた。
その言葉の意味を私は(仕事中)ずっと考えていた。(仕事しろ)

優勝するチームの野球とはなんだろう。

この5年、DeNAは何度もAクラス(3位以上)になっているが、優勝には程遠い戦い方をしてきた。何かが足りない。優勝には何かが足りないのだ。

バウアー先生に、
「お前たち、くやしくないのか!!」
「俺は今からお前たちを殴る!」
と言われたような気がして、
「くやしいです!!」
と叫びたい私は、もう、きっと横浜DeNAベイスターズのファンと言っていい。

バウアー事件から一夜明けた7/2、晴れ晴れとした明るい顔で声を出し、躍動する選手たちの姿。
試合は快勝。
この事件がターニングポイントになっていい方向に向かうのではないか。
そんな気がしないでもない私である。

優勝してほしい。

そのときこそ、私は横浜DeNAベイスターズを生涯応援し続ける気持ちを持てる気がするのだ。





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