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Swallow 傑作「摂食障害映画」の誕生

またまた途轍もない傑作映画、というか
正確に言うと傑作「XR映画」が誕生してしまいました!
以前からTwitterではポスターやTRAILERの素晴らしさをお伝えしていましたがレビューをさせて下さい。

(タイトルで「摂食障害」映画としてますけど
主人公のHUNTERはPICA(異食症)と設定されています。

摂食中枢の異化が人格に齎すものという総称としての
「EATING DISORDER」の一つの顕れを扱った映画だから絶対に
PICA以外の方々にも見ていただきたいと思っています)

作品に置いて摂食障害をテーマにする事

摂食障害特にANOREXIAをテーマ・サブテーマにした
映画やドラマはもちろんですが
ウェブ上で手に入る情報や、有名なカレンカーペンターのバイオグラフィー
「LITTLE GIRL BLUE」や

「痩せ姫」をはじめ

関連書籍も摂食障害映画である自作「DREAM MACHINE」を
作るときにほとんど読破しました。
ただアノレキシアの女の子と関係を持った僕自身の視点で制作した「DREAM MACHINE」も、
ほぼ全ての摂食障害をテーマにした表現物は
EATING DISORDERという状態になったおんなのこ自身を描写し
その状態が時間軸でどのように変化したかORしなかったかを記録したものでした。

映画「Swallow」の革新性

しかしこの「SWALLOW」が画期的なのは
この作品ほど「摂食障害の女の子自身が見ている世界」の感触を正確に捉えた
映画はないと断言できる、XR感覚に満ち溢れたその無人称的映像美です。
もちろんXR向けのPOV作品ではないので作品は三人称で展開していきますが
ジョーダンピールと同級生だったという監督のCarlo Mirabella-Davis氏が
インタビューで言及しているように「白い恐怖」をはじめとする
ヒッチコック的な不穏な空間デザインが

極限までフェティッシュに撮られた「異物」がご馳走に見え
ラグジャリーなセレブ空間でサーブされる「食物」が汚物にしか見えない
逆転のシネマトグラフィーが

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鈴木清順監督作品ばりの「奥行を無くすための原色使い」が

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画面に映し出されるもの全ての平衡を狂わせていきます。
主人公HUNTERの食欲のカタチに合わせてまるで
アウトサイダーアートのようにその姿をメタモルフォーゼさせる世界。
異物と食物の境界線が決壊してストリームしていくその在り様は
僕自身も「DREAM-」の撮影時に知った摂食障害の女の子の目だけに映る
特別な世界の存在様式であり、映画「Swallow」はPICA女子自身が
知覚している世界観を映画としてはほぼ初めて忠実に再現しているのです。

「Swallow」は本当にフェミニズムボディホラーなのか?

そしてこの「SWALLOW」におけるHUNTERは
何度も紹介している映画史に置ける
PSYCHOTIC WOMENの系譜の女主人公です。

彼女達の正しさとは「魔女」の正しさです。
彼女達の美しさは「魔術」でできあがっていて
彼女達の性は「一瞬と永遠」を繋ぐ文字通りのエクスタシーです。
この「SWALLOW」のラストはこの系譜に乗っ取ってXR脚本術的に描くならば
当然ああなるだろうと僕は思っていましたがCarlo Mirabella-Davis監督は
別のエンディングを設定しました。
そのラストによってこの「SWALLOW」はフェミニズムホラーとも言われているのですが
そこの違いはとても興味深かったので機会があれば是非
「DREAM MACHINE」と「Swallow」を見比べていただければと思います。

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映画「Swallow」の中で新郎の母親がHUNTERに問いかけます

「Are you happy or pretending to be happy?」

日本ではいまだに摂食障害に対してのアプローチの輪郭が
海外ほど定まっていないと思っています。
それは一つの極には「EATING DISORDER」をライフスタイルの一つとして捉える
pro-anaやThinspirationがあり、これは少しずつ日本でも認知されつつあるようですが

しかしもう一方の極、現在の脳科学においてはBRAIN MAP上に
EATING DISORDERを誘因する領域がある事を確認していて、その部位を
直接的に操作する器質的オペレーションも始まっているという事は
あまり言われていません

つまりPROにせよCONにせよ日本に置ける摂食障害へのアプローチは
いまだにしっかりと女の子達に全てのカードを見せていない
非常に遅れた状態にあるのが現状です。
それでは摂食障害のおんなのこ達はHUNTERになされた問いかけに
答えることはできないのではないでしょうか?
まだ「Swallow」が日本でも公開になるかは未定ですが
是非、摂食障害に関わる関係者の方々は仲違いしてる時間があるなら
この傑作のプロモーションと共に全ての方法論を明確に提示する方向へ
新しい時代の摂食障害社会の在り様を考える方へと進化してほしいと思います。

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