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NovelJam2021 「BOND」を読んで

NovelJam2021
澤 俊之 著: 「BOND」 を読んで

NovelJamに毎回ギター片手に参加し、いつからかリモートで映画見ながら執筆。
作品をかきあげたら一発ギターを掻き鳴らす。
そんなNobelJamの風物詩的な本作品の著者。
私はこの方の作品の中で飯の描写が特に好きだ。
飯の場面だけは文章を、食うように愉しんでいる。
もちろんギター含む音楽の描写も素敵なのだが、
私は音楽にとんと疎く、まさに雰囲気だけを楽しませて貰っている。

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父の他界から始まる本作品。
にしても東京郊外に7LDKは親父さん頑張ったなぁ。
2世帯住宅にして、孫と暮らす日々を楽しみにしてたのだろうと思うと
なんとも心が苦しくなる。なんで俺はこんなに心苦しく思うのか、
自分が親不孝だからか。(そうだぞ、孝行しろよ)
主人公の妻は2世帯に賛成だったのだろうか、利便性を取ってとあるが、、
と、そんな余計な心配をして余計に心が苦しくなる。

残された7LDKとワンボックスカー。そして新たに加わるゴールデンレトリーバー。
俺がろくに考えずに出すアイデアに、妻が「で、それ誰が後始末するのよ」
と釘を差す情景は既視感がありすぎて、やっぱり心が苦しい。(そればっか)
本作の中では二人の娘が父のアイデアに乗ってくれて、羨ましさすら感じてしまう。最近うちの息子達は妻の側に付くことも多いからなぁ、、、

家族に秘密で改造された形見の車。
革製のソファーに2段ベッド、大きな収納を備えた
装備に詰め込まれたロマンはプライスレス(新車価格)

それから月日が流れ、子供たちはお年頃に。
なんとなく心が離れたように思った時に広がる新型のウィルス。
自粛を余儀なくされ、溜まるストレスは未だ記憶に新しい
家にいる以外すべてが規制されているようで、いかに人間の生活とは
不要不急で成り立っているのかと思い知らされた。

そんな凝り固まった雰囲気を払拭すべく企画したのがBBQだ!
待ってました!飯テロタイム!!
「ほどよくサシが入った牛肉、、、」から始まる文章に私の口の中は
記憶の中より最高の肉汁を思い出し、ビールの流し込む態勢を整える。
いや、一度は流し込んだ。はずだったのだが、、、これではオアズケではないか。(いや、十分楽しでますよあなた)

新型のウィルスに感染した父は、キャンピングカーに隔離され、
家族との物理的なつながりが絶たれてしまう。
最初タブレットなど何につかうのだろうと思ったが、なるほどビデオ通話用か。
毎日タブレットで通話を続け、回復してからはサンと共に身を寄せる。

父親の残した債権(bond)が、新たな家族と共に家族の絆(bond)を繋いでくれた。

気になった方はこちらから。
https://bccks.jp/bcck/170196/info

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