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ぼくは24歳
殺戮の場に連れて行かれ
生き残った
ぼくは教師と師匠を探した
ぼくにまなざしと耳とことばを取り戻し
いまいちど物と概念に名前を与え
光と闇を分けてくれるように

タデウシュ・ルジェヴィチ(ポーランドの詩人)

俺は誰にも知られないように女の乳房をまさぐる
女は狂ったように変化し
浅い沼だと思っていたそこはもう
夜の太陽だ
俺は真っ黒になり 手を突っ込む
これは春でも夏でも秋でも冬でもなく
漆黒の闇

やかんの音がする
しゅうしゆう しゅうしゅう
あれはいつだったのか
あれはどこだったのか
空気が震えている
俺は泣いている
いのちはもう形はなく

いいのだ これで
きれいなものだけがあるわけじゃない
火星のようにここに冴えまくり
俺は舐めている
俺はもう真っ赤になり
自分で自分をむしろうとしている
極極と昂り
ああこれは ああ これは


砂漠に埋められた
砂は俺に巻きつき 吸い取る
変化し骨の中に付着しザラザラ崩れ
俺は立とうとする
絡まるものから逃れる
いや それは違う
俺の血は 俺の体内をどくどく流れている

パレスチナを思うコロンビア大学の学生たちが
歴史と繋がる時 言葉でしかなかったものは
閉ざされた季節の鎖を断ち切る
錆びついたアンテナを復活させ
残忍な銃座をもう一度磨きあげ
言葉を取り戻す!

闇の時代に突入し 夜の太陽が悦びを隠し続けて
ガザの人々のいのちは日常を手放さず 生きている
引き渡すことができない大切な日々を
地面に横たわって苦しみを背負い
怒りを太陽に変えて 


2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します