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詩)眠れない詩人のために

眠れない詩人のために
とってもいい人のように
眠れるように 言ってみたりしたが
ぼくはそもそもそんなにいい人ではなくて
ただの酔っ払いで
失敗の連続の
つまんねー男でしかなく


それでもなにか言葉で伝えたく
馬鹿なのに嘘っぱちなのに
ああでもない こうでもないと
眠れない詩人に言ってみる
こんなこと言ったところで
なにか伝わるのかと
思うんだが 言葉というのは不思議で

ぼくの言葉が勝手に次の言葉を紡ぎ出し
眠れない詩人が頷くと
また別の言葉が出て来る
その不思議
酔っ払いはきっと迷惑なくらい饒舌で
まあ 
そんなこんなで
眠れない詩人が
多少は
眠れたりすれば

生きるってことは
そんなにたいしたことでもないが
そんなにたいしたことじゃないことに
一生懸命になるからあるものが
あるからこそ 眠れないこともあるさ
不安は未来に繋がる期待なんだ
怖がることはない さあ飛べ!

酔っ払いは言いたい放題だ
ぐっすり眠れればなにかあるさ
そんな無責任なことを独り言のように言いながら
眠れない詩人のことを
少し
愛していることに気づいたりして
でももちろん
そんなことは明日なればもう
すっかり忘れているんだけど

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