見出し画像

なめくぢり 定めし道を来たりけり
なめくぢり 吾れ関せずと過ゆけり

大道寺将司『棺一基』

黒の乳首から
乳房の下のふちを
なめくぢりが 這う

じとり じとり
あがり さがり
冷たい か細い曳航

涙の糸 光る
たゆたゆとした
重み それは屈従

拒絶の渇いた土の香
 居眠りをする
真っ黒な乳首の頂点の母性
 
溶け
消える
それぞれの爪痕
 
窓さえ黒い幕で覆われた極限
なめくぢり 
東京拘置所死刑囚  大道寺


 

大道寺将司
東アジア反日武装戦線の"狼"部隊のリーダー
お召し列車爆破未遂事件及び三菱重工爆破を含む3件の「連続企業爆破事件」を起こし1975年逮捕。1979年東京地裁で死刑判決、1987年最高裁で死刑確定、2017年5月24日多発性骨髄腫により東京拘置所で死去


2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します