げん(高細玄一)「もぎ取られた言葉」コールサック社より刊行中!

第1詩集「声をあげずに泣く人よ」2022年6月第2「もぎ取られた言葉」コールサック社よ…

げん(高細玄一)「もぎ取られた言葉」コールサック社より刊行中!

第1詩集「声をあげずに泣く人よ」2022年6月第2「もぎ取られた言葉」コールサック社より刊行 http://www.coal-sack.com/syoseki.html 横浜詩人会、横浜詩人会議、日本現代詩人会所属  茅ヶ崎市在住  「詩集の店」店主

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第2詩集「もぎ取られた言葉」が刊行になりました!

コールサック社様より、第二詩集「もぎ取られた言葉」が10月27日発売になりました。第1詩集「声を上げずに泣く人よ」ともども、よろしくお願いいたします。装画は前作に続…

詩)エーイチ(AI)

ある詩の会合でのことだ 話は愛をどう描くかになり 会合のメンバーは若くないのだが 僕は妻以外の女性とのことも今でも描いてますよと一人の男性がいい 別のある男性が…

詩)赤光の

真っ暗な空を見る 目の前の女性を見る 貴方の前に僕は いますか 貴方はきっと 僕の心が 狼狽えて 跪いているのをきっと 知らない 真夜中に夢を見る 怖い夢 異形の動…

詩)本を読む人の美しさ

本を読む人の 美しさは 二本の指先で 本をおさえ 一本の指で ページを弾く 目線の 送られた先に ある文字は 誰かが愛した 花のよう 真っ暗な 時は 過ぎて 後ろから 挿す…

詩)主人公

生きるとはなんだろう この不思議はなんだ 好きなことが嫌いに思える 後ろ姿が透視絵のように 真っ黒な背広に白いシャツが背中で出ている 胸元を開けた男がメールに集中し…

詩)果てるまで

素朴な言葉は強い 骸骨が俺を睨む おまえいつまで人間でいる気だ? ああ わかっているさ そんな事 わかっているさ ねえ 悪魔の薬飲んでみたいわ 真顔で女はそう言う そ…

詩)予感

コロナ禍の前に逝ってしまった父 最期の日 泣きながら妻が電話して来た 予感があったのに仕事に出てしまった もう意識がない父に言い訳も出来なかった あの日なぜ仕事に行…

詩)夜の太陽

俺は誰にも知られないように女の乳房をまさぐる 女は狂ったように変化し 浅い沼だと思っていたそこはもう 夜の太陽だ 俺は真っ黒になり 手を突っ込む これは春でも夏でも…

詩)恋をしたい猫

猫は外を眺めていた 少し風のある夜 窓を開け 自分の身体に流れている血を思った 自分の血はどうしたら乾かせるのだろう 心にはいつまでも消せないものがあり続ける こん…

詩)眠れない詩人のために

眠れない詩人のために とってもいい人のように 眠れるように 言ってみたりしたが ぼくはそもそもそんなにいい人ではなくて ただの酔っ払いで 失敗の連続の つまんねー男で…

詩)茅ヶ崎 昼飲み 意味を求めず

虎舞竜のロードが流れる茅ヶ崎の居酒屋で 昼飲みしている 今日は4月なのに6月のような暑さだ 客はキャップを被った女性が僕と対面に 並びには右に女性二名がせんべろを頼み…

詩)変革

さっきから小さなことを 何か言いたいのだ 留まっている言葉 言いたいことは単純で それなのに言葉にすると 言いたいことが逃げていってしまうんだ あんなに言いたいと思…

ルポ4.22 大久保ひかりのうま「パレスチナへの詩とうた」「きっと、伝説として語り継がれる夜になる」 

4月22日、大久保駅から徒歩30秒「ひかりのうま」では17時に音楽関係の音合わせリハーサルが開始されていた。白拍子の桜井真樹子さんの呼びかけで「パレスチナへの詩と…

詩)悲恋

なぜ という問いに 僕は答えられなかった わからないというのは綺麗すぎる わかっていた 自分にも同じ思いがある それなのに わかったように聞いていた 僕には 答えはな…

アースデイ特別公演「ガザ・パレスチナへの詩と歌」

もうすぐです。 アースデイ特別公演 ガザ・パレスチナへの詩と歌 第二のナクバに抗して 4月22日、大久保ひかりのうまです。19時開場 パレスチナとガザの緊張がイスラエル…

詩)脇役

食べると洗い物が出る 小皿とお椀はまず水で表面を流してから水に漬けて 箸なんかの小物も一緒に 油ものは一通り洗い終わった後に最後 魚を焼く網も水につけて付いた油をう…

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第2詩集「もぎ取られた言葉」が刊行になりました!

コールサック社様より、第二詩集「もぎ取られた言葉」が10月27日発売になりました。第1詩集「声を上げずに泣く人よ」ともども、よろしくお願いいたします。装画は前作に続きmichiakiさんです。 世界を解釈する際には、その地域で引き起こされている悲劇的な犠牲者の行為そのものを、「既成の言葉」を超えていく「新たな言葉」として認識していく必要がある。高細玄一氏の詩篇は現代詩の限定された言葉の美の世界を食い破っていき、不条理な世界の地域社会で犠牲者となって、この世界から抹殺されてい

詩)エーイチ(AI)

ある詩の会合でのことだ 話は愛をどう描くかになり 会合のメンバーは若くないのだが 僕は妻以外の女性とのことも今でも描いてますよと一人の男性がいい 別のある男性が僕なんかなかなかそのまま描けないなあ 少し変えて描いてますとか そういう話が少し続いて すると端正な顔立ちのご婦人が男たちに少し挑むように話始めた 「今の時代は虚の世界。嘘でもあったことのように描く方がたくさんいらっしゃるじゃありませんか。かの有名詩人の方なんて 実体験なんてまるでなくても技術で描いていらっしゃる。でも

詩)赤光の

真っ暗な空を見る 目の前の女性を見る 貴方の前に僕は いますか 貴方はきっと 僕の心が 狼狽えて 跪いているのをきっと 知らない 真夜中に夢を見る 怖い夢 異形の動物の横顔が 迫って来る 眠れない夜は 塊を抱える 貴方はきっと 僕の心が 狼狽えて 跪いているのをきっと 知らない 円形のランプが放つ光を見る 光の周りには 何がありますか 僕は そこにいますか 貴方はなぜ知らないのですか 貴方を待っていることを  もう 言葉にすることさえ 恐ろしいくらいなのに

詩)本を読む人の美しさ

本を読む人の 美しさは 二本の指先で 本をおさえ 一本の指で ページを弾く 目線の 送られた先に ある文字は 誰かが愛した 花のよう 真っ暗な 時は 過ぎて 後ろから 挿すものが何か分からず それは一点の 文字を追う 紙は 足元の美しさ

詩)主人公

生きるとはなんだろう この不思議はなんだ 好きなことが嫌いに思える 後ろ姿が透視絵のように 真っ黒な背広に白いシャツが背中で出ている 胸元を開けた男がメールに集中している 真っ黒な全体が下から上へと覆う時 効きすぎたクーラーの壊れた温度調節 骸骨のような男が右手を軽くにぎって  ここが一番いいところだと指し示す ぶっ壊れ その先はなく それでも 生はここにあり 想像の中よりもずっと 先にある そこには ほんとうは何もない 断絶が見え 無理に引っ張ってきたものが なくなり

詩)果てるまで

素朴な言葉は強い 骸骨が俺を睨む おまえいつまで人間でいる気だ? ああ わかっているさ そんな事 わかっているさ ねえ 悪魔の薬飲んでみたいわ 真顔で女はそう言う そんなに焦るなよ その気持ちを少し鎮めなよ 今日は風が吹いているじゃないか ジョップリンは 生きながらブルースに焼かれちまった 火の中で ブルースを歌うんだ 涙が左目だけから流れる 健全な生活は美しく こんなところで 俺はまたも恥ずかしくも生きている 店の看板に  咆哮は勇気 誰にも止められぬ叫びを発す 恐れ

詩)予感

コロナ禍の前に逝ってしまった父 最期の日 泣きながら妻が電話して来た 予感があったのに仕事に出てしまった もう意識がない父に言い訳も出来なかった あの日なぜ仕事に行ったのか 今も悔やむ 小田急線の普通に乗って藤沢へ行く 母親と娘が「じゃこれは?」と話している センスの磨き方という本を二人で見て こんな時間が永遠に続くと思うんだ 記憶にきっと残らない大切な時間 娘が高校生の頃 誕生日のプレゼントで一緒に靴を買いに行ったことがあった 横浜の店を一軒ずつ周り 最初の店で娘がとて

詩)夜の太陽

俺は誰にも知られないように女の乳房をまさぐる 女は狂ったように変化し 浅い沼だと思っていたそこはもう 夜の太陽だ 俺は真っ黒になり 手を突っ込む これは春でも夏でも秋でも冬でもなく 漆黒の闇 やかんの音がする しゅうしゆう しゅうしゅう あれはいつだったのか あれはどこだったのか 空気が震えている 俺は泣いている いのちはもう形はなく いいのだ これで きれいなものだけがあるわけじゃない 火星のようにここに冴えまくり 俺は舐めている 俺はもう真っ赤になり 自分で自分をむし

詩)恋をしたい猫

猫は外を眺めていた 少し風のある夜 窓を開け 自分の身体に流れている血を思った 自分の血はどうしたら乾かせるのだろう 心にはいつまでも消せないものがあり続ける こんなにも脆く こんなにも壊れてしまいそうな わたしが死んだらあの人は 思い出してくれるだろうか ねえ 応えて  ねえ わたし  静かな生き方がしたい訳じゃないの からっぽの身体に真っ黒なアスファルトを 流し込まれたら 眼を真っ赤にして 真っ赤に焼けた鋼鉄が打ち込まれたら 内蔵ごと絡みついて 蒸発するまで 雄叫びを

詩)眠れない詩人のために

眠れない詩人のために とってもいい人のように 眠れるように 言ってみたりしたが ぼくはそもそもそんなにいい人ではなくて ただの酔っ払いで 失敗の連続の つまんねー男でしかなく それでもなにか言葉で伝えたく 馬鹿なのに嘘っぱちなのに ああでもない こうでもないと 眠れない詩人に言ってみる こんなこと言ったところで なにか伝わるのかと 思うんだが 言葉というのは不思議で ぼくの言葉が勝手に次の言葉を紡ぎ出し 眠れない詩人が頷くと また別の言葉が出て来る その不思議 酔っ払いは

詩)茅ヶ崎 昼飲み 意味を求めず

虎舞竜のロードが流れる茅ヶ崎の居酒屋で 昼飲みしている 今日は4月なのに6月のような暑さだ 客はキャップを被った女性が僕と対面に 並びには右に女性二名がせんべろを頼み 左にも二人の若い女性がせんべろを頼む つまりは昼飲みの居酒屋は 圧倒的に女性の居場所なのだ 今まで知らなかった 僕は一人だ 両側から楽しそうな会話が聞こえて来る ママにナイショよ。 めっちゃくっちゃウザくて ハハハ! 美味しいじゃん? 充実はしてるけど なんかずっと立ってるじゃん ほとんど立ってるもんね いい

詩)変革

さっきから小さなことを 何か言いたいのだ 留まっている言葉 言いたいことは単純で それなのに言葉にすると 言いたいことが逃げていってしまうんだ あんなに言いたいと思っていたのに ほんとうに言いたいことはなんだろう 考えてしまうと崩れていく 崩れてしまうと何も言えないまま こんなことの繰り返し その中で 内と外が一瞬 入れ替わりながら 何か言いたいことを作る 言葉はまだ静止してしまっているが 深く深く根を持った言葉が 現れるのを待ち それは最初に言いたかったことと同じ

ルポ4.22 大久保ひかりのうま「パレスチナへの詩とうた」「きっと、伝説として語り継がれる夜になる」 

4月22日、大久保駅から徒歩30秒「ひかりのうま」では17時に音楽関係の音合わせリハーサルが開始されていた。白拍子の桜井真樹子さんの呼びかけで「パレスチナへの詩とうた」に集まった様々なジャンルを超えたアーティストたち。私も18時の詩のリハより早めに「小屋入り」したが、すでに歌人の大田美和さんはスタンバイしていた。詩人の伊藤芳博さんが岐阜から来られた。初対面である。「実はロードバイクで走行中にトレーラーに接触されて。死ぬところでした。」とびっくりするようなお話をされる。ソマイア

詩)悲恋

なぜ という問いに 僕は答えられなかった わからないというのは綺麗すぎる わかっていた 自分にも同じ思いがある それなのに わかったように聞いていた 僕には 答えはなかった それは生きるということへの 優しい問いかけ そして 悲しい問いかけ 答えはなかった 20年以上別の人に恋していたと 死の床で告白され 恋だったと言われた時 人は何をどうすればいいか どこに答えがあるのか 真っ赤な太陽が ある時と 真っ黒な太陽が 沈む時が ここで交じる ここで泣き ここでお互いの眼を

アースデイ特別公演「ガザ・パレスチナへの詩と歌」

もうすぐです。 アースデイ特別公演 ガザ・パレスチナへの詩と歌 第二のナクバに抗して 4月22日、大久保ひかりのうまです。19時開場 パレスチナとガザの緊張がイスラエルの挑発によって、イランとの直接対決、世界的な戦争へと発展するかもしれない要素が日に日に増しています。 その中でガザの100万人を超える飢餓が見捨てられようとしています。 それこそが(世界の視野をガザから逸らす)ことこそ、イスラエルの目的ではないでしょうか。 わたしはパレスチナの側に立ち、平和的解決を求めます。

詩)脇役

食べると洗い物が出る 小皿とお椀はまず水で表面を流してから水に漬けて 箸なんかの小物も一緒に 油ものは一通り洗い終わった後に最後 魚を焼く網も水につけて付いた油をうかせ そうすると割と簡単に落ちる 食べることはとても楽しい 楽しいことのあとに 洗いものがある 食べる 捨てる 洗う 拭く 水気をしっかり取って仕舞う また出すときに分かるように さて料理は 主役があって脇役がある 洗い物は要領よくかたずける準備があり 頭でなく手で 𦚰も主もなく 順番にこなす 生きる それは