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7インチ盤専門店雑記398「ビートルズの7インチ」

みんな大好き、ビートルズの新曲がリリースされまして、7インチ盤も発売されるというのでウェブ上のショップを覗いてみたら、どこも3千円以上していたので、さすがに買うのは諦めました。何度も書いておりますが、元々リアルタイムで聴いたわけではないので、あまり思い入れはありません。青盤と赤盤はCDに切り替わる頃に安く入手しておりましたが、あまり多く聴いてはおりませんでした。周囲のみんなが「良いぞ、凄いぞ」と言うと聴かない性質です。ミレニアムの頃にカミサンが「1」というナンバー・ワン・ヒットを集めたベスト盤を買ってきて、これが自宅で流れるようになってから、「やっぱりいいね」程度に聴いております。

7インチ盤もCDに切り替わる頃に安く手にいれたものが押し入れに眠っていたものがいっぱいあったので、カフェの集客も兼ねてショップにしたわけですが、その中にビートルズも少しはありました。それでも、1980年代後半でもビートルズの7インチ盤は、他のアーティストの盤より気持ち高めでしたね。高いものは買わない主義でしたから、均一価格で売られているようなときに買ったものでしょう…。

でもショップを始める前から分かっていたことではありますが、レコードを見にいらっしゃるお客様の半分以上、おそらく70%程度の方々が、まずビートルズのボックスを覗かれますね。相変わらず、凄い人気です。

個人的には、ジョンよりポールが好き、ジョージの方がもっと好きということ、初期のロックンロールはものによってまあまあ好きかなという程度ですから、後期の曲の方が好きだったりします。「レット・イット・ビー」「ヘイ・ジュード」あたりは、いつ聴いてもいいなとは思います。…まあ、皆さんそうなんじゃないですか。そんなわけで、ストックしてあります。時々余剰在庫ボックスにいたりするので、ご存知の方はご存知ですね…。でもね、余剰在庫に入っていたりするのは東芝EMI盤だったりするわけで、貴重なものは流石に入れておりません。

例えば1970年3月25日リリースの「レット・イット・ビー」だと、東芝音工400円盤、東芝音工500円盤、東芝EMI500円盤とあるわけです。マニア様がおっしゃるには、「何はともあれ音工、普段鳴らすのは状態のいい500円」ということで、「400円盤もっとない?」などと言いつつ、予備になどと言って買っていかれます。「…この前も買いましたよね」と言うのもバカバカしくなるほど潔いマニア様です。

ちなみに「レット・イット・ビー」に関しては「STEREO」の文字があるのが音工400円盤、消してあるのが音工500円盤、印刷されていないのがEMI盤です。

これが69年11月21日リリースの「カム・トゥゲザー」になると、音工400円盤、音工500円シール盤(価格改定盤)、音工500円印刷盤、EMI盤となります。音工500円シール盤は400円盤に貼り付けてあるわけで、中身は400円盤ということで、お値段は400円盤とかわりません。でも500円印刷盤よりはお高くなります。EMI盤よりは、かなりお高くなります。

「ヘイ・ジュード」は、1968年9月14日リリース、音工400円盤、音工500円盤、EMI500円盤とシンプル…と行きたいところですが、この曲には同じスリーヴでもOdeon盤(OR-2121)とApple盤(AR-2121)がありますから要注意です。Apple社は68年4月設立ですが、どのタイミングで切り替わったんでしょうかね。価格改定盤は見たことありませんが、リリースのタイミングでしょうかね。ちなみに600円定価のスリーヴ・デザインが違う再発盤もありますが、…人気はありませんね。ところで音工400円盤、OdeonとApple、どちらがレアなんでしょうね。リリースは当然ながらOdeonの方が早いわけですが、どちらが多くプレスされているかは分かりません。古けりゃいいってものでもない気がしますけどね…。マニア様は両方、…全部持っているんでしょうね…。

ヒマこいて、こんな写真を撮って遊んでおりますが、ここ2~3週間ほど、カフェが混んでおりまして、遊ぶ余裕がなかったもので、ついついどうでもいいことを書いてしまいました。まあ、ビートル・マニア恐るべし、何枚持っていれば気が済むんだ?というお話しでした…。重ねて申しますが、私はビートル・マニアではありません。「ここは値段がおかしい、安すぎる!」とマニア様から怒られたクチです。

ちなみに、「ヘイ・ジュード」のカンパニー・スリーヴは ↓ コレが正解のようなんですが、ハッキリしたことが分からないんです。実はこのカンパニー・スリーヴが結構レアでしてね。東芝音工の提携先に「WB」すなわちワーナー・ブラザーズがまだいるんですよ。

5か月ほど前にリリースされた「レディ・マドンナ」は ↓ この古いタイプなんです。このデザインは60年代のオールディーズ・ボックスにいっぱいおるんですわ…。

よく似たデザインで、IMMEDIATEのロゴがあるヤツは意外にいっぱいあるんですけどね。ところがIMMEDIATE RECORDSは1970年に潰れているんですよ。だからそんなに長期間使えないはずなんですけどね。

不思議なんですよ、このスリーヴがついている盤は。提携先が潰れているのを承知で、在庫を使いましたかねぇ、東芝さん…。

それから、もう少し後が ↓ コレなんですけど、左側が東芝音工で右側が東芝EMIなんです。…おそらく右側の東芝EMIがミスなのかなと思うのですが、少し世の中に出ているみたいです。

その後すぐにいっぱいある ↓ コレになってしまいますからね。

さらにちなみに、その後の東芝EMIのカンパニー・スリーヴといえば、 ↓ この緑色が有名ですかね?これも上出しと横出しがあるんですけどね…。

東京芝浦電気の音楽部門が東芝音楽工業として独立したのが1960年、EMIが資本参加したのが1973年でして、東芝音工は13年ほどしか存在しません。東芝EMIは2007年に東芝グループがEMIに音楽事業を売却して消滅します。EMIグループも2012年にアメリカのユニバーサル・ミュージック・グループの傘下に入りまして、2013年にEMIミュージック・ジャパンはユニバーサル・ミュージック合同会社に吸収されて消滅と…。この手の話題は寂しくなってしまいますね。

歴史的なスリーヴを見るとなると、提携先のCapitol主導のデザインですが、左側が東京芝浦電気時代のスリーヴだったりします…。要は左側は1950年代、右側は1960年代ということが分かるわけですね。

別に私はカンパニー・スリーヴ・マニアではないんですけどね。サブカル近現代史の研究をしておりましてね。生半可なビートル・マニアを黙らせるにはいいネタでしょ…。

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