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さらまわしネタ帳115 - 懐かしさを楽しむことの効用

昨日も番組3本分の収録でした。普段しゃべる機会も少なく、喉が非常に弱い自分のような人間でも、続けていれば少しは声が出るようになるものなんですね。「喉も筋肉ですから」と、声のプロであるスタッフの声優さんが言ってましたけど、確かに鍛えられるようです。まだ少し咳が出易い状態ではありますが、のどぬーるスプレーとトローチで何とかこなせました。3本が限界かなとは思いますが、昨日は3本目でも喉の調子が悪くなることもありませんでしたからね。ただし、レコードを大量に運びますから、妙な肩こりというか筋肉痛のような痛みが肩周りにあって、シンドイことはシンドイです。

昨日は少し早めに出かけて寄り道しました。といっても、京橋エドグランという京橋駅直結のビルの中ですから、50歩ほどの寄り道です。北原照久さんのコレクションを展示している一角があり、そこで「VAN & Stationary」という展示をやっているんです。まあ、こういった懐かしいものを見るのは非常に好きなので、結構楽しめました。ただでさえレコードと本の山に囲まれて生活しているので、こういったグッズを集めようという気はまったくないんですけどね。

昨日はトーク中心が2本と「1990年代のアナログ」特集の3本でした。最後になった1990年代の音源が妙に懐かしく、いろいろ思い出してしまい、まあ楽しい時間を過ごすことができました。90年代は激動の時代でもあります。事件や紛争も多かったことにくわえ、携帯電話やPCが一気に普及して我々のライフスタイルも大きく変化しましたからね。自分も少しは頑張っていたかなあなどと感慨にふけりながら、好きだった曲の中でもアナログで聴きたい曲、かつ時代を語り易い曲を選び出して聴くわけですから、記憶野を刺激しますとも。

あの時代は、バブル経済がはじけたと言われつつも、まだ前向きでいられた時代でした。「のびしろがある」と言うんですかね。まだ積極的に何かをやろうという意識が持てましたからね。東日本大震災が起きた2011年以降ですかねぇ、何だか不愉快な気分に飲み込まれてしまったような時代になってしまい、とても前向きな気分にはなりません。自分は特に大震災の後カラダを壊したということもありますし、年齢も加味すれば当然なんですけどね。それだけではないように思います。

一方で、自分は老後に自分の居場所を作るようなことを積極的にやりましたから、まだましかなという考え方もあります。「現役をリタイアした後に楽しいことなんてそうそう無いさ」という考えは、五木寛之の「下山思想」あたりで植え付けられたものでしょうか。まあそう人生の終わりばかりを意識しなくとも、老後だからできることもありますからねぇ。そういった意味で、ラジオ番組のお話を頂けたのは本当にラッキーでした。

また、自分で作った自分の居場所だったはずのカフェ経営は、いろいろな意味でストレスも多く、何気に毎日が戦いのような様相だったりもします。もう7年半になりますから、いつでも終わらせる覚悟もできていますけどね。もう少し楽しめるものだと思っていたのですが…、案外タイヘンなものです。

懐かしさを楽しむことの効用は、思っていたほどに後ろ向きなものばかりではありません。みんなが笑っていられた80年代、まだ前向きでいられた90年代の記憶を刺激することで、2020年代の閉塞感を少しでも緩和できたら、また前向きでいられた時代の感覚を少し取り戻せるような気さえします。お砂糖と同じかもしれませんが、ほんの少しだけその感覚があるだけで、随分日常が変わるかもしれないと思えるんです。

「1990年代のアナログ」特集は9月2日OA予定(9月4日再放送)です。お試しあれ。


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