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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : みんなが元気だった時代…

自分は「7インチ盤専門店雑記」などと称して、日々音楽について書いておりますが、これは音楽評論ではありません。タイトル通り、レコ屋が発信している宣伝的な要素があるわけで、若干「コレいいですよ~、買いませんか〜」的な要素が含まれておりますから、基本スタンスは商品説明です。だからといって、ここはクリエーターが集うnoteですから、形式的なものに堕するつもりもありません。またイベントの内容紹介やサブカル近現代史的な内容をブログ的に書くこともありますが、…つまり雑記としての要素が濃いものもありますが、これはほぼ毎日アップしているために生ずる弊害に対処する効果も考えて織り込んでいます。つまり「今日は興味のないアーティストの紹介だからスルーしよう…」的な、嫌形骸を回避することを期待しております。

そもそもが7インチ盤中心ですから、つまりカルトな趣味性の強い世界の話題ですから、万人向けではありません。好きか否かという世界で、少しでも好きが増やせるお手伝いができれば…程度の話です。そこに自分の好みも織り込んで語ることで、「この店には好きなものがありそう」と思っていただければ幸い…というものなのです。

昨今はnote繋がりでご来店くださるお客様も増えてきて、誠に有り難い状況です。ただでさえ「安過ぎる」とお叱りを頂戴することもあるレコ屋ですが、盤を減らそうとしていることもあり、サービス満点ですから重宝がられております。

一方、ウチで開催しているイベントは、傍目にはDJイベントに見えているのかもしれません。結構な音量で3時間ほどレコードやらをかけまくるのですから、そう思われても仕方がありません。…でもイベント資料を見ていただければご理解いただけると思いますが、全然違います。DJは喋らなくてもできますが、ウチの場合はトーク・イベントです。あくまで中心は語りです。バランス的には圧倒的に音楽をかけている方が多いんですけどね…。

今月はサブカル近現代史の80sの回が開催されます。先々月から50-60s、70sとやってきての80sです。MTVの時代、やたらと事件事故が記憶に残っている時代でもありますが、バブル崩壊に向けて上を向いたままひた走る、景気のいい時代です。だって「黄色と黒は勇気のしるし、24時間戦えますか、ビジネスマン、ビジネスマン、ジャパニーズ・ビジネスマン」というリゲインのCMを、何の疑問も持たず、違和感すら抱かずに観ていたわけですから。時任三郎は鬼でも悪魔でもなく、一般的なフツーの人に見えていましたからね。私も毎月160時間くらいは残業してました。夜10時過ぎに仕事が終わって、それから飲みに行ったりしましたからね…。元気でしたねぇ…。

さて、そういった80sのサブカルを含めた空気感を語るとき、自分は頑張って戦後復興を遂げてきた真面目な日本人の揺り戻し、反動について今回は語ってみようかと考えています。50年代後半から60年代前半頃、つまり昭和30年代でしょうか、浜田光夫や吉永小百合さんが戦後復興期の混乱や諸々の社会問題と向き合うような真面目過ぎるほど真面目な日活の映画などをみると、どこで時代が変わったかを考えてしまいます。80sが不真面目というわけではありませんが、明らかに違う空気感がそこにはあります。

まだ娯楽の中心にテレビがあった時代、お猿がウォークマンを聴き、エリマキトカゲが走り、ジェミニがダンスを踊っていた時代、「みなさーんお元気ですか~」と井上陽水が不気味に笑い、「くうねるあそぶ」とかワケの分からないことを言うクルマ(日産セフィーロ)のCMはインパクトありましたねぇ…。

この時代、個人的に嫌だったのが煙草でして、喫煙者はフツーに職場の自席で煙モクモク吸っていたわけですよ。私は生まれて一本も吸ったことがないというか煙草の煙がダメなので閉口しました。それから、まだケータイやスマホがないということもあるのでしょうが、ドラマの中でも平気で職場の電話を使って私用通話をかけまくっているんです。あれは今更に違和感がありますねぇ。小津の「東京物語」で私用電話を上司が取り次いでくれるシーンがありますが、変われば変わるもの、現代のスマホ片手に仕事する姿は想像できなかったでしょう。…85年頃にショルダーフォンが出てきたときは「いらね〜」と思いましたけどね。

本当にみんな元気でニコニコしていた時代ではありました。ねるとん紅鯨団や男女七人夏物語やら定番ネタが豊富な時代です。私はテレビを観ない人間でしたが、それでも憶えているネタを語るだけで騒ぎになります。イベントが始まると皆さん普段の何倍もおしゃべりになって、明るく楽しかった記憶が蘇りまくる3時間を共有することになります。お問い合わせに「もう満席です」とお応えしても、「席は増やせないか」ときますからね…。皆さんホント80sネタ、お好きですよね。

準備している自分も妙に元気だったりしますからねぇ…。「ぜんぶ嘘さ、そんなもんさ、夏の恋はまぼろし~、嘘じゃなーいさ、ウブじゃなーいさ、夏の女はまやかし~…」てか。


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