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7インチ盤専門店雑記371「ランブリン・ギャンブリン・マン」

輸入盤ネタのついでに、超高額盤について書いておきましょうか。もちろん他にも98,000円とか48,000円といった値札が付いている盤がいくつかありますが、これはもう「売らないよ」という意思表示の値札と考えていただければと思います。その中でも98,000円と48,000円という倍ほどに価格差があるのは、やはり思い入れの差やレア度の問題です。実際にウチで動きがあるのは20,000円までの盤です。ここしばらくでは、12,800円の盤がいくつか売れてしまいました。レア盤でしかも極上美品というものがそういったお値段で旅立って行きます。…でもこのお値段の盤は、思い入れはさほど強くないというわけです。

さて、ヘッダー写真の「ランブリン・ギャンブリン・マン」、ご存知ボブ・シ―ガ―の最初のヒットとでも申しましょうか、1968年の同名ファースト・アルバムからのヒット曲です。彼は1961年から活動を開始して、それまでにも地道に何枚かのシングルをリリースしております。でもこの曲がビルボードで17位まで行くヒットになりまして、一躍注目されるわけです。でも日本で認知されるのはもっともっと後になってからですけどね。ハートランド系、すなわちデトロイトあたりの労働者にウケたローカル・アーティストだったということなんでしょう。

とにかくこの盤は、ギターとコーラスで参加しているグレン・フライのプロ・デビューの瞬間を捉えている音源ですから、ボブ・シ―ガ―のファンというよりもイーグルスのコレクターのような方が探している盤というわけですね。こういうのが、意外にお安く手に入ったときは嬉しいですね。日本では人気がないと言いつつ、探している方はそれなりにいらっしゃいます。当然のこととして5ケタのお値札です。…この辺りは目利きの勝負と言いましょうかね。アルバムは数年前に再発されておりますから、アナログで聴くことは聴ける音源ではあります。でもやはりこの7インチ盤が欲しいということなのでしょう。ラジオ番組でもかけたことがありますから、ウチのお客様の間では話題になるのですが、「なかなかそこまでは手が回らない」というレベルのお話しです。

問題は中身なんですが、状態はまあまあです。でも十分鑑賞に耐える状態ではあります。演奏はイントロのドラムスなども含め、妙にリアルな鳴りなんです。この言い方で分かる方には伝わると思いますが、まるでスタジオの中で聴いているかのような、エコーによる空間表現が絶妙なんです。…こればかりは実際にウチのスピーカーから音を出して聴いていただいた方がお分かりいただけるかと思います。

曲はいかにも60年代のデトロイトといった趣きのロックンロールですが、なるほど、これはアメリカの車線幅の太い道をゆったり流しながら聴きたいタイプかもしれません。…古き良き時代の名残りのような音源です。人によっては涙を流しながら聴く曲なのかも、と思ってしまいます。まあ、高めの値札を付けておいて、思い入れの強いお客様がいらっしゃれば、お安くお譲りする手の盤ですかね。


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