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7インチ盤専門店雑記423「2023年イチバンいい鳴りは…」

今年もいっぱい聴きました。本当にいっぱい聴いたと思います。少し聴き過ぎたか、寒くなってからは、音が鳴ってない時間を持たないとシンドくなるほどでした。9月にラジオ番組が終わって、その後は好きなだけ好きな音楽を聴いておりましたが、以前にも増して、音質へのこだわりが出てきてしまいました。オーディオテクニカさんのご厚意でハイファイ・オーディオ用のカートリッジをお借りしていろいろ聴いたことが原因かもしれませんけどね。

そこで今年イチバンの鳴り、印象的だった高音質盤は何ぞやと考えてみました。最新録音がいい音で鳴るのは当たり前ということで、2020年以降のリリースには思い切り加重規定を設けてみましたが、まあ流石に今年リリースの盤はいずれも文句無しです。ジョー・ヘンリー「オール・ジ・アイ・キャン・シー」のザラッとした感触があるアメリカーナ、パット・メセニーのエレクトリックにこだわった「ドリーム・ボックス」の余韻のはシビレました。ブラッド・メルドーには毎年頭が下がる思いで、この期に及んでのビートルズ曲集、どうしてこのフレーズを抽出したか訊きたくなっていけません。ピアノの音色の限界を極めたかのようなこのアルバムの鳴りには、あらためて驚かされました。ウィルコもよかったけど、ちょいと地味でしたかね。

旧録はどうかというと、やはり1989年時点のアナログ技術がもの言うか、毎年この時期の録音は意識して探すことになっております。そして今年はドゥービー・ブラザーズ「Need A Little Taste Of Love」が一等賞です。もう秋頃から、今年イチバンはコレと、内心決まっておりました。ぶっちぎり高音質です。ヘッダー写真には1989年のアルバム「サイクルズ」の写真を載せました。これももちろん特A級の鳴りですが、7インチ盤が凄いです。

写真でお分かりの通り見本盤です。…ちょいとズルいかもしれませんが、いいものはいいと。この時期の国内盤アナログレコードは、正規盤を見つける方が難しいと思います。見本盤は当然ながらマトリックスも若い番号です。

「Need A Little〜」、「ロング・トレイン・ランニング」タイプのアコギのカッティングが格好よいイントロで、いかにもドゥービー・ブラザーズっぽい曲です。アルバムからのファースト・シングルは大ヒットした「The Doctor」ですが、この2曲、しっかりアルバムのA面B面の一曲目に置いてあります。オーディオ的な満足度もしっかり考慮に入れたシングル・リリースかと思われます。

「Need A Little〜」は「The Doctor」ほどメジャーではない曲ですが、これはもう流石にというか貫禄の鳴りです。そして、このアルバムにはもう一曲「Take Me To The Highway」という大好きな曲も収録されておりますし、その次のサード・シングル「South Of The Border」も、オーディオ的には文句無しの超絶HiFiチューンです。…売れてませんけどね。結果的にアルバム「サイクルズ」がアナログレコードで出ていることに感謝ですね。

えー、実は12月28日アップロード予定というお話だった某メディアの「今年の3作品」という特集記事が上がってきませんので、大晦日に書くかと考えていた個人的な「今年イチバンの鳴り」を先に書いてみました。ま、バタバタついでにというヤツです。ということで、今年もいっぱい聴きました。来年もいっぱい聴くことでしょう。


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