四十階段 釜山港 ロッテ百貨店でお土産を買って… アンニョン!釜山!(釜山旅四日目最終日)
釜山旅最終日
「四十階段に立ち寄ってから釜山港まで歩こう」
ホテルでもらった南浦洞地図に記載されていた四十階段へ向かう。
まったく知らなかった場所だ。
朝鮮戦争で北から逃げてきた避難民が釜山港を一望できるこの四十階段で会おう!と約束した待ち合わせ場所なのだそうだ。
「釜山に来たからには釜山港を展望台からだけじゃなく近くまで行って見なきゃ」
「だけど釜山港へ帰れと言えばつかこうへいの熱海殺人事件だね」
「それそれ、木村伝兵衛部長刑事役が阿部寛のヤツね。何の脈絡もなく突然客席に登場して釜山港へ帰れを歌う若林ケン!ギンギンでド演歌なんだけど妙にせつない」
1998年PARCO劇場の公演のことだ。
つかこうへいが阿部寛の為に書き下ろした熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン!
そこに登場する謎の男、若林ケン!
今もまざまざとよみがえる名舞台の思い出で盛り上がる。
さてと、ロッテマートでお土産を買おう。
その前に韓国食品チェ~ック!
韓国産粉唐辛子とタンミョンを買って、あとはオンギ入りコチュジャンを買えばよし。
これはロッテ百貨店かな?とロッテ百貨店の食品館で探してもなくて、店員さんに聞いて発見。
「今はもうオンギには入っていないんです。瓶詰めですが中身は同じキスンド伝統コチュジャンですよ」
コチュジャンといえば全羅北道にある郡、淳昌特産のスンチャンコチュジャンだけどこれは日本でも買える。
キスンドコチュジャンはたぶん日本では販売していないはず。
全南潭陽の長興高氏養眞齋門中の十代宗家の嫁であるキスンド名人が家門伝来の秘法で何十年もの間作っている伝統ジャン類(コチュジャン、醤油、味噌などを総称する韓国伝統調味料)のコチュジャンがキスンド伝統コチュジャンという長〜い説明。
味わいは私たちがよく食べているbibigo(KALDIに置いてある)のコチュジャンほど甘くなく、長期熟成させた醤油麹のような味も感じられ、相当辛い。
「お昼ごはん、ロッテのフードコートでいいんじゃない?」
とお店を見て回り、ここだねと決めた。
집밥이 좋다
さすがウェルビーイング好きの国。
お米や水、材料にもこだわっていて、その日の朝調理すること、お店のコンセプトがちゃんと表示してある。
ここでも若くて背の高いモシヌンナムジャが日本語で私たちに接客してくれた。
彼もまたきれいな発音の日本語でかなりの日本語会話力、私たちは清々しい気持ちで食事が出来たのだった。
フライトに合わせてホテルの前からタクシーで金梅国際空港へ向かう。
客待ちしていた個人タクシーだったのでメーターも確認、庶民的なギサニムは
「オオサカ?フクオカ?」
「東京」
「?」
「ドンギョン」
というとわかったらしい。
明るくて話し好きなギサニムと会話を楽しみ、高速道路を通って空港に向かう。
釜山の市場はやはり農協農水産物百貨店が一番、良いものが新鮮で安い、とか観光客は中国、ベトナム、日本が多いとか、海雲台のマンションはほんとに高級、といった釜山生活事情に耳を傾ける。
途中の並木で
「サクラ、ぜ~んぶサクラ」
日本人を乗せたときに覚えた日本語で教えてくれた。
済州島から出て来て五十年、ずっと個人タクシーをやっていること、とうとうと流れる大河、洛東江の川岸を走ると
「コレぜ~んぶサクラよ。ハナミキャクすごい」
ずっとずっと続く桜並木に私たちは驚いた。
サクラは済州から日本に伝わり、蜜柑は和歌山から済州島に伝えられたけれど、済州島の蜜柑は小さくて美味しくないという話に、あっそれそれと思い出したのが、ソメイヨシノ韓国起源説だ。
すでに学術的に決着した問題だけど、韓国人の国民性が表れた論争だった。
どこまでも続く桜並木を車窓から眺めながら、一旦決めると猪突猛進でばく進する国だからこその今の韓国の力なのだろうと思った。
三十分で金梅国際空港に到着
「ほんとに面白い話が出来て楽しかったです。ギサニムありがとうございました」
夫はタクシーに張られた模範ワッペンを指さして
「素晴らしい!」とギサニムに言い、サヨナラを言った。
カフェでお茶をして、機内に乗り込み、空からの絶景を眺め、機内食を楽しみ、飛行機からの富士山のシルエットで郷愁に浸る。
成田空港に着陸。
家路を急ぐ。
※2012年ソウル ロッテ百貨店でオンギ入りキスンド伝統コチュジャンを買ったときのブログです。
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