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暗転

前回より

状況は一変しました

当初のこと、、、
「坪単価は200万程度、、、」

素人なりに、広く周辺地域の不動産屋を巡り調べ上げた社長宅の売買価格です。
”3億?いや4億、、、もしかしたら5億くらいするんじゃ無いか、、、”
社長が新たな住まい探しに顔を綻ばせていたのを憶えています。

実際、この時すでに新たな住まい探しを進めていたのです。
税金対策もあったため、会計士を含めて色々と話を進めていました。
少し借入をしていくつかマンションを購入しようとか、、、
会社のビルを建てようとか、、、
そんな楽しい話をしていたわけです。

がしかし、事はそんなに甘くなかった。

板挟み


恐怖の売買交渉の日から毎日のように僕の携帯電話に連絡がありました。
勿論、仲介業者のおじさんからです。
”何とか話を進めてくれないか、、、と”

僕としては、仕事はまさにリニューアル準備に追われる忙しい毎日でした。
より集中して取り掛かからなければならない大事な状況だというのにつまらない
電話で邪魔される、意識を持っていかれる、、、。
恐々に散々な目にあった売買契約の話し合いの後です。
あんな連中と2度と関わりたく無いと思っていました。

浮かれ気分はとうに無くただ面倒でならなかった。
”なんで他人の話に自分が関わる必要が、、、”
そんな手のひら返しの自分がいたのです。

しかし話はそうもいかなくなった、、、。

相変わらずおじさんからの鬱陶しい連絡は毎日のように続いていました。
何より、あんな怖い目にあっておきながら、それでも社長は売る気満々、、、
何とか話をつけてと僕に強請ってきていた。
それが何より面倒で嫌だった、、、よく憶えています。
そもそも社長にしてみれば元々無いも同然の不動産です。
自分のお金で買ったわけでもないですからこうなったらさっさと処分したい。
そのように考えていたわけで、なんというか、、、一人楽天的でいたわけです。

多勢に不勢


大概の場合、人は大勢に囲まれると萎縮するものです。
その時、僕はそれを初めて経験したのです。

。。。。。。。。。。

場所は仲介業者のおじさんの事務所の斜向かい。
大手ファミレスの 〇〇ホストでした。
どうして事務所ではなくこの場所だったのか分かりませんでしたが、
とにかくこの場所で話をしたいとのことだったのです。

直にあっての交渉はこれが2度目です。

ですが、当日になって社長は体調不良を言い訳に同席しなかったのです。
でもそれは間違いなく仮病です。
(なぜならその前夜、僕らはそれなりに楽しく過ごしていたからです)
あの輩に会いたく無い気持ちはよく分かりましたが、それは僕も同じ事。
やっぱりここも人任せ、僕に任せて我関せずなのでした。

他人には決して理解できない男女の間柄。
様々な形があっても不思議ではない事はわかっているつもりですが、それでも
やっぱり超不思議な関係だったのです。

余談ですが、、、
今こうして当時を思い出しながらnoteに記していると時たまほくそ笑んで
しまう自分がいます。
だって会社も自分の大事な財産も全部僕任せだったのですから。
それでいて僕の家庭を壊すような事は一切なかった、、、信じられません。

僕にとっては居心地の良い関係だったのですが、あの時の社長は一体僕に何を
求めていたのだろうか、、、居心地はどうだったのだろうか。
今では確かめる事もできませんが、、、。

。。。。。。。。。
ということで、その日僕はたった一人でそこに向かったのです。
すると、ガラガラの連中は〇〇ホストの窓際の一角を占領していました。
総勢何人いたでしょうか、、、。
前回よりは明らかに多い人数を引き連れ奴らはそこにいたのです。
他のお客からすれば異様な雰囲気だったと思います。

「今更話はなかった事にはできないから、とにかく早く売ってくれ」

こんな話で交渉は始まったのです。

続く


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