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ギク川霊のぎっくりしゃっくり昼下がり 23年冬 - 1

そういうことである。

唐突だと思われる方がいらっしゃるかもしれないが、わたしは以前からこういうことをやってきたのです。

なんと前回から1年以上経ってましたのですよ。

 前回はピリカグランプリでご参加いただいた作品を拝見するにあたって、審査の軸をもつために試作した文章をもとにやりとりが繰り広げられたのでした。

 今回は、どうなりますやら。



はいっ! もうお久しぶりでございますよ。皆さん! 覚えてらっしゃいますか皆さん!? わたくし帰ってまいりましたよ、ギク川霊でございますとも、ええ、もう! 
わたくしのラジオ番組「ぎっくりしゃっくり昼下がり」、もうこのままフェイドアウトかと思いきや! 復活でございます〜パチパチパチ!

ほんとですね、いやーお久しぶりすぎまして、わたくしのことをご存知ない方もいらっしゃるんじゃないかと、ええ、そう思っちゃったりするんでございますけれどもギク川でございます〜ええ。

もうですね、12月ですって! 12月ですよみなさん! ほんとね、年々時間が過ぎるのがモーレツに速くなってるってうわさですが! みなさんお元気にお過ごしでしょうかっ! わたくしギク川はもう相変わらず元気元気でございまして、ほんとね、このまえなんて「あなたは元気が取り柄だねー」とか、おばあちゃまに言われちゃいまして、思わず「はいっ!」って返事しちゃったんですが、ほんとね、元気があればなんでもできますから、ええ。

ということで!

今日もですね、geekさんとともに進行してまいりましょ〜。参りますよ〜バッチ来ーい!でございますっ!、はいっ! 
では、geekさん、どうぞ!

……あ、はい。おひさしぶりです。

お久しぶりですね! もうですね、お久しぶりすぎまして、わたくし忘れられてるんじゃないかと! ないかと!

そんなことないですよ。

ほんとですか?

ほんとです

間髪入れずにきましたね。
わかりました。よござんす。

……よござんす(笑
そのフレーズこそ久しぶりに聞きました。なつかしいですね。

はいっ! このノリを思い出していただいたところでですね!
今日も進めていきまっしょ〜! geekさんよござんすか?

よござんす(笑

はいっ!
今日はですねー、geekさんのお書きになったお話のことでございます〜ええ、そうなんですよ。

えっ、どれですか

これですよ、これ! じゃじゃーん!!

geekさん、これ書きましたね? 
身に覚え、あるんでござんしょ?

あー、確かに。
身に覚えがあるんでございますけれども

ということで、はやてについて、お話を伺っていきたいと思いまっす! よろしくお願いいたします〜

はい。自分で書いたので。
聞きたいことがあれば、何でもどうぞ。

ありがとうございます〜。まずですね、こういうお話を書こうと思ったきっかけってどういうところですか?

きっかけ、ですか。ウミネコ文庫っていう童話集の募集企画があったので、そこで何か書けたらいいな、とは思ったんですけどね。

童話、ですか

そうなんですよ。童話です。
でも童話って書いたことないですし、何を書いたら童話のカテゴリに入るかって、ちょっとよくわからなかったんですよね。
で、自分なりにその辺を理解しないといけないなと思いまして、ええ

ギク川ですね、童話っていうと、アンデルセンとか、まんがにっぽん昔話みたいなものが、ええ、思い浮かんじゃいました!

そうですよね。
わたしもそんな感じなんですが、既に完成したお話をね、これは童話ですって出されると、そうだよねって思うじゃないですか。でも、新しく書いたものを、これは童話として扱っていいですか?と問われたら、どう判断したらいいかなって思っちゃったんですよね。

ギク川さんは、童話とそうじゃないお話との境目ってどこにあると思います?

あ〜、むずかしいですね。確かにそこの境目、考えたことないです。何か、きまりごととかあるんですか?

それが、最初よくわからなくてですね〜

なんと! geekさんどうしたんですか?

そうなんですよ、なんと!ってなりますよね。いろいろ考えたんですけど、結論だけ言うと、境目がある人にとってはあるし、無い人にとっては無いのかな、と思いました。

あの、geekさん

はい

けっこうテキトーですね

ははっ。そうですよね。
うーん、でもそんな気がするんですよ。受け取る人の心しだいかな、と思うところもあるんです、正直なところ。

童話って、大きく捉えると文学作品のひとつですよね。

はい

でね、文学って、もっと大きく捉えるとアートのなかのひとつの分野だと思うんですよ。

……なんだか、話がおっきくなってきましたね

あ、すぐ戻りますから。でね、人には2種類あると思うんです。アートが存在する人と、アートが存在しない人。

えっ? そうなんですか?

そう思うんですよね。たとえば同じもの、自然の不思議な造形でも人間の素晴らしさでも、逆に人間の嫌なところでも、なんでもいいんですけどね、うーん、具体的なたとえのほうがいいですね。たとえば、きれいな海を見たとしましょうか。真っ青な海。

はいっ! 海ですねっ! リゾートの海、知ってますよ〜

よかったです。
でね、その海がきれいだと思ったとして、そのきれいだと思った気持ちを誰かに伝えたいって思うことがありますよね。その気持ちを伝えるときに、たとえば文章に思いを込めて伝えるとか、絵に描いて伝えるとか、写真で切り取って伝えるとか、そういうことがあるじゃないですか。

ありますあります!

そういう人にとっては、アートってあると思うんですよね。でも、海が青くても特にその青さを伝えようと思わない人もいますよね。たとえば、ずっとそこに住んでいて当たり前の感覚になってて、別に何とも思わないとか。
それが当然だと思っていると、海の青さを人に伝えようって気持ちにもならないですよね。それは、感性が優れているとか劣っているとかいうこととは違うと思うんです。気づきがあるかどうか、ということだと思うんですね。

気づきですか〜

この記事で引用したんですけど

「アートは自己と世界との境界線を溶解させ、世界の深さに触れ、驚きと歓びとを味わうメディアです」

っていうのがあって、驚きとか歓びって、自分の気持ちが動かないと生じない感覚だと思うんですよね。で、自分の気持ちが動くには、特に驚くってことを考えると、そこに気づきがあるんじゃないかと思いまして、はい。

気持ちが動かないと!
……ということはですよ、同じものでもですね、そこに気づきがないと見過ごしちゃうからアートとして捉えないけど、何かに気づいたらアートだと感じるかもってことですね!

あっ、そうですそうです。さすがギク川さん。
そう考えるとね、アートってすごく主観的なものなんじゃないかと思ったんですよ。だから、これはアートだとかアートじゃ無いとかっていう線引きってあんまり意味がない気がするんですよ。そりゃ、そういう議論を職業にしてる人は違うでしょうけど。

あー、ギク川ですね〜、わかってきましたよ! 
geekさんさっき、童話は文学作品に含まれて、文学作品はアートに含まれるっておっしゃいましたけど、そこでアートと感じるかどうかはその人次第だってことはですよ、

はい、

文学作品や童話だって、その人の感性で文学だ!と思ったり童話だ!と思ったりするってことになりますね!

そうそう、言いたいのはそういうことです。
さすがギク川さん。
だから、童話かどうかって、これまでの経験からそれを意識することは大事だと思うんですけど、童話とそうじゃないものの境界線を引こうとしてもあんまり意味ないなーって思いまして、ええ。

じゃあ、ギク川が書いたものでも「童話ですっ!」と言っちゃえばいいんじゃないかと!

あーなるほど。
一方で、童話というカテゴリの枠について、いくつかの情報があるので、知っておくといいと思いますよ。

あっ、あるんですか?

あるんですよ

あの、geekさん、そういうのは先に……

ははっ、そうですよね。
まあ、自分で仮説を立ててから世の中の情報と比べてみるってことで

そっかー。自分で考えてみて、答え合わせをすると!

答え合わせ、みたいなものですかね。
で、こちらなんか見てみますと小川未明の言葉が載っています。これを意識して周りの情報を整理してみると、いまのわれわれがみる童話って、鈴木三重吉の「赤い鳥」に連なる流れの下流にあるように思えるんですね。

「赤い鳥」ってなんですか?

日本で最初の童話・童謡誌です。アーカイブも見られるので、興味があったら見てみてくださいね。子どものために、大人が本気で取り組んだって感じがしますよね。わたしは童話ってそういうものなんじゃないかな、と思ってます。
もちろん、書く時には書き手は楽しんだほうがいいんですが、書いた先の景色を想像して書かないと焦点のボケたものになるんじゃないかな、と

あのー、書いた先の景色って、わかるんですか?

あー、具体的な景色って、うーん……わかんないですけどね

えーっ!? さっきの発言は……

なんて言うんですかね……、景色っていうのは、そう、言ってみれば読んでくれるであろう人のことですね。書いてる時に「あの人に読んでほしい」とか「この人がいい話だって言ってくれたら成功かな」と具体的にイメージして書くので。

景色っていっても、絵に描けるようなものじゃないってことですねっ!

そうですね、そういうこともあります

なるほど〜、……あっ! はいっ! ここでいいお時間なのでですね、この続きは次回にしたいと思いまっす!

あら、そうなんですね。回数を分けるって作戦で。
そういえば、ぜんぜん本題にいきませんけど

次はですね、いよいよ本題に入りたいと思いまっす!

そうですか

そうなんです。
geekさん、よござんすか?

……よござんす(笑