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ウェクスラー検査の理論解釈マニュアル臨床群における「知的ギフテッド」定義の変遷

G Wも残すところあとわずか。ダラダラと過ごしている。昨日は3冊のウェクスラーの理論解釈マニュアルを眺めながら臨床群研究の自閉症記載について眺めていた。
 ふとWISC-Ⅳ,WAIS-Ⅳ,WISC-Ⅴにおける「知的ギフテッド」の定義について眺めてみようかと。

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 臨床群の「知的ギフテッド」の冒頭の定義

【WISC-Ⅳ】
 知的ギフテッドとされる子どもたちは,知的機能,創造的思考・生産的思考,リーダーシップ,芸術能力,あるいは他の特定な領域において高い能力を示す(Marland.1972:Sparrow&Gurland.1998:Winner.2000)

【WAIS-Ⅳ】
 知的ギフテッドとされる人たちは,知的機能,,創造的・生産的思考,リーダーシップ,創作や視覚的芸術,あるいは他の特定な領域において高い能力を示す(Marland.1972:Sparrow&Gurland.1998:Winner.2000)

【WISC-Ⅴ】
 知的ギフテッドとされる子どもたちは,知的機能,認知的柔軟性,創造性,あるいは他の特定な領域において高い能力を示す(Gake .2008;Koziol .budding.&Chidekel .201:Munro .2013;Valdes .Vera .&Carlos.2013)

 アメリカでのWISCの4版は2003年とⅤ版の改訂は2014年と11年の差がある。文言と引用のされ年代を見ても,「知的ギフテッド」の定義が絞り込まれたという印象。ある意味,リーダーシップや芸術という評価の難しい曖昧な部分を切り捨てたということか。あるいは,「他の特定の領域」に含んだのか。

 知的機能の高さと創造力,それを支えるワーキング容量と認知的柔軟性というところですかね。認知的柔軟性にはワーキングメモリ容量が関与するか。

 知的機能と創造性に加えて認知的柔軟性が加わった点が注目。外部環境からの変化に対して考え方を柔軟に変化させることができる能力・・・。
 ウェクスラーさんは知能とは「自分の環境に対して,目的的に行動し,合理的に思考し,効果的に処理する個々の能力の集合的または全体的なものである」と。どちらかというと,ダーウインの「学習とは絶えず変化する環境に適応するために人間が用いる生存手段」と。 

 周囲の環境に対して柔軟に対応できる能力こそが知的ギフテッドの本質的な面かもしれない。


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