秋桜

日々思い浮かんだこと、幼い頃からの出来事などを綴っています 好きな作家(敬称略)・作…

秋桜

日々思い浮かんだこと、幼い頃からの出来事などを綴っています 好きな作家(敬称略)・作品  江國香織「なつのひかり」  高田郁「あきない世傅」  若松英輔「藍色の福音」 好きな映画  “The Notebook", “The Polar Express" 「まちの本屋」

マガジン

  • 遠い記憶

    こどもの頃からの出来事を綴ったもの (不定期更新)

記事一覧

祈り

雨上がりのグラウンド 応援席は粘土のぬかるみ これから始まる 一大イベント 揃いのはちまき ゼッケンに旗 折々聞いた 競技の数々 練習に疲れ 朝まで熟睡 今日こそ本番…

秋桜
7時間前
1

往復

毎度 持ち時間が限られ 宙に浮いた出来事を ようやく回収 一区切りつき これで約束が果たせると 安堵もつかの間 新たな懸念の広がりに つい動揺する まだ決めつけるの…

秋桜
1日前
2

想定

人づてに聞いて 訪ねた先で 提案された 期限付の解決法 逡巡の挙げ句 それに乗った 実際は 思うようには 事は運ばず 逃げ出したい衝動にかられつつ 弱音は吐けず 目…

秋桜
1日前

朝練

その日は 早く着くはずだった なのに どうして間違えたのか 気付いた時は 高架の上 引き返しては みたものの もう練習は始まっていた 定位置は最前列で 指揮者の正面 …

秋桜
2日前

応援

2週間で 必ず 結果を出さなければと 特訓スタート つべこべ言わずに 実践あるのみ 口先だけでは 後が続かず 恥をしのんで 自分も特訓 立場逆転 遅い弟子入り 辛口コメ…

秋桜
4日前

後ろ髪

あれは確か まだ幼稚園へ行く前の頃 このまま待っててと 母がどこかへ そのまま待てず つい出来心で 鋏を持ったら 次はチョキチョキ 母が戻って大慌て 全ては後の祭り し…

秋桜
5日前

綿雲

かけっこ 玉入れ 組体操 校庭は大賑わい 梅雨入り前の 爽やかな空 雲はわずか くっきり日焼け

秋桜
6日前

背伸び

あと5cmも 背が伸びたなら ジャンプせずとも 鍵に届き 椅子に乗らずに 戸締まり出来そう 思えば 自動ドアのスイッチも つま先立ちで 手を伸ばしていた 朝から 足が…

秋桜
7日前

こだわり

事細かな校則があった時代 抜き打ち検査で呼ばれると 藤色の髪ゴムをさっと外し ポケットから取り出した紺色で 横結びを引っ詰めに変え 席に戻るとすぐ元通り そんな子もい…

秋桜
9日前
3

幸運

もう今が幸せで とにかく嬉しくてと 素直に表現できる人 そのすぐ傍らで 話に耳を傾けるうち 明るいオーラ 飾らぬ思いに つられ笑顔 思い描いた夢と現実との間で 幸運の…

秋桜
9日前

登坂

スーパーの横では 焼き立てパンの匂い おそば屋さんの横では ふんだんな鰹節の香り 一瞬 クチナシの甘やかな誘惑 どこに咲いていたのだろう 振り返る余裕はなく すり鉢…

秋桜
10日前
1

ひよこ

今では考えられないが かつては 小学校の門前に 下校時刻にちょうど合わせて ひよこ売りのおじさんが来ていた 名札の裏に大事にしまっていた 公衆電話用の小銭でも 買え…

秋桜
11日前

不如帰

ふいに 聞こえた 鳴き声は キョッキョ キョキョキョキョ もう一度と 耳を澄ませる テッペンカケタカ トッキョ キョカキョク そう聞こえなくもない ウグイスもまだ近…

秋桜
13日前
1

回顧

1年前 半地下の窓ごしに 川沿いを通り行く人の姿を ぼんやり追っていた きらきらした靴 不思議な問いかけ 捉えどころのない 自分の姿 なぜかふと思い出す 置き物の狸

秋桜
2週間前
1

残響

四阿を後にして 池の方から 聞こえてきたのは 久しぶりの重低音 おたまじゃくしが すくすく育って ソロコンサート 聴き手は 通りがかりの 私だけ 拍手を忘れて ごめんな…

秋桜
2週間前

撹拌

お試しのジュース屋さん 届いたばかりのブレンダー あっと言う間のスムージー 瞬く間に売り切れ また作ろうと アイディア募集 今しかできない季節もの 意外な仕上がり 笑…

秋桜
2週間前
1

祈り

雨上がりのグラウンド
応援席は粘土のぬかるみ

これから始まる
一大イベント

揃いのはちまき
ゼッケンに旗

折々聞いた
競技の数々
練習に疲れ
朝まで熟睡

今日こそ本番
お弁当もバッチリ

どうか半日
晴れますように

往復

毎度 持ち時間が限られ
宙に浮いた出来事を
ようやく回収

一区切りつき
これで約束が果たせると
安堵もつかの間

新たな懸念の広がりに
つい動揺する

まだ決めつけるのは
あまりに早計
半ば打ち消し
次の手を打つ

曇り空の昼下がり
まどろむうちに
景色は次々移り変わり

海に浮かぶ島や
船が見えた途端に
トンネルに吸い込まれた

そろそろ降りる支度を
しなければ

たしかに行き来を
望んでいた

もっとみる

想定

人づてに聞いて 訪ねた先で
提案された 期限付の解決法
逡巡の挙げ句 それに乗った

実際は 思うようには 事は運ばず
逃げ出したい衝動にかられつつ
弱音は吐けず 目を閉じた

神業に感謝しつつも
帰り道は 激しく後悔
誰にも勧めはしなかった

慣れてしまえば かなり快適
やがて足枷になろうとは
微塵も思わず 日々を過ごした

自分で選んだこと故に
自ら決着をつけるしかない

暗闇の中も 光の中も

もっとみる

朝練

その日は 早く着くはずだった
なのに どうして間違えたのか
気付いた時は 高架の上

引き返しては みたものの
もう練習は始まっていた
定位置は最前列で
指揮者の正面

あまりに気まずく
うつむき加減で
時間が過ぎた

あれから 随分経ったけれども
今更ながら 新たな失敗

青信号で突き進むうち
見知らぬ路地に出てしまい
どうしたものかと 空をながめた

不意に あの朝の焦る気持ちが蘇り
手に汗を

もっとみる

応援

2週間で 必ず
結果を出さなければと
特訓スタート

つべこべ言わずに
実践あるのみ

口先だけでは
後が続かず

恥をしのんで
自分も特訓
立場逆転
遅い弟子入り

辛口コメント
泣きを見る

教え教わり
今日もおしまい

後ろ髪

あれは確か
まだ幼稚園へ行く前の頃
このまま待っててと
母がどこかへ

そのまま待てず
つい出来心で
鋏を持ったら
次はチョキチョキ

母が戻って大慌て
全ては後の祭り
しょうがない

おかっぱ頭で
ごまかした日々

すっかり懲りて
大人になっても
前髪ですら
自分で切れない
不器用な私

綿雲

かけっこ
玉入れ
組体操

校庭は大賑わい

梅雨入り前の
爽やかな空

雲はわずか
くっきり日焼け

背伸び

あと5cmも 背が伸びたなら
ジャンプせずとも 鍵に届き
椅子に乗らずに 戸締まり出来そう

思えば 自動ドアのスイッチも
つま先立ちで 手を伸ばしていた
朝から 足がつりそうになり
手動のままでは皆困るので
エイッと気合い どうにか届いた

暗がりで何百本と替えた蛍光灯
外すは楽勝 取り付け必死
見上げる姿勢がなかなか大変
首が悲鳴を上げていた

長身の方々の設計に
何度凹んだことだろう

あと

もっとみる

こだわり

事細かな校則があった時代
抜き打ち検査で呼ばれると
藤色の髪ゴムをさっと外し
ポケットから取り出した紺色で
横結びを引っ詰めに変え
席に戻るとすぐ元通り
そんな子もいた

当時は髪型で部活が分かる
そんな面もあり

左右に結うのは
テニス部
ポニーテールは
新体操

丸刈りは野球部
不揃いな前髪は
サッカー部

ちょっと固めようものなら
たちまち見抜かれ
水道のところで
じゃぶじゃぶ

滴る水が乾

もっとみる

幸運

もう今が幸せで
とにかく嬉しくてと
素直に表現できる人

そのすぐ傍らで
話に耳を傾けるうち

明るいオーラ
飾らぬ思いに
つられ笑顔

思い描いた夢と現実との間で
幸運の重なりを受け止め
かすかな悲しみを拭う

今日一日を振り返り
じんわりと感謝

登坂

スーパーの横では
焼き立てパンの匂い

おそば屋さんの横では
ふんだんな鰹節の香り

一瞬 クチナシの甘やかな誘惑
どこに咲いていたのだろう

振り返る余裕はなく
すり鉢のような坂を立ち漕ぎ

雨が目にしみる日もあれば
信号待ちで 膝頭が火傷しそうなほど
陽が集まる時もある

真夏が気掛かりな
木陰のない舗道

切り開く前は
木が生い茂る
斜面だったはず

開店前のお店と
がらんどうの建物の脇とを

もっとみる

ひよこ

今では考えられないが
かつては 小学校の門前に
下校時刻にちょうど合わせて
ひよこ売りのおじさんが来ていた

名札の裏に大事にしまっていた
公衆電話用の小銭でも
買えそうな値段だった

ふわふわした あどけない姿に
心奪われ 大抵の子は足を止める

ご近所のお姉さんも その1人
こっちがオスでそっちがメス
と説明を聞き 意を決して1羽を選び
飼いはじめてから 逆だと判明

やがて コケコッコーと

もっとみる

不如帰

ふいに 聞こえた 鳴き声は
キョッキョ キョキョキョキョ

もう一度と 耳を澄ませる
テッペンカケタカ
トッキョ キョカキョク
そう聞こえなくもない

ウグイスもまだ近く
さわやかな風
青葉の森

回顧

1年前 半地下の窓ごしに
川沿いを通り行く人の姿を
ぼんやり追っていた

きらきらした靴
不思議な問いかけ
捉えどころのない
自分の姿

なぜかふと思い出す
置き物の狸

残響

四阿を後にして
池の方から
聞こえてきたのは
久しぶりの重低音

おたまじゃくしが
すくすく育って
ソロコンサート

聴き手は
通りがかりの
私だけ

拍手を忘れて
ごめんなさい

撹拌

お試しのジュース屋さん
届いたばかりのブレンダー
あっと言う間のスムージー
瞬く間に売り切れ

また作ろうと
アイディア募集

今しかできない季節もの
意外な仕上がり
笑顔のひととき