Gifted Pocketのはじまり物語。やりたいことやってみるといいよ!

こんにちは、Yasです。

今でこそTSUMUGUだとか、SYABERUだとか皆さんにお届けできる製品があります。最初からそういった製品を作ろうなんて思ってもなくて、明確なビジョンも進む先も何も決まってませんでした。

前回ロボットの話をしたので、今回からは、TSUMUGUとかSYABERUの話をしていこうと思ったのですが、そもそもどのような過程を経て、そこにたどり着いたのかが分からないと説明もしづらいので、今から数回をかけてTSUMUGUが出来上がるまでの過程をご紹介しようと思います。今回はGifted Pocketの始まりの物語。

登場人物は3人。

1. 大ボス 
2. Yas
3. 山中

既に何かが始まってそうな予感がする登場人物ですが、全ての始まりはたった一本の電話でした。

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「お久しぶりです、お元気してますか?」

「えー、あー、うん、いつも通り適当にやってます。」

不遜でやる気があるんだかないんだかな、うやむやな僕の返事にもめげずに山中は快活に話を続けます。

「Yasさんぐらいしか、エンジニアの知り合いいなくて……。相談に乗ってもらうことって可能だったりしますか?」
「えー、あー、うーん、えー、いいっすよ。新橋とかで良いっすか?」
「もちろんです!有難うございます!!」

— ガチャ

かくして、数年ぶりに僕らは再会することになった。元々、知り合いではあったしそこまて親密な仲でも無かった。疎遠なのかというと、忘れない程度にLINEがやってきて、僕もふと思い出した瞬間にLINEしてみたいな感じだった。

面と向かって会うとなると実に数年ぶり。1週間後に会う約束をした。待ち合わせ場所は新橋はSLが鎮座している駅前の喫茶店。待ち合わせの日時にギリギリ遅れないように着くと、ちゃんと社会人している山中がくたびれたスーツを着た僕を迎えてくれた。

— なんて、懐かしい顔なんだ!

そう思った僕は最大限に丁寧に挨拶をした。

「おっす、おっす。お久しぶりです!」
「Yasさん、お久しぶりです。お元気でしたか?」

日本人らしい形式的なジャブの応酬をした後に、珈琲を注文し席につう。水を一口飲んで一息ついた後、早速会話が始まった。

「あのー、Yasさん。AIとかって知ってます?」
「知ってるも何も!なんかそれっぽいことやってたりしますよ。」

そのころの僕は、業務アプリにAIを搭載するという突拍子もないプロジェクトに従事していた。

自身のキャリアとしてはプラットフォームやパッケージソフトウェアで利用するフレームワークのコア部分を作る事を生業にしていた。結構低レイアなエンジニアで、業務開発が主体の会社にしては稀有な存在だった。

個人的に技術を追いかけるのが好きなので、雑食的に様々な技術をつまみ食いしていた。AIなエンジニアではなかったが、嫌々ながらもマネジメントをしていたので、どんな技術があって何が出来るかぐらいは最低限のマナーとして理解していたつもりだった。

「実は、自閉症の子どもの心を落ち着かせるなことをロボット使ってできないかなぁと思ってまして……。AIとかって良いみたいな話をウチの大ボスが言い出しまして……。何とかしろって言われてしまい、よく分からないまま奔走したんですが、もう本当に訳がわからないので。誰か助けてド●えもん!と天を仰いだ時に、頭の中にYasさんならいけるみたいな確信があってここ来ちゃいました!」

実際に会ったことがある人ならわかると思うが、本当の山中はもっと丁寧で生真面目だ。かなりの脚色が加わっているのは否めない。

とにかく急に「AIとロボット」みたいなドラ●もんしか連想しないようなパワーワードが降ってきたのは間違いなかった。

普通の人なら、いやー、なんだか難しいそうですね。どうたらこうたら……。みたいなことを言ってのらりくらりとかわすのだと思う。でも、自己評価、他己評価ともに変な人の僕にとっては取り組んでみたい!とワクワクしたのは正直な気持ちだ。

— パチン

脳内で何かのスイッチが入る音がした。よくある電球がついたみたいなやつだ。

— プログラム書きてーなー、マネジメントもキャリアとしては大事だけど、やっぱりプログラム書きたいなぁ……。

実は毎日そう思っていた。ライフステージの変化によって止むなしに管理職をやっている人も多いと思うので、これには共感できることは多いかもしれなあ。そして、僕はもう1つ違う気持ちがずっと頭の中にあった。

— いつかは子どものためになることがしたい!

がむしゃらに20代を走り抜け、よく分からない渦の中に巻き込まれて30代も後半に差し掛かろうとしていた。その時に、まるで雷鳴にでも撃たれたかのように大学時代の鮮烈な感情が蘇った。

— そうだ、子どもたちのために何かしたいのだ……。

思い出した。完全に思い出した。これは間違いなく自分の人生に課せられた意味なんじゃないのか?直感としてそう思った。このことには確信があった。だから、快く承諾した。
色のない人生、東京砂漠に幽閉されている僕に潤いが戻った瞬間だった。

この邂逅が茨の道の始まりになるんだけど、茨の道とか結構どうでも良かったし、そもそもこれはやり甲斐しか無い!と思ってたから、不安よりもワクワクの方が大きかったのを覚えている。

大体の物事なんてこれぐらい緩く始まるもんだと思う。

とりあえず、「自閉症」について調べてみようと何冊か書籍を購入し、読み耽ってみたが正直よくわからなかった。当たり前だけど門外漢なので、全どれもこれもピンとこなかった。

ボンヤリと得た着想は2つ。

1: コミュニケーションはやっぱり大事
2: 夢中になれることがあると、意識が逸れる

ということだけ、あまりにも漠然としていたし。これはコミュ障の僕からしても全く同じことが言えるわけで、大きく捉えすぎると結局、似通ったところに落ち着いてしまうなぁ……という挫折から始まった。

こんなことで、クヨクヨしても仕方ないので、「夢中になるもの=ゲーム」だな。という超安直な発想のもとにゲームを作ってみることにした。

単純だけど、夢中になれるような気がする子どもむけのゲーム。ただ、ひたすら流れてくる星をタップして消すという、プチプチのオンライン版のようなものを3時間ほどで作ってぶつけてみることにした。

「んー?何か違うんですよね。夢中になれるといっても、こう言う話じゃなくて、何ていうんですかね……、こう人の話を聞いたりとかできないもんですか?AIとかだと自動的に応答してくれるとかあるじゃないですか?!」

「なるほど……。」

当たり前なんだけど、初めのデモはかすりもしなかった。でも、真っ暗だった世界にロボットっていう言葉がちゃんと僕の中で認識できたのはこのタイミングだ。

何となく非現実的な感じがしてロボットの存在を潜在的に忌避してしまって出来そうなゲームを作ろうとしたんだと思う。考える軸が定まってない時の典型的な僕の思考パターンだったので、ここから抜け出せただけでも良しとすることにした。

ヒントを得たので、ロボットを本腰をいれて使ってみようと思い立ち調べ始める。子どもと対峙するなら愛らしいロボットがいいなぁと思って一目惚れしたのがSharpのRoBoHon

— あ、これや!

ピンときた。これしかない、しかもプログラマブルじゃないか!そうだよ、RoBoHonを使った機能をいくつか企画してみよう。この愛らしいロボットは山中のハートも華麗に盗み。僕たちはRoBoHonを使って、自閉症の子どもに何かをするということになった。

「あー、Yasさん。Yasさん。素晴らしいんですけど、これまでの経緯やら、実現したいことをウチの大ボスと喋ってくれませんか?是非、お会いしたいと申してまして……。」

「ん!?大ボスに会うの!?」

— あれ、もしかしてよく分からない倉庫とかに追い詰められて……謎の台詞とともに……。

「普通に、会食したいだけだそうですよ。」
「あ、そうすか。じゃあ、伺います。」

心の中の暴風雨と裏腹にアポイントメントは簡単に取り付けられた。

当日、かなりビビりながら指定されたレストランに行ったのは覚えている。偉い人から直接呼び出しって何か悪い予感がするじゃない?これは、僕の過去によるトラウマかも知れないが……。

色んな話をしたと思う。そもそも、AIでできること・できないこと。RoBoHonでできること・できないこと。自分の来歴、趣味の話。柄にもなく結構緊張していたので、最後に写真を撮ったという事しか覚えていない。

でも、きっとキラキラしながら喋っていたんだと思う。ある程度、食事がひと段落した後に……

「会社を作ろうと思うから、あなたに委ねるわね。」

唐突にそう言われた。

「は!?」

真面目にこう返したと思う。そりゃ、一般人がいきなりお前のために会社作ってやるから、作りたいもん作ってみろとか言われたらビビる。正直、未だに夢だったんじゃないかなと思っているぐらいだ。

かくして、Gifted Pocketは誕生する。気がついたら出来ていたというのが、嘘みたいな本当の話だ。

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