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【発達障害】こんなときどうしたらいいの?#9~スマホ・タブレットに熱中しすぎる~

はじめに
 
スマートフォンやタブレット端末は、現代の生活において欠かせない存在となっています。子どもたちも例外ではなく、動画を見たり、ゲームやインターネットを楽しんだりすることに夢中になることがあります。しかし、特に発達障害のある子どもたちは、これらのデバイスに没頭しやすい傾向があります。


1.スマホやタブレットのメリットとデメリット

ICT機器(情報通信機器)には多くのメリットがあります。例えば、タブレットを使って文字を学ぶアプリや計算練習のアプリを利用することで、読み書きや計算が苦手な子どもでも楽しく学習できます。また、インターネットを使った調べ学習により、子どもは自分のペースで興味のあるテーマについて深く学ぶことができます。
 さらに、デジタルカレンダーを使ったスケジュール管理や、チャットアプリを使った文字によるコミュニケーションは、日常生活の中での計画性やコミュニケーション能力を向上させるのに役立ちます。例えば、発達障害のある子どもが自分のスケジュールを視覚的に確認できることで、日々の生活がスムーズに進むことがあります。
 しかし、一方でデメリットも存在します。例えば、長時間スマートフォンやタブレットの画面を見続けることで、視力が低下したり、急性内斜視を引き起こしたりすることがあります。ある眼科医によると、長時間近距離でスクリーンを見ることで目の筋肉が疲れ、内斜視が急に発生することがあるそうです。
 また、ブルーライトを夜遅くまで浴び続けると、体内時計が乱れ、睡眠リズムが崩れてしまうことがあります。例えば、夜中までゲームをしていた子どもが寝付けず、翌朝起きられなくなることが頻繁に起こるかもしれません。
 さらに、屋外で遊ぶ時間が減ることで、運動不足になり、体力や運動能力の発達に影響を及ぼすこともあります。例えば、屋内でゲームばかりしている子どもが、走ったり跳んだりする機会が減ってしまい、筋力やバランス感覚が十分に発達しないことがあります。

2.ルール作りの重要性

 スマホやタブレットの使用には、メリットとデメリットを理解した上で、適切な使い方を身につけさせることが大切です。例えば、学習アプリを利用する際には、その時間を決めて効果的に活用することで学習の助けになりますが、長時間の使用は避けるべきです。特に発達障害の子どもは時間の感覚を把握するのが難しいため、親のサポートが欠かせません。

 具体例として、ゲームに夢中になりすぎて約束の時間を守れないことが多い子どもの場合、親が定期的に声をかけて時間を知らせることが有効です。また、「あと10分で終わりにしよう」といった具体的な指示をすることで、子どもが時間の経過を理解しやすくなります。さらに、時間管理が難しい子どもには、タイマーを使って視覚的に時間を示す方法も効果的です。例えば、「ゲームは30分まで」とタイマーをセットし、終了時に音で知らせることで、時間を守る習慣を身につけさせることができます。

3.ルール作りのポイント

①所有権の明確化
 
スマホやタブレットの所有権は親にあることを明確にします。例えば、子どもが自分専用のタブレットを持っていたとしても、その購入費や月々の通信料金を払っているのはです。そのため、「このタブレットは家族のもので、使用する時は親のルールに従う」ということを子どもに理解させます。具体的には、使用後に親に返却することや、使用状況を親が確認することができるようにするなど、親が管理していることを日常的に示します。

②時間制限
 
使用時間の制限を設定します。例えば、「1日30分まで」といった具体的な時間制限を設けたり、「宿題が終わってから夜7時まで」といったように、使用可能な時間帯を決めます。具体的には、「毎日放課後、宿題が終わった後に30分だけゲームをしていいよ」といったルールを設定することで、子どもがその時間枠内でスマホやタブレットを使う習慣をつけられるようにします。

③ルールの共同作成
 ルールは親だけで決めるのではなく、子どもと一緒に話し合って決めます。例えば、親が「スマホの使用時間をどうしたらいいと思う?」と子どもに意見を聞き、一緒に「宿題が終わった後に1時間だけ使う」というルールを作ります。こうすることで、子どもも自分の意見が反映されていると感じ、納得しやすくなりますし、ルールを守る意識も高まります。

④ポジティブなルール設定
 時間制限を守れた場合には、「今日は約束を守れたから、明日は10分長く使っていいよ」といったご褒美を与えるなど、ポジティブな強化を行います。これにより、子どもは時間管理の意識が高まり、ルールを守ることが楽しい経験になります。

⑤ゲームごとのルール
 ゲームを利用する場合は、親もゲームの内容を把握し、区切りの良いところで終われるルールを作ります。例えば、親が「今日のゲームは3バトルまでにしよう」「このステージが終わったらゲームを終わりにしよう」と具体的なルールを設定します。これにより、子どもはゲームの区切りを意識しながら遊ぶことができ、スムーズに切り替えられるようになります。

4.インターネットのリスクと対策

 スマホやタブレットを使用する際には、インターネットを介したトラブルにも注意が必要です。親として、以下のような対策を講じることが重要です。

①個人情報の保護
 パスワードは親が管理し、子どもが勝手に変更できないようにします。例えば、タブレットやスマホのロック画面のパスワードは親が設定し、子どもには教えないようにします。また、アプリのインストールや購入が必要な際は、親がパスワードを入力することで承認する仕組みにし、子どもが自分で変更や購入できないようにします。これにより、デバイスの安全な使用を確保できます。

②有害サイトのブロック
 フィルターをかけて、有害サイトやSNSへのアクセスを制限します。例えば、親がスマホやタブレットに専用のフィルタリングアプリをインストールし、成人向けのサイトやSNSにアクセスできないように設定します。また、デバイスの設定からペアレントコントロールを有効にし、子どもが安全な範囲でインターネットを利用できるようにします。これにより、子どもが不適切なコンテンツに触れるリスクを減らすことができます。

③課金の制限
 ゲーム内の課金ができないように、親が制限を設けます。
例えば、スマホやタブレットの設定から課金制限を有効にし、子どもが課金を行えないようにします。また、ゲーム内での課金が発生しないように、親がプレイストアやアプリ内課金の設定を管理し、パスワード入力などの認証手続きを必要とするように設定します。これにより、子どもが意図せずに課金を行ってしまうリスクを回避できます。

 これらの対策を事前に講じた上で、子どもと一緒に安全に使うための約束を決めておくことが大切です。

最後に
 スマホやタブレットは、使い方次第で子どもの成長に大きく貢献するツールとなります。親子でルールを決め、適切な使い方を身につけることで、子どもたちがICT機器と上手に付き合えるようになります。発達障害の子どもにとって、親のサポートと理解が何より重要です。共に学びながら、楽しく安全にデバイスを利用できる環境を作っていきましょう。

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