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こんな北朝鮮に注目! 卵で岩を砕くという思想

2012年のロンドンオリンピックで、北朝鮮は、柔道女子52kg級の安琴愛(アン・グメ)の初の金メダルをはじめ、重量挙げ56kg級に出場した厳潤哲(オム・ユンチョル)と62kg級の金銀国(キム・ウングク)は世界新記録も樹立。世界を驚かせた。当時、メディアは、北朝鮮独自の徹底した英才教育システムと、帰国後の保証されている待遇がオリンピックでの好成績を生んでいると分析した。北朝鮮は幼少期(3歳から12歳まで)からスポーツの才能がある子供を、各地の「少年体育学校」に入学させる。その中で特に優れた子供は、平壌南西郊外にある「中央体育学院」に進学、12歳から約9年間、徹底した指導と厳格な思想教育を受けて国家を代表する選手に育つようになるという。オリンピックでメダルを獲得した選手は、帰国後に特別な待遇が待っているという点も、北朝鮮のスポーツ成績向上の原動力だ。

2014年9月、韓国での仁川アジア競技大会で、北朝鮮の重量挙げが注目された。重量挙げ8種目で、北朝鮮は金3個、銀メダル2個、銅メダル1個など計6個のメダルを獲得した。北朝鮮がこのように重量挙げで強いのは国家的な関心と支援があるからだ。金正恩氏が妻の李雪主(リ・ソルジュ)氏と、2013年に平壌で行われたアジアカップ重量挙げ選手権大会を直接訪ねて観覧したことが、これを証明している。朝鮮中央テレビも金メダルを獲得した選手たちが金正恩氏と一緒に写真を撮る姿などを報じた。

「早期英才教育」は、北朝鮮を重量挙げ強国に押し上げた。多くの子供たちの将来の夢は重量挙げ選手なのだという。韓国の専門家は、「北朝鮮の選手たちの肩と腕の筋肉を見ると、世界的強豪が多い中国の選手たちと比較しても引けをとらない」とし、「才能がある子供をよく発掘して、国を挙げて訓練させてきたようだ」と述べた。

当時、リ・ジョンファという選手が、女子58kg級で金メダルを取った。リ・ジョンファは「優勝できると思ったか」という質問に「元首様が持たせてくれた度胸で絶対に勝利できるだろうと信じた」と語った。

2012年のロンドンオリンピックで、重量挙げ56kg級の厳潤哲(オム・ユンチョル)はジャークで自分の体重の3倍を超える170kgを持ち上げ、世界新記録で金メダルを取った。金銀国(キム・ウングク)も合計332kgを持ち上げ、世界新記録で優勝した。そして、表彰後の記者会見で、彼らが語る勝利の秘訣はやはり「敬愛する金正恩元首様」だった。厳潤哲は北朝鮮の重量挙げの秘訣を問う記者の質問で、逆質問する形で記者たちに「卵で岩を砕けると考えたことがある人は、手を挙げてみてほしい」と尋ねた。黙ってしまった記者団を前に、厳潤哲は「私たちの金正恩元帥はこのようにおっしゃった。『強い思いを卵に込めれば、その卵は強固な岩でも砕ける』。これが私の今大会における信念」と語った。「そのおかげで国旗をはためかせ、北朝鮮国歌を流すことができるようになった」のだと。記者会見は、金正恩氏を賛美する北朝鮮の思想を発信する場となってしまった。

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