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こんな北朝鮮に注目! カカオやLINEをなぜ摘発!?

北朝鮮当局は、カカオトークやLINE、微信(ウィーチャット)などスマートフォンのSNSユーザーを摘発するよう指示している。2016年に出た具体的な中身は、「カカオトーク、LINEなどを使っている市民を反逆者として逮捕せよ」というもの。「SNSを利用する市民は絶対に許さないという脅し文句もあった」とされる。これは、北朝鮮当局が最新の電波探知機を投入して、携帯電話による国際通話の取り締まりに乗り出したのだが、位置追跡を避けられるSNSを利用する人々が増えたため、取り締まり逃れを摘発する措置だったという。ターゲットは脱北者と関わりがあるという疑いがかけられ、逮捕された場合、国家情報機関などの決定に基づいて処理されるため、スパイ容疑で政治犯として収容所に連行されてしまうらしい。

一方、国外にいる脱北者たちはカカオトークを利用して、離れている知人や支援団体との情報共有を行っていて、北朝鮮内のニュースもほぼリアルタイムで得ているという。5年以上カナダで暮らす脱北女性は、ほぼ毎日、北朝鮮の両親と通話をしながら過ごしている。テレビ電話を1、2時間することもあり、女性は両親と離れていても、あまり寂しさを感じることがないという。

カナダで暮らしている他の脱北女性は、カカオトークで中国から北朝鮮産のタラとタコを韓国経由で送ってもらっていたそうだ。知人が北朝鮮から、わずかな水産物や物品を中国に持ち込みカカオトークで写真と価格表を送って、簡単に北朝鮮産の物品を購入することができていたという。カカオトークで、北朝鮮のあらゆるものを販売していた彼女の知人は、世界中に北朝鮮の物を配送していたようだ。

カカオトークのグループチャットは、カナダにいる脱北者の間で、お互いの情報やニュースを共有する重要な役割を果たしている。特にカナダ政府の政策や法律関連の情報はすべて英語で書かれているため、チャットで、英語が分かる脱北者が他の脱北者たちのために、ハングルに翻訳して伝えるなど、助け合っているのだ。情報は欲しいが、自分の身の上が知られるのを望まない脱北者は仮名で活動するなど、脱北者社会の重要なネットワークになっている。カナダにいる脱北者たちは、韓国やイギリス、フランスなど世界各国に住んでいる他の脱北者と同胞サークルや、キリスト教のお祈りの集まりなど、オンライン活動を活発に行っており、遠くに住んでいるという距離感をあまり感じていないようだ。

脱北の現場でもSNSは大いに活用されている。中国と北朝鮮の国境で中国産のスマートフォンを持っているブローカーは、カカオトークで、北朝鮮の写真や映像などを送りながら、脱北情報も共有している。ブローカーは、中国で通じるスマホと、北朝鮮で通じるスマホを持つ。外のニュースを北朝鮮に送るだけではなく、北朝鮮内のニュースを外に伝える重要なルートとなっているのだ。金正恩政権が必死に隠す外の世界の現実と、北朝鮮国内の異常さを国民に透かして見せてしまうインターネット。特に、よりコアな情報になるSNSのやりとりは、金正恩政権に常に不安を与え続けている。


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