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こんな北朝鮮に注目! 南北統一しても人口減少!?

南北が統一しても2030年代半ばからは、韓国の人口減少と北朝鮮の少子高齢化などの影響で、「統一コリア」の人口は減ると指摘されている。韓国側には、統一すれば北朝鮮の若い人々によって、韓国の少子化問題が解決できるというほのかな期待があるようだが、実際はそうはならない。

韓国租税財政研究院の研究委員は「北朝鮮も2038年から超高齢社会に入る」と指摘する。統一韓国の人口減少が早く現れる理由は、北朝鮮もすでに少子高齢化しているからである。古い国連のまとめだが、2015年の北朝鮮の出生率は1.94~2.02人と推定。北朝鮮のような開発途上国に属する国々の平均出生率である4.74人に比べたら、この時でもかなり少なかった。「通常、1人当たりGDPが低いほど、出生率が高いのに、北朝鮮は一般的な数値から外れた特異ケース」といわれている。

その原因として、男性の長期間の兵役のために初婚年齢が遅く、女性が市場・密貿易などの経済活動に参加する割合が高いことなどが指摘される。北朝鮮体制の特殊性のため、所得水準に比べて、出生率が早く低下したというのだ。専門家は、「日本や韓国や中国などは、高度成長期に若い人口が増え、経済規模を拡大する要因として作用したが、北朝鮮はそのような効果を期待するのは難しいだろう」と推測する。

一方、WHO世界保健機関によると、これも2015年の数字だが、北朝鮮の平均寿命は70.6歳で所得水準に比べて高い方だ。世界の平均(71.4歳)とも大きな差はない。少子化が進む一方、寿命は長く、北朝鮮はすでに2001年に高齢化社会(65歳以上の人口の割合7%超え)に入っている。2027年に高齢社会(高齢者の割合14%超え)、2038年に超高齢社会(高齢者の割合21%超え)になると予想される。2017年に高齢社会となり、2026年に超高齢社会となる韓国と10年ぐらいしか差はない。報告書は、「こんなに所得が低い国で、高齢化がこれだけ進展すというケースは、人類の歴史上一度もなかった」とした。

南北が統一すれば、北朝鮮の少子高齢化の問題は、今よりも悪化する可能性が大きい。過去、東ドイツは、1990年の東西統一の直前、1989年の出生率が約1.5人だったが、統一直後の1993年には0.7人と半分になった。チェコ共和国(1989年1.87人→2000年1.15人)、エストニア(2.22人→1.36人)、スロバキア(2.07人→1.3人)など、社会主義から資本主義に転換した国では、体制転換後の出生率が大きく下がった。

一方、韓国の先進医療サービスの普及などで、南北統一すれば、北朝鮮市民の平均寿命は延びると予測される。今より少子化は進み、平均寿命は延びるということである。

韓国にとっては、南北が統一しても、人口が減少に転じるのが数年ずれるだけとみられている。統一コリアの人口は着実に減少し、2060年代には7000万人以下に減るという見通しもある。よく期待の声としてある、統一が少子高齢化の問題を解決するだろうという期待は、絵に描いた餅のようだ。専門家は、「むしろ統一後の韓国と北朝鮮の高齢者に対しての社会保障費の支出が増える可能性が高い」と指摘する。日本と同じく、現在も韓国には、将来に対しての不安から閉塞感があるが、南北統一しても、その部分の不安は何も変わらないだろう。すでに統一効果の一部分は、賞味期限切れのようだ。

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