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3人の男たちが繋いだ、タスキの物語

長い旅路だった。

“超変革”を掲げた2016年。開幕戦に起用された若い1、2番は新時代の幕開けを予感させ、今年マウンドで静かな闘志を燃やす守護神も、悲鳴と共にプロへの門を叩いた虎の主砲も、変革者である彼が礎を築いた。

育てながら勝つ。変革の2年目は最強赤ヘル軍団に食らいついた。実力差は歴然たるものだったが、着々と大きくなる新時代の足音に、僕たちは胸を高ぶらせた。

“執念”を誓った3年目。期待の助っ人は空振りに終わり、17年ぶりの屈辱を味わう。変革者は志半ばでチームを去ることとなったが、その熱い情熱は、彼の戦友であるガッツマンに受け継がれた。

諦めない、超積極的、誰かを喜ばせる。ガッツマンが掲げた“俺たちの野球”は、若い戦士たちに化学反応を起こし、2019年は奇跡の大逆転でCSへと駆け上がった。

翌年はパンデミックに見舞われた。長らく猛虎を支えた多くのレジェンドたちに代わり、輝くホームランアーチストをはじめとした、新時代を加速させる戦士たちが集まった。

“挑・超・頂”。頂に挑んだ3年目は快進撃を演じた。虎のヒットメーカーを中心に、ルーキー、超変革戦士、助っ人たちが華々しく躍動。16年ぶりの頂は確かに捉えたはずだった。はずだった…。後半戦、ツバメ軍団の猛攻に遭う。集大成となるはずだった1年は、頂まであと半歩届かなかった。

リベンジを期した4年目。誰もが予想しない幕開けだった。開幕直後から地底に迷い込み、積み重ねた借金は16を数えた。だが、最後まで諦めないのが“俺たちの野球”。大逆転で再びCSへと駆け上がり、勝利だけでは得られない大切な何かを僕たちに教えてくれた。

それでも頂へは届かなかった。

18年前に頂に立った男はそのことを“アレ”と呼び、再び指揮を執った。変革者とガッツマンが築き上げた最高の戦士たちに、勝つために必要なものを叩きこんだ。

「普通にやったら勝つよ」と、男は大事な試合を前によく口にする。週末の三連戦、2位を寄せ付けない圧倒的な横綱相撲は、“普通にやったら勝つ”そのものだった。

3人の男が繋いだタスキの物語は、いよいよフィナーレを迎える。18年ぶりの“アレ”へ。
頂の景色を皆で見に行こう。

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