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神奈川県立美術館

葉山にある神奈川県立近代美術館で、現在催されている
「芥川龍之介と美の世界」を見学した。
芥川龍之介や夏目漱石の美術への関わり、またその師であった
菅虎雄との関わりに焦点を当てた展覧会で、その視点の面白さに
心惹かれて訪れた。
まだ日本人が西洋の美術の現物を見たことがない時代に、
書物や資料からそれらを検証し、お互いに意見交換をしたり、
「推し」の直筆の書簡などが展示されとても興味深い展覧会だった。

右端は須賀虎雄

明治大正の文学者は、文学者たるもの芸術・・美術や書に
一家言持つ事こそ、文学者としての誇りだったと思っていたのではと思える
展示だった。
芥川や漱石の自筆書画の展示もあり、その性格を伺える気がした。

この度、初めて須賀虎雄の存在を知った。帝国大学ドイツ文学科の第1期生で、漱石や龍之介の恩師だったという。
特に漱石が英国留学帰国後に、東京帝国大学の講師となるべく尽力した
人で、漱石が熊本の第五校に赴任するにあたっても、菅が熊本五校で教鞭をとっていたことから便宜を図ったという。また菅はドイツ語を教えるべく
清国に招聘されたおりに、書画の名士と交流を持って書の道を極めたと
いい、漱石や芥川の本の題字を手掛けたのも菅だそうだ。

漱石、芥川に続く昭和で活躍した文壇の方々との交流などにも触れられていて、近代国文学の世界に浸れたひとときだった。
館外に出れば、雪を被った富士山が清々しく、波穏やかに空青し・・・

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