見出し画像

ターゲティング広告

アラームは15分おきに設定する エニーバニー富島春です。

僕は現在iPhoneユーザーだが、いつからかIOSを更新したタイミングで何か新しいアプリなどを開くと、情報を抜き取って広告を「出す」「出さない」みたいな選択をさせられるようになった。
逆に今までは勝手に抜き取られてたんかいって感じだけど。


そんな機能が搭載される少し前の話。
高校三年生だった僕は、高校を辞めたいと思っていた。
芸人になると高校1年生の頃から意識していたし、附属高校だったのだが大学に進学する気はなく、そのまま養成所に入りたかった僕にはもう高校生活は必要なかった。
高校二年生になって少し経った頃から僕は不登校気味になっていた。
学校までも距離があり時間もかかる。
雨の日は必ず休んでいた。
担任の先生に心配されながらも単位を取り、高校三年生になれた僕はある日携帯で「高校を辞めたら」や「通信高校 編入」など高校を辞めたらどうなるかを調べていた。
知恵袋などで同じ境遇の人の高校を辞めた後の人生などを見て、怖くなる反面芸人ならそれくらい覚悟しなきゃいけないとも思っていた。
だが、三者面談や親との会話を繰り返すうちに僕の高校を辞めるという考えはどんどんなくなっていった。
それからというもの、僕は遠かった高校にも通い、むしろ残りわずかな高校生活を楽しもうとさえ思っていた。


ところが、僕の携帯はそうは思っていなかった。
冒頭にも書いたように、「情報を抜き取って広告に出す、出さない」が選べなかった当時。
僕の携帯には何をする時も、定時制高校への編入の広告が出続けていた。
せっかく僕は改心して高校へと通おうとしているのにも関わらず、僕の携帯は何ヶ月も何ヶ月も定時制高校の広告を出し続ける。
Siriにも言ってみたりした。
「Hey Siri」 俺もう高校辞めたくないよ。
「Hey Siri」 俺まだみんなと一緒にいたいよ。
「Hey Siri」 俺みんなと一緒に卒業したいよ。
「Hey Siri」 俺近所のおばさんの井戸端会議の 話題になりたくないよ。
何度Siriに問いかけても僕の願いは届かず、
「よくわかりません」としか返ってこなかった。

時は経ち、無事高校を卒業して何ヶ月か経つ頃。
定時制高校の広告は出てこなくなった。
その代わりに、芸人の養成所の広告ばかりが出るようになった。







この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?