荒井れん

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装蹄師が育てた至宝

 “私が入門した昭和30年代はどの装蹄所でも蹄鉄はすべて手作りだった。造鉄というが、私たちはみな鉄曲げといい、一日の厩舎での鉄打ちが終わってから、明日打つ分の鉄を曲げるこの作業は一番きつい仕事だったかもしれない。(中略)  二人で曲げる時は鉄床を間に向かい合い、火炉に近い方に先手(助手)が立ち、半分が千度くらいに焼けた鉄棒を大火ばしで取り、術者に渡す。小火ばしで受けた術者は重さ1.5キロの手槌で鉄棒を曲げていく。(中略)  汗が滝のように流れ、そばに水を置いてガブガブ

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