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河童とは?ソーラーシステムの賜物であった話(創作)

どうもこんにちは。
今日も創電してるねえ。

おはよう。
あれ、髪型素敵じゃん、私もそういう感じにしたかったの。

麗らかに声掛けする私は、今や絶滅危惧種と化したレンタル図書館に勤務している。
世の中みんな電子信号というのに変換されて、何でも可視化出来るようになっちゃったらしいですよ。
もう、本のページを捲ることも必要ないんですってよ。

今日は本当、頭の頂上が乾いて困る。

私は図書の貸借状況について、樹下の根という根、毛根の毛根にいたるまで調べつくしている最中。

頭のソーサー(皿)乾いちゃったらもうお終いだよねー。

そんなことを嘯きながら、手元では必死に水Waterの出どころである、今は少なくなった森林の吸い上げる地下水脈について調べ尽くす事に専念している。

あれ、知らないかなあ。

職場でもキラキラ輝く人懐こい可愛らしさを誇る、ウェーイちゃんが唇をちょっと尖らせて手元を覗き込む。

あのね、頭のソーサー、私のソーサー見てみて。

えっ、何だろう。

創電してるのー、見てみて。

え、なんてことだい。
この人、頭のテッペンに、ミニソーラーシステム装備しちゃったよ。

これは便利で効果的だね。
流石の私も、納得せざるを得なかったよ。

これ絶対流行るよねー。
ウェーイちゃんがすりすりと頭上を撫で回す。

当たり前じゃん。
流行らないわけがない。
ていうか今すぐ私も創電したい。

それって、どこの美容室でしてくれるのー。
何気ない雰囲気を装って尋ねると、ウェーイちゃんは即答してくれた。

目の前の公園。
黄色い球状の宇宙船が年中無休でやってくれるよー。

そうか、あれはそういう事だったのか。
夜な夜な職場からの帰り道行列が出来てたから、ついうっかり、新進気鋭のラーメン屋さんかと思っていた。

じゃあ、彼氏待ってるからもう行くねー。

ウェーイちゃんの帰る姿が消える頃、私はすぐさま早退を届け出た。

カッパの頭とは、そういうものなのだ。
あの頭の皿で、太陽の光と熱をエネルギーにして、携帯出来る通信機を充電している。

この真実を、カッパの私は皆様にお知らせしたかったのです。


ずっと昔、太古のお話です。
現在、伝説と化した河童。
その起源が色々あっても、許されるのではないかと考えたのです。

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