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「頑張れば頑張るほど成果が伴う」という誤解

「頑張れば頑張るほど成果が伴う」「努力は裏切らない」--。

そんなことを主張するインフルエンサーが、SNSで後を絶たない。そして私は自身の経験から、この考えに断固反対の一人である。

私の母は、まさに「頑張れば頑張るほど成果が伴う」という価値観が激しく、私が中高生の頃は、「東大に受かる人は一日20時間勉強している! 司法試験に受かる人は一日23時間勉強している!」と、母から頻繁に怒鳴られた。

そんな私は、公立小中学校時代に一度も塾に通わずに偏差値62の私立高校に合格した。高校3年間に至っては、まるで母の願いに応えるかのごとく勉強し、わずか10分間の休み時間も勉強した。電車の中でも勉強したし、毎晩深夜の2時まで勉強した。

そのことを高校3年のある日に母と話したら、母は「晩御飯もガガガガ〜っと食べて勉強してる訳じゃあるまいし!!」と、私を怒鳴りつけた。つまり、もっと勉強しろと言いたいのだ。

その結果、私は高校2年の1学期に統合失調症を発症。3年の10月から精神科通院を開始。精神科の心理テストでは「勉強のし過ぎで常識がない」という結果が出た。そして、偏差値40台の無名私立大学への進学を余儀なくされた。

無名私大という結果を受け、母は「あんたは高校3年間、まったく勉強していなかったから大学受験に失敗したんじゃ」と言い放った。私は高校3年の1学期までは、大阪市立大学でB判定だったというのに。

大学卒業後も統合失調症が治る気配はなく、私は派遣のアルバイトを転々とした。正社員として働いたことのないまま、32歳でA型作業所に就職。現在でもそのA型作業所で働きながら障害基礎年金を受給している。この話を聞いても、インフルエンサー諸氏は「頑張れば頑張るほど成果が伴う」「努力は裏切らない」と言えるだろうか。

努力は、確かに重要だ。根性という言葉も、世の中に必要かも知れない。だが、努力はやり方を間違えれば簡単に裏切る。私のように、常識がなくなるほどガリ勉をやった結果、名門大学に合格し、大手企業に就職し、順調にキャリアアップできるとは思えない。

今の子どもたちには、大人たちが冒頭のような説教をしてきても、「努力と言っても賢くやる必要がある」と考えて欲しい。私のような大人になってほしくないから。

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