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『光る君へ』第十七話『うつろい』のネタバレを含む感想

いつもの『光る君へ』感想記事ですが、前回は文句をたくさん書いてしまいました
例によってドラマ内エピソードを箇条書きにした後に
『光る君へ』の素敵漫画化記事さんのご紹介
そして余談の多い感想
という構成になっております


ドラマ内エピソード箇条書きコーナー

一、疫病から回復したまひろ、綺麗に手入れをされた庭を眺めていると、掃除をしていた乙丸が「姫様のお声がまた聞けるなんて…」と涙ながらに話しかけてくる
「心配をかけたわね」とまひろが礼を言うと「とんでもないことでございます!」と照れ隠しに箒を振り回すように掃除をする(庭は綺麗なのに)
まひろは、悲田院で道長の姿を見たような…と思案にくれていると、乙丸は殿様(まひろ父為時)の仰せにならないことを私が申すのはいけないことかも知れませんが…と前置いた上で、悲田院からまひろを連れ帰って一晩中看病をしていたのは道長であると告げる

二、道長は再び悲田院の実情を道隆に訴えるが、疫病の対策は頑として行う気がなく、それどころか出火が相次いでいる内裏の修繕が優先だとし、さらに悲田院に道長と道兼が共に赴いたことを自身への反逆の現れだとし、道長を責める
道長「追い落とそうとしているなら、こんな話はいたしません」
道隆「道兼はどうだ! 疫病で苦しむ民を思うなど、あいつのすることではない!」
道長は、内大臣として変わった道兼を信じようとしない長兄により失望し悲しむ

三、道長との息子が産まれた明子女王の邸、兄の源俊賢が訪れて乳母に抱かれている甥っ子をあやすが、「お前も次は娘を産まねばのう」と、これからの道長の見込めそうな出世の話と、帝への入内の駒となる娘を望む発言をする
明子「近ごろはお見えにならないわ」
俊賢「お忙しいのであろう…すっかり心を持っていかれておるな」
明子「兄上がお望みになったことですわ」
明子女王は兄の発言を特に苛立つ様子もなく、道長に心を預けていることを指摘されてもゆったり構えている

四、悲田院に代わる疫病患者のための施設を設けようとする道長に、正妻の倫子は自分の財産を使って構わないと提案する
(当時、平安貴族の妻と夫は管理財産が別々だった解説ナレーション入る)
喜ぶ道長に倫子は「悲田院におでましになった日には
、どちらにお泊まりでしたの?
高松殿(明子女王邸)ではありませんよね?」と、財の貸しを作ってから追及する手法で探りを入れてくる
道長は内心動揺するが表には出さずに、内裏で仕事をしていたと無難な嘘をつく
倫子はにっこり笑って更なる追及はしない
しかし道長はひとりで邸の回廊を歩いて、まひろの事をまた止めどなく想ってしまっている
そこはいつか(十四話で)まひろと再会した場所でもあった

五、まひろもまた、自邸で道長のことを想っていた
父為時に、悲田院から連れ帰って看病までした道長との関係を問い質される
しかしまひろは堂々とはっきりと、道長さまとは何もありません、ととりつく島もない
しかし、いとさんは為時に「あれはいつわりでございますよ! 道長さまと姫様は間違いなく深い仲、わたしの目に狂いはありません!」と自信満々

六、土御門邸内で、書を読む道長は灯りをつけて回ってた下男の百舌彦に、まひろの様子を見に行って欲しいと命じる
「様子などお知りにならない方が…」と、やんわりと反対する百舌彦だが、道長は聞かず「頼んだぞ」と強引
🌟🌟🌟翌日、とぼとぼと渋々とまひろの邸の近くまで来た百舌彦は、掃除をしている乙丸の姿を見つけ「ボウッボゥッ!」と犬の鳴き真似で呼び寄せる
仲良く挨拶をする二人だが、道長がまた懲りずにちょっかいを出してきたと乙丸的には思っちゃったので、やや苦言を言うと、そこへまひろが現れて「野良犬です!」と誤魔化す乙丸に「百舌彦ではないの?」と嬉しそうに声をかける
そしてまひろは、悲田院で百舌彦にも助けられたのだと知り、丁寧に礼を言う
そんなまひろを、乙丸も百舌鳥もほのぼのとして見つめるのだった

七、救い小屋の建設に人材が足りないと臣下から訴えられているが、どんなに財がかかってもやろうとしている道長
そしてまひろは、七年前の「まひろが望む世を作るべく、精一杯努めようと思うておる」との道長の言葉を思い返している

八、道隆の二条の邸、食事をした後の道隆は妻の貴子に甘えて仲むつまじく過ごしている
息子の伊周と隆家はそれぞれで、通い先の女君のところへ出かける話をしている
伊周が行くのは先の大政大臣(藤原斉信の父、花山帝の無くなった女御の父でもある)の家の三の君のところ
「家に帰っても子が泣いてうるさい」と言っている
つまり、自邸がすでにあって正妻もいて子供も産まれているということ
大人しくしておけば良かったのにな

九、内裏の登華殿、清少納言は花を活ける女房仕事をしている
そこへ藤原斉信が現れ、「なぜ返歌をくれんのだ」と絡んでくる
清少納言ならずとも、仕事中に話しかけられるのは煩わしいと思うのだが「他に男ができたのか」などと言う斉信
以前の第七話では、ききょうは遊びにはいいが真剣な交際をする相手ではない、などと発言していた斉信だが、すっかり夢中になっている様子
その後、登華殿での管弦の遊びの中で、道隆が倒れてしまう
夜、自邸に晴明を呼んだ道隆は、自分の病状は誰の呪詛だと問いただすが、関白どのは寿命が尽きかけていると晴明は冷たく診断する
帰宅した晴明は腹心の須麻流に、道隆の病の平癒のための祈祷をするよう言いつける
「せめてお苦しみが和らぐよう、ご祈祷いたします」
乙丸と百舌彦も須麻流、どこの従者もいい奴です

十、翌年995年、道隆は一条帝に改元の進言をする
しかしその『長徳ちょうとく』という新たな年号に公卿達からは戸惑いと不満の声が上がる
ちょうとく、ちょうどく、長い毒を連想するという、疫病が長く続く事を暗示する年号だと皆渋い顔をする
実資さねすけどんは帝について、関白の言葉を聞き過ぎる、若く未熟で心配である! と何度も繰り返し述べてはっきり批判する
源俊賢は我々でお支えしましょう、と取り成す
その会話を一条帝は、隣室で覗き見て聞いていた

悩む一条帝に定子は「父が病に倒れてから心細い」と訴える(おそらく以前のように管弦の催しなどが無くなったため)
道隆の自邸に戻ってもよいと一条帝は勧めるが、定子は帝と離れたくありませぬと言い、兄を呼んで父の様子を聞いてみるとのこと
「定子は朕が守るゆえ、好きにいたせ」

十一、詮子、道長、道兼の三人で、長兄道隆が死亡した後の関白の座を、道兼に継がせるための会談をしている
詮子「道兼兄上のことが昔から好きではありませんでした でもあの出すぎ者の伊周が関白になるのはもっと嫌」
道兼「女院さまにお助けいただくとは、不思議な心地がする…また、道長に借りを作ったな」
道長「(道兼に笑って頷く)では、姉上、帝にお話頂けますね」
詮子「内裏に行くのは嫌」
道長道兼「え?」
詮子「定子に首根っこ掴まれているような帝、見たくないもの…他の公卿を取り込んでおくわ
そもそも、参議も大納言も中納言も、公卿はみんな伊周が嫌いだから、そこは私が一押しすれば上手く行くはず」
道長道兼「おお~…」

一方、伊周と定子も、道隆の関白の座を嫡男の伊周に継承させるための策を話している
定子は内々に、関白と変わらない【内覧】という役職があったことを調べ上げ、現在の関白である父が存命中に伊周を内覧に就任させる、という方法を提案する

伊周「定子はすごいな、男であったら俺など叶わぬやも」
定子「あの女院さまから我が身を守り、帝をお守りしているうちに、強くなりました
内覧になってしまえば関白になったと同じですから、共に力を尽くしましょう」

十二、道兼、道隆の病床に呼び出される
病でいよいよ命が尽きかけている道隆は、中宮定子、妻の貴子、息子の伊周、隆家、どうか後の事を頼む、酷なことをしないでくれ、我が家を頼む、と涙ながらに道兼に訴える
道兼はその剣幕に、何を考えているのか掴めない、感情が荒れ狂うような横顔をしている

十三、春、まひろは『荘子』の“胡蝶の夢”の逸話の筆写をしている
そこへ、さわさんが久しぶりに訪問してくる
さわさんは、きょうだいを疫病で亡くしたこと、人に許された年月は短いこと、を実感したと話し、
まひろも疫病で身近な人やその家族を亡くしたこと、そして自分も疫病に倒れたことを話す
さわさんはまひろが無事だったことを心から喜び、そして石山寺の帰りのことを謝罪したのだった
更にさわさんは、まひろからの手紙を返していたけど、少しでもまひろのようになりたいと念じ、手紙を筆写していたと明かす
「私の友はまひろさまだけなのでございます!」

その夜、まひろはさわさんの文を眺めながら、書くことの何が心を動かすのか…と想いをはせ、筆をとる

十四、道隆はいよいよ病状が深刻になり、一条帝に伊周を内覧にするように迫る、しかし一条帝は賢明にも保留とし、退出させる
道隆の言うことも無下には出来ないが、そのまま言うことを聞くわけにはいかない、伊周のことは嫌ってはいないがなにぶん若すぎると、一条帝は苦慮している

道隆はそのまま、定子の住まう登華殿に押し掛け、「皇子を産め!」と激しく呪詛のように何度も定子に言いつける
「帝の毎夜のお召しに、お応えしております」

その後一条帝は、伊周の内覧職は関白道隆の病のみと令布を出した(つまり、死亡したら解任されるということ)

十五、公卿たちの集まりの陣定では、貴族の中にも疫病で亡くなった人がいると噂になっている
そして道綱の耳に噂が入るのが遅い、ちょっと面白い
実資どんはこのまま内裏に疫病が蔓延したら、それは対策を取らず長徳などという年号にして伊周を内覧に据えた関白のせいだ! と堂々と批判する
道隆はふたたび一条帝に、伊周を関白にしろと詰め寄るが、さすがにそれは果たせない

自邸に帰され、妻に看取られて亡くなる
思いの外穏やかに、父の兼家のように、愛妻の詠んだ和歌を口ずさんで亡くなるのだった

予告
宣孝「打てば響く、よいおなごになったのう」
伊周「皇子を産め!」
詮子「うつけもの! 母は自分のことなどどうでもいいのです!」
さわさん「お別れです」
実資どん「よろしくない流れであるな」
一条帝「嫌いにならないでくれ」
道長「兄上!」(道兼倒れる)
ききょう「あら? 道長さまご存知?」
(いつかの六条の廃屋にいる道長とまひろ)

箇条書きコーナーは以上です


ひろうすさんの『光る君へ』コミカライズが、今週も素晴らしい

ひろうすさんの『光る君へ』絵巻は、今回は何と漫画! でした~( ´∀`)
以前も、をとまるとまひろの文字教室のCMコーナーのシーンを漫画にして下さってますが、ふたたび拝見出来るとは…( ;∀;)
いつもながら、素晴らしいです!
実際のドラマのシーンを再現しつつ、ひろうすさんの個性が輝く絵柄、より読み応えがある構図、コマの運びや吹き出しの洗練ぶり、そしてかわいい描き文字!
百舌彦の のそのそ した足どり
乙丸の箒の ザッザッ とした働き者ぶり
野良犬みたいに ボウッボウッ って鳴く百舌彦
箒を抱えて てーーーっ ってやってくる乙丸
ドラマの中のほっこりするシーンが、ひろうすさんの漫画によって、一秒一秒がまさに尊く楽しいものになってますね!
そんな素敵な漫画にとどまらず、お手製の切り絵まで拝見できる記事でした!
絵師としてだけでなく、いろんなモノ造りの腕が立つ、格好いいnoterさんなんです…
(∩´∀`)∩


難癖と細かい感想と妄想

さて、そのひろうすさんも生き生きと描かれていた百舌彦さんなんですが
道長に頼まれて渋々まひろの安否を確認しにやって来ました
今は道長は土御門邸に住んでいて、そこは倫子の実家住まいなんですよね
元々の東三条の家から道長が連れてきてる下男だから、おそらく使用人連中の中ではちょっと肩身が狭いのかも知れないし、土御門邸の正妻の他に通う女への連絡役になっていることが公になって問い詰められたら凄く困るからだろうなと思います
百舌彦は嘘が下手そうだし…

登華殿で清少納言が藤原斉信に口説かれていたというか絡まれていたのは、仕事中にぐだぐだ口説いてきたらそりゃあうっとうしい、これだからボンボンは困るわ~なんですが、更に返歌がないことを「他に男ができたのか」って決めつけるのはよろしくない
『源氏物語』の最終帖【夢浮橋】の浮舟と薫のやりとりを思わせますが、え!? こんな中盤に入るか入らないかのタイミングで? とちょっとびっくりしました

乙丸と百舌彦の絡みもほっこりしましたが、須麻流が晴明の言いつけを心を込めて行ったところも良かったです
 『枕草子』に、陰陽師のところに使えている小童の働きぶりを誉める文があるのですが(『陰陽師のもとなる小童こそ』)、このドラマ内ではひょっとしたら、ききょうさんは須麻流のことを目に留めて書いたのかもと感じました

詮子と道兼と道長
そして定子と伊周
どちらも(妹の知略に素直に感心する兄)という組み合わせで、それが対比になっている構図の権力闘争シーンがありましたが、
定子は過去の内裏の前例を調べて策を組んだのに対し、詮子は公卿の人心を掌握する方向て押さえに来ていて、伊周と道隆がすでに嫌われてる不利もあって、定子側が圧倒的に分が悪いのがほんとに辛くなりますね…
定子さまがこうした権力闘争に手を染める創作って、なかなか珍しい、というか自分は初めて見ました
そして前回から定子さまをあまり良く描写してもいないのが気になります
後宮のまばゆい華として、麗しい中宮として、清少納言が書いた“史実”通りの場面はありますが、その一方で登華殿の修繕や定子や女房たちの衣装代まで公費で道隆が賄っていたことや、庶民の間では疫病が流行してることなど、定子さまたちはそれを知らないよね? 知らない事って罪深くないの? って言外に演出している作りになってるように見えます
『枕草子』は凄く良い面ばかり書かれてるけど、実はこうだったかも知れないじゃない? っていう意志を感じるのです
若干意地が悪いとも思いますが、それはそれで、面白くないこともない 珍しい定子さまは面白いです
でもその一方で、定子さま(と、ぼんくら男きょうだい)を道長&まひろの仁の政治チームにとってのやんわりとした悪役にするつもりではないか? とモヤモヤします
道長が定子さまたちを政治的に排除するえげつない場面がそのうち出てくるので、そのための布石もありそうですけど、そもそもまひろのエピソードが全然ない、作れないから、物語を華やかにするために定子さまを飛び道具に使ってない? という気もしてきました

いや、愚痴っぽくて難癖で面目ないですが、やっぱり紫式部を大河ドラマの主役にするにあたり、当人のエピソードの少なさと、大河ドラマの制約として史実と反する事は出来ないことが、だいぶ仇になってるなあ、まひろ回りのエピソードの動きの無さが歯がゆいなあとしょんぼりしておるのです
だって今回のまひろの動きって、疫病から回復して、百舌彦と会って、さわさんに会って…書いて…って、だけでした
いいシーンでしたが、主人公らしい物語があるかって言ったら無いんですよね
以前、この感想文シリーズに頂いたコメントへの返信にも書いたのですが、もっとまひろのための弾けた物語が作れないかなーって妄想してる方が楽しくなってしまって…

まひろが男装して大学に入って、官僚として出世して道長と結託して遣唐使制度を復活させて、中国に渡り、科挙試験に合格してかの地の官僚ともなり、阿倍仲麻呂の再来とうたわれる能吏として辣腕を振るう立身出世物語を見たいなあなどと妄想しています(オタク早口)

ところで、『光る君へ』とはだいぶ関係ない話なんですが
奈良~平安の頃の好きな官僚と言えば誰? と質問をされたら(誰に)自分はこの阿倍仲麻呂と和気清麻呂を上げます
まひろもそういう話をしてくれないかな~
道長と共に仁の政治を志すのは良いんですが(やっぱりそこは史実じゃないから)二人とも政治の理想の具体的な展望ってなさそうなのが歯がゆいんですよね
もっと漢詩の話から政治の理想の話なんかもちゃんとしてほしい もう恋文はいらない 漢文をくれ

ところで、こちらは先ほどの和気清麻呂の後年に描かれた肖像画なんですが

佐久間 文吾 『和気清麿奏神教図』

この絵が凄く好きなんです…
眼光鋭く、天皇に取り入って専横をきわめる悪僧を糾弾するシーン(想像図)で格好いいんですよね
ほんとこの、和気清麻呂と阿倍仲麻呂をドラマ化して欲しい

というわけで、ドラマ感想からかなり逸脱した話題に被弾してますが、今回の記事は以上となります
こちらは今回のメモです
よそのnote書き手さんのコメント下書きや落書きもかいてあります

のびえもんとボタ子さんとムス子さん↑
note小咄ネタが書いてある
ブヨヨンとハルバルさん↗️
余白おおい

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