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ディズニー映画を3本立てで観賞会をした記録

先週、久しぶりに友人と自宅でゆっくりしながら、観そびれているディズニー映画をまとめて観る会、というのをやりました
3本ほど観ましたので、その感想の詰め合わせ記事を作ってみたのですが、ディズニー映画ってこうだよね、ってイメージが固着してるとこあったな、とやや反省するほど、新たなディズニー映画像を感じる観賞会になりました
ただその一方、感想と言いつつ文句も書いちゃってるとこもありますので、思い入れを持たれている作品への文句をお目にかけてしまったら、あいすみませぬ


ウィッシュ


昨年公開の作品ですが、ディズニーの100周年記念作品ということで、過去作のセルフオマージュがたくさんある作品のようです
しかしディズニー映画に堪能でないので、細かいポイントまでは掴めませんでした
主人公の友人たちが白雪姫の7人の小人モチーフなのかなーとか、魔法使いのおばさまとかおばあさんが出てくる作品に繋がっているのかなあとか、そのくらいのゆるっとした推察に留まりました
個人的にこの映画で惹かれたのは、為政者による民衆の管理支配がそれを悟らせないように仕組まれているディストピアものだった! という設定でした
ディストピアもの好きです、熱い!
登場する王国の王は優れた魔法使いなので、国民の願いを順番に叶えてあげている素晴らしい国で、国民は国王を慕い、みんな幸せに暮らしていた…
と信じられていたけど、実は、国王は願い事を国民から奪い、それによって希望も夢も無くしていることに気づかないまま皆が暮らす、偽りの幸福の国であった…! という真相を主人公は知り、その支配から脱するために星に願いをかける…という、つまりディストピア+レジスタンスもの! で、しかもファンタジーの物語だったので…そこに捻りを感じていいなあ~と思いました
そして、やはりディズニー映画ですので、挿入歌も良かったんです

こちらは、革命を起こすことになる少女が、まだ何も知らず国王に心酔している頃に、慈愛ある国王のふりをしている独裁者と2人で歌っている曲です

そしてこちらは、その独裁者の面を剥き出しにした国王の独唱です
国民たちが自分の願いを奪われていたことを自覚し、王宮に詰めかけているシーンで、深部に立てこもり、これまで願いを叶えてやってたのに、恩知らずどもめ! と怒りつつ自分を鼓舞してる曲です

この2曲を含めて、サントラの歌を聞けば、ストーリーがほぼ分かるほどに、ごくシンプルな内容のお話で、もうちょっと捻りがあっても良かったかも
あと、これは日本人だから仕方ないんでしょうか、悪役の国王の吹替及び歌唱が福山雅治さんなので、国王なりに国王業務頑張ってたのに可哀想だな…なんて、うっかり肩入れしてしまうんですよね 魅力的すぎて…
声優としての演技も歌唱もさすがに絶品で、それにレジスタンスしなければならない主人公の少女たちが大変だなあなんて思ってしまった 魅力勝負だと分が悪い
何だったら、国王をお支えして独裁政治を維持させるための参謀としてお仕えして、主人公の少女たちをやり込めたいな? という気持ちになるくらい

他、気になったところと言えば、歌や声優さんの魅力に比べて映像面でやや面白味に欠けたところでしょうか
魔法の国に、近所の森、願いの星空、という場面の種類が単調で、ファンタジックさの演出が弱いのと、主人公に願いの力を与える星のデザインがシンプル過ぎて物足りなく感じました 普通に🌟に顔がついてキラキラ動くデザインでした
星に願いを、というモチーフが真ん中にある物語だから、そこはもっと、こだわった方が良かったのではないかなあ


ズートピア

大変な名作であり、折々でその評判は耳にしてましたが、観るのは初めてです
観る前は、ウサギの女の子が、力のある大型動物がその職の大半を占めている警察官を志し、チビのウサギのくせに! と侮られながらも、夢を成し遂げて職務に挑む、しかし一筋縄ではいかないこともあって悩む…という、頑張りやの女の子が主人公の朝ドラっぽい話かなあと思ってたんですが
そのイメージでほぼ間違いは無いものの、とにかくこのズートピアの世界観が凄い! マジで凄い!ってのが素晴らしい映画でした
動物ごとの生態に合わせて、それらが人間のような社会を形成していたとしたら、どのようなインフラが発展しているのかという描写が細かいし、動物それそれの質感が素晴らしい
何より、正義の警察官に憧れる主人公ジュディが、ウサギであることの非力さや小柄であるハンデをもろともせず、身体を鍛えて努力して、耳の良さや注意深さや跳躍力という長所をこれでもかと発揮し警察官として活躍するところを、小ウサギと酷く侮られるシーンのあとに見せてくれるから、とびきりスッキリするし嬉しくなることの連続なんです
頑張れ、ジュディ! すごいよ! ジュディ! って真っ直ぐに応援したくなります
そしてジュディと出会ったケチな元詐欺師のキツネのニックも、また素晴らしいキャラでした
ジュディとの出会いは、運命としか思えない
2人がそれぞれで、ずっと侮られて傷つけられてきた同士だったことも、ジュディも他者を傷つける偏見を持ってしまってた事に気がつくシーンも、もう一度ふたりが、かけ替えの無い相棒になれたことも、完璧なシナリオでした
最初にニックと組んでたケチな悪党のフェネックもかわいいし、ナマケモノのカップルもいい味出してるし、ジュディのラブラブな両親もほっこりする
ゴッドファーザーみのあるネズミさんも、大変美しいガゼルのお姉さんも、ヒツジの副市長さんも、みなさん良かった…

シナリオは、ハンデのある差別を受ける存在(非力で小柄、そして女の子)であった主人公が強い奴らを見返す、ってだけには止まらない複雑さと様々なテーマが含まれていました
全ての動物たちが暮らす都市ズートピアは、それでも問題を抱えていて、動物種間での偏見や争いもたくさんあり、それはそのまま人種や宗教や国籍でお互いをカテゴライズしたりレッテルを貼ったり自覚しない偏見をもってしまったりしている、人間の社会の風刺にも繋がる作品でした
かといって、重いテーマを扱っているわけではなく、ひたむきな女の子が頑張る話だし、刑事の推理ドラマの側面もあるし、色んな動物がどんな都市生活を送っているのか見て楽しめるしで、それらの要素がこのズートピアの世界観にばっちり組み合っている、素晴らしい脚本だったのです!
ビジュアル面でも良くてですね、登場する様々な動物のイメージ(と、ちょっとした偏見)に見事に合致するデザインやキャラ付けが行われていて、それが脚本にも組み合っているし、細かな動物の描き分けや多様性の面白さもあるし、動物ごとのアクションや質感の描き分けも素晴らしく執念をもって成されていますから、ズートピアという世界をこれでもかと楽しく堪能ができる、非の打ち所のない、いい映画でした!


モアナと伝説の海

歌に海、波の驚くばかりの透明度の表現、そして前向きでひたむきなモアナが、冒険心と責任感とで海に漕ぎ出すところはとても胸が熱くなります
終盤の巨人との海戦シーンは圧巻でした! 
ハワイの神話を元にしている物語? なのかも知れないのですが、半神半人が産みの親から海に流されたとか、不思議な力のある釣り針を無くしているとか、古事記にも近い話があったな…と感じるところがあり、そうした神話の伝布を掘り下げるストーリーではないのが惜しいくらいでした
しかし、大きな難点があり、主人公モアナの相棒に当たる人物が厚かましく鬱陶しいキャラに感じ、イライラして観ていて、その印象が良くならないままエンディングになってしまったので、個人的にはかなり残念な映画です
その相棒キャラ、短気だし堪え性がない、この作品内での難事の原因のくせに反省の色も薄い、ろくでもない奴に感じました
『ズートピア』の観賞直後だからいけなかったのかも知れません、観賞の順番も大事ですね

ところで、ちょうどこの映画の鑑賞をする前に、この漫画を読んだのですが

『モアナと伝説の海』の中にもあった、海と釣り針を巡る神話の分布についてのエピソードが出てくる作品なのですが、モアナの鑑賞中に宗像教授のゼミでやったとこだ! と驚いたりしました
こちらの漫画についても、また感想記事を書きたいです
また、前述のモアナのムカつく相棒ですが、海の神様の子供、みたいな存在で、力ある釣り針を振るって戦って未熟者な心ばえが物語の終わりには多少マシになる…というキャラだったので、やっぱり神話っぽいというか神様っぽいというか
古事記のスサノオと海幸彦、北欧神話のソー・オーディンソーなどに通じる要素が感じられたので、キャラそのものは気に入りませんでしたが、キャラ立てはおもしれー奴でした、という締めになります

ここまでの3本の映画ですが、サブスクのディズニープラスで鑑賞をしました
鑑賞後に友人が、ディズニー映画の5選を上げるとしたらどのタイトルにするか? と質問を投げてきたので、自分は

・アラジン(実写)
・アナと雪の女王
・ラプンツェル
・ベイマックス
・モンスターズ・インク

という5選を出したのですが、今回『ズートピア』がめっちゃ良かったので、5選の中に入れたいな…と悩むところとなりました
こうしたランキングの更新ができる鑑賞ってのは、出来ると嬉しいなあ~なんてしみじみした次第であります

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