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暮らしの器:清岡 幸道 Kodo Kiyooka きよおか こうどう

清岡 幸道

1969 東京都生まれ
1993 大阪芸術大学工芸学科陶芸専攻卒業
1996 滋賀県立信楽陶芸の森の創作研修生になる
2007 独立、開窯

S-STORE

2024年2月、KOHORO二子玉川店の個展に訪問。

清岡さんは八木橋さん(←別記事参照)と同じ信楽の陶芸作家さん。
作風はオリーブ色の艶のある釉薬や渋みのある色合いが特徴。
(お顔立ちが所謂"イケメン"なお方で、会社の昔の先輩にとても似ていた点も気になり、訪問せずにはいられなくなってしまった)

個展の様子

代表作のオリーブ色の器を実際に目にした印象は「思ったよりも暗めで抹茶色に近いかな?」と感じた。
展示されていた器はどれも適度な厚さで、重すぎず端正な佇まい。
日常使いから小料理屋まで、幅広いニーズに合いそうな様々な器が揃っていた。

浅めの小鉢など


小料理屋の一品料理などに合いそう

個人的には、こういった、薄めの水色、グレーから白寄りの釉薬のほうに目を惹かれた。
どれも凡庸さがなく「やりすぎないオシャレさ」がちょっとだけ垣間見えるのが、見ていて楽しい。

購入したお皿

今回はグレー寄りの黒釉薬のグロス感と貫入が綺麗に出ている小皿を2枚購入した。
グレーや黒系統の器は合わせる色を選ばない一方で、テーブルの印象が重たくなりがちなので、軽めで華やかすぎない黒寄りの器は希少で使い勝手が良く助かる。
サイズ的にもこの程度の手頃なサイズのお皿はなかなかなく、刺身用の醤油皿からちょっとしたお菓子など、幅広く使えそうだ。
特に円縁のせり上がった部分にしっかりとした角度があり、多少の汁物でも安心して使えるのが嬉しい。

実際のところ、お店には10分ぐらいしかいられなかったけれど、それでも特徴は十分に伝わってきた。
お店の方にも伺ってみたけれど、清岡さんはグリーン系の釉薬がメインだが、今回購入した黒めの釉薬は最近の作品で出てきているそう。

時代とともに、作家さんの作風はどんどん新しくなっていく。
自分の好みも同じく移り変わるけれど、器と向き合った際、その時点の自分の好みと、作家さんの一過程にある創造物が一致する瞬間が唯一無二という気がして、なんだかとても嬉しい。

お店で一枚一枚の器と対話し、自分の中のイメージと重ね合わせて吟味する。
本当に欲しのいかどうか、ちゃんと使えるのかどうか、をしっかりと自分に問いかける。
そのうえで、特別な一品を選び出す。
今回の訪問は10分だったけれど、とても密度の濃い時間で満足のいく選択ができた。
こういった一連の器選びの行為には、時間の長さが関係しないこともあるみたいだ。

暮らしの器とは、育てる器だと、昔読んだエッセイストの方の本に書いてあった。
今回購入した2枚の器も、我が家の新しい一員として、しっかりと、大切に育てていきたい。

陶器の目止めについて:
陶器の器を購入したら毎回、目止めをするようにしている。
やり方は簡単で、大きめの鍋に水1リットルあたり15gの片栗粉を溶かして器を入れてゆっくりと沸騰させる。
ぶくぶくと泡が出てきたらそのまま20分後に火を止めて8時間以上放置し、しっかりと洗って乾かす。
このひと手間をかけることで、器により愛着を持って接することができる。

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