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祖父と共に生きた5年間に思いを馳せて。

※昔、別のアカウントで書いた記事をこちらでもアップしています。

私には、好きな花があります。
厳密に言うと、思い入れのある花と言うのが正しいかもしれません。

幼い頃、その花に出会いました。祖父と、一つ年下の従姉妹と3人で公園に行った時に、祖父が教えてくれた花です。その花を、祖父が好きだと言っていました。黄色の水仙です。その時の光景は今でも目に焼き付いていて、時々思い出しては天国にいる祖父へと想いを馳せています。

祖父が亡くなったのは、私が幼稚園生の時でした。
私が祖父と共に過ごせたのはたったの数年でした。だけどこんなにも、祖父を思い出すのは何故なのでしょうか。時々、夢にも出てきてくれます。

家にアルバムがあって、祖父が私を愛おしそうに抱きかかえている写真は幾度となく見ました。優しい祖父の眼差しが大好きで、何度もその写真を見返しました。

祖父と公園に行って水仙を見たあの日の光景は、いつ思い出しても夢のような景色で。実は本当に夢だったのではないかと思うほど、綺麗な景色でした。その日の夕焼けは、この世界にあるオレンジの中で一番優しいオレンジで、そのオレンジが心の中にも沁み込んできて、きっとあの景色が私の人生の中で一番綺麗な景色なのだろうなと思います。祖父が今いる空の上も、これくらい綺麗で優しい世界だったらとても幸せです。

私がこの光景を思い出したのは、実は大学生になってからでした。ある日友人が、「◯◯先生、きっと2人子供を亡くしてる。流産かもしれない」と言っていて、突然そんなことを言い出した友人に「なぜわかるの?」と聞きました。「天使が2人、先生の後ろにいる」と。その友人は、その人を守護する存在が"わかる"人でした。

興味本位で、私を守っている存在はいるのかと聞いてみると、友人は「おじいちゃん、おそらく血が繋がっている。優しそうな人」と言いました。祖父が亡くなっていること、その友人には話していなかったので、祖父かもしれない、と友人に伝えたら「あなたのことを、ずっと膝の上に乗せていたいくらい愛しいって思っているよ。」と言われて、涙が込み上げました。今まで私を守ってくれていたのは、おじいちゃんだったんだ。そして、あの日の公園の景色を思い出しました。水仙、黄色の水仙、おじいちゃんが好きな花。それから、水仙を見るたびに、祖父を思い出します。祖父と過ごしたのは、およそ5年という短い時間だったのに、なぜこんなにも思い出すのか、その答えが分かってよかった。守ってくれてたからなんだ、ずっとそばにいてくれたからなんだ。ありがとう、おじいちゃん。

黄色の水仙の花言葉「もう一度愛してほしい」

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