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最近の記事

M蛋白血症

総論 形質細胞由来の免疫グロブリンはHeavy chain(H鎖)とLight chain(L鎖)の2つから構成される。 H鎖:IgG,IgA, IgM, IgD, IgEの5種類 L鎖:κ鎖、λ鎖の2種類。 これらが組み合わさることで免疫グロブリンを構成。 このうちある一種類の免疫グロブリンが異常に産生されたものをM蛋白(M-protein)という。 M蛋白血症を捉える方法 免疫電気泳動(IEP: immuno electropheresis)、免疫固定法(IFE: im

    • アルコール性ニューロパチー(+VitB1欠乏性ニューロパチー)

      病態 高率にビタミンB1欠乏を合併するため、ビタミンB1欠乏によるニューロパチーとの異同が問題 臨床像 緩徐進行、1ヶ月以上の経過。 small fiber主体の障害➡感覚障害が主体。温痛覚優位の障害。長さ依存性の疼痛や表在感覚障害、アロディニア が特徴。 一方でビタミンB1欠乏性ニューロパチー 急性経過、1ヶ月以内の経過。 lareg fiber主体の障害➡運動障害が主体。歩行障害。有痛性感覚障害はない。 ↓↓↓ 実臨床では両者が混在した病像を呈する場合が多い。 治療

      • ビタミンB12欠乏性ニューロパチー

        生理 ビタミンB12は動物性食品(魚、貝類、卵、乳製品など)から摂取。体内に2~5㎎貯蔵されており、枯渇するまで2~5年程度。 欠乏の原因 ・摂取不足 ・吸収不全:自己抗体、胃癌、萎縮性胃炎、腸内細菌増殖症、IBDなど ・薬剤性:制酸薬(PPI,H2RA)、メトホルミン 臨床像 上肢の感覚障害から発症する事が多い。頚椎症性脊髄症と並んで両上肢の感覚障害の鑑別として重要。 検査 一般的な血液検査はビタミンB12全体のごく一部しか反映していない… 境界領域の場合はホモシステ

        • 糖尿病性ニューロパチー

          背景 末梢神経種外で最多。耐糖能異常の段階から神経障害を合併する。 臨床像 必ず足先から左右対称に発症。上肢から発症したら他の原因を! 緩徐に発症。急性発症の場合は他の原因を! 初期は温痛覚障害や神経障害性疼痛が多い。運動障害はかなり進行した段階で発症。 自律神経障害の合併➡発汗低下、皮膚乾燥、角化、爪変形 その他 耐糖能異常(IGT)ニューロパチー:原因不明の多発神経炎の25%。血糖コントロールで改善したという報告あり。考慮する価値あり。

        M蛋白血症

          しびれ①

          しびれと表現されうる症状:脱力(麻痺)、痛み(疼痛)、狭義のしびれ(感覚障害)、痙攣/ふるえ(運動障害)、その他 ➡詳細な病歴聴取・診察でしびれの正体を正しく評価する! ➡他覚的に所見がとれないものや、一過性の場合は非神経障害性のしびれ。圧迫性、血行性(閉塞性動脈硬化症、うっ滞性皮膚炎、肢端紅痛症)、代謝性(低Ca血症・低Mg血症、過換気)、放散痛、心因性など 分布:顔面含む半身  部位:大脳  鑑別疾患:pure sensory storke・手口症候群 分布:交代性

          しびれ①

          慢性下痢

          定義 4週間以上持続する下痢を慢性下痢 慢性下痢診断のフレームワーク 水様性下痢(watery) 脂肪性下痢(fatty) 炎症性下痢(inflammatory)の3つに分類 水様性下痢はさらに3つへ分類 浸透圧性下痢 症状:夜間に下痢軽減 絶食で軽減 薬剤:Mg、人工甘味料、クエン酸、リン酸塩など 疾患:乳糖不耐症 分泌性下痢 症状:夜間下痢 絶食で軽快しない 多量の下痢 薬剤:抗腫瘍薬、ビグアナイド、コルヒチンなど 疾患:寄生虫、器質的疾患、内分泌疾患(甲状腺機能亢

          慢性下痢

          過敏性腸症候群

          若年女性に多く、排便に伴う腹痛が主症状。 50歳以降の発症は少ない。 IBSによる下痢は日中に起こることが多い。 診断 器質的疾患の除外及びRomeⅣ基準に基づいて診断 ストレスによる症状悪化も参考 便秘型、下痢型、混合型、分類不能型に分けられる 検査 甲状腺疾患が疑わしければTSH提出 糞便カルプロラクチン低値(50㎎/kg未満)ではIBDよりIBSを示唆 経過観察 IBSの初期診断時は大腸癌との鑑別が重要 食事指導 脂質・カフェイン・炭酸飲料をとりすぎない 薬物

          過敏性腸症候群

          尿閉(入院患者)

          まずは脊髄疾患による馬尾症候群の除外が大事! 直腸診で、トーヌスの低下、肛門周囲感覚低下、anal wink低下 などあれば馬尾症候群を示唆 入院中の尿閉で最重要の要因は、薬剤➡抗コリン作用のある抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、抗コリン薬。 男性の尿閉では、α1遮断薬が優先➡シロドシン、タムスロシン 女性の尿閉でも、α1遮断薬は使用可能➡ウラピジル(エブランチル)しか保険適用なし。しかも、エブランチルはα選択性高く、血圧下がりやすい… 直腸のトーヌス低下し膀胱収縮が低下

          尿閉(入院患者)

          三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)

          片側性、自律神経症状を伴っている場合、三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)を疑う。 ・side-locked headache:片側性頭痛のなかでも常に痛む側が固定している ・side-alternating headache:病側が変わる➡TACsには非典型的 自律神経症状 ・頭痛と同側に、結膜充血、流涙、鼻閉、鼻漏、眼瞼浮腫、前額部および顔面の発汗、縮瞳、眼瞼下垂 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)分類

          三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)

          めまいの鑑別

          めまいの鑑別 ①心原性要素(心拍出量減少に伴う) ②末梢性めまい ③中枢性めまい ④その他(代謝性、薬剤性、精神疾患など) 病歴で鑑別 TiTrATE Timing:発症様式が急性に発症して持続するのか、発作性に繰り返して起こるのか Trigger:症状発現に誘因があるのか、誘因無く突然起こったのか(自発的)、外傷や中毒の要素がないか Targeted exams:的を絞った診察 眼球運動検査を組み合わせて鑑別診断 HINTS plus ①head impuls test

          めまいの鑑別

          副腎不全

          疑う時 症状:食欲不振、意欲低下、原因不明のショック 検査所見:低Na血症、低血糖、高K血症、好酸球増多 皮膚所見 原発性副腎不全では色素沈着、続発性では皮膚蒼白 検査値 視床下部・下垂体に異常:ACTH低値、コルチゾール低値 副腎に異常:ACTH高値、コルチゾール低値 二次性(下垂体性) 下垂体炎(リンパ球性、自己免疫性、IgG4関連性、irAE)、下垂体腫瘍、Sheehan症候群、頭部外傷、SAH、髄膜炎、脳炎、下垂体卒中、ACTH単独欠損症 その他 ・採血時間に

          副腎不全

          眼瞼浮腫

          顔面に限局する浮腫 急性の片側眼瞼浮腫:丹毒、眼窩周囲蜂窩織炎、前頭洞の蜂窩織炎 その他眼瞼浮腫:海綿静脈洞血栓症、EBウイルス感染症、皮膚筋炎(赤紫色のヘリオトロープ疹)、アナフィラキシー、血管性浮腫 血管性浮腫:皮下と粘膜下に生じる急性の局所性浮腫。眼瞼や口唇の浮腫、喉頭浮腫。たまに腹痛も。 機序は2種類 ①肥満細胞から産生されるヒスタミンを介する即時型反応 ②ブラジキニンを介する反応。 ブラジキニンを介する蕁麻疹を伴わない非即時型の血管性浮腫はA遺伝性血管性浮腫やAC

          眼瞼浮腫

          頻脈性不整脈

          血行動態が不安定な場合は除細動器を準備! ・QRS波に同期せず通電するものを除細動 ・同期して通電するものをカルディオバージョン 二相性の除細動器の場合 ・脈があれば同期下100J ・脈がなければ非同期150J narrow QRS tachycardia 洞性頻脈 RR間隔不整、P波や粗動波が確認できれば➡心房頻拍、心房粗動 P波なし 絶対不整➡心房細動 APT静注 ツーシリンジ法:アデホス10㎎静注した後に生食20mlで後押し シングルシリンジ法:最初から生食20m

          頻脈性不整脈

          味覚異常

          アプローチ(問診) 片側性・部分性か? 舌の肉眼的異常は? 唾液分泌は? 薬剤は? 主に 器質的疾患に伴うもの、亜鉛欠乏性、心因性、特発性など 血液検査:亜鉛、ビタミンB12、フェリチン、銅 特器質的疾患に伴うもの 片側性であれば中枢性や末梢神経疾患を疑う 嗅覚障害、唾液分泌異常で味覚異常も ウイルス感染後の嗅覚・味覚異常は中枢性、回復に数カ月かかる。

          味覚異常

          HINTS

          以下のすべてを満たせば高度に中枢性めまいを除外できる ①Head Impulse Test:陽性 ②Nystagmus:方向交代性眼振または垂直性眼振がない ③Test of Skew:Skew deviation陰性 (CMAJ. 2011 Jun 14;183(9):E571-92.) Test of Skew (斜偏位):正対する検者の鼻を注視してもらいつつ,左右の目をパッパッと手掌等で交互に隠すと,目が垂直に偏位したら中枢性。時計回り(右目が上がり,左目が下がる)に

          転移性骨腫瘍

          転移性骨腫瘍のmnemonic PB-KTL(鉛のやかん) P:prostate 前立腺癌 B:breast 乳癌 K:kidney 腎臓癌 T:thyroid 甲状腺癌 L:Lung 肺癌 前立腺は硬化性 腎臓、甲状腺、肺は溶骨性 乳がんはどちらのパターンもある。

          転移性骨腫瘍