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【歌詞考察】「つづいていくよ / ジョナゴールド」#2 ワルツのように~

今回は、1番の歌詞(でいいのかな?)について考察していきます。
【歌詞考察】「つづいていくよ / ジョナゴールド」#1 プロローグに書いたとおり、「多田さんからJさんへの励ましソング」という設定です。

1 ワルツのように~

♪ ワルツのようにせわしく日々はいく ♪

このフレーズの考察の前に、告白しなければならないことがあります。

それは、「つづいていくよ」を初めて聴いたとき、
3拍子の曲だと気づくまで時間がかかった
ということです😅

JPOPは、基本的に4拍子の曲が多く、「1234」のノリだと思っているところに「123」のリズムでこられたので、微妙なずれが生じて、「ノリ」に違和感がありました。
(音源になって聴いてみると、割とはっきり、ドラムが3拍子を刻んでくれていて、戸惑うことはありません)

<ちょっと言い訳>
そもそも日本人は基本的に「音楽にノレない」ようです。

 日本人はダウンビートの民族と言われ, 南米人, アフリカ人などのアフタービートの民族に比して リズム感に乏しいとされる。アフタービート(オフビート)は,裏拍(ウラ)を強調としている。ロックやジャズ,ヒップホップなどのポピュラー音楽は,アフタービートを強調して構成され,拍の裏を絶えず感じることによって, 独特のノリを生み出す。(中略)特に日本舞踊や盆踊りでは,手拍子はダウンビート,つまり表の拍(1拍目3拍目)を強調して打たれる。そのため, コンサートやライブにおいても,会場の聴衆は,本来オフビートで裏の拍を感じる音楽にもかかわらず,表の拍で手拍子をするような「ノレていない」状況が生まれることがある。このように,日本人の 「音楽にノレない」は,「裏拍がとれない」ことが要因のひとつと考えられる。
 また日本の伝統音楽には三拍子がなく,日本人は三拍子も苦手とされる。 そもそも,三拍子の「質」という点において,西洋では1小節を3分割するタイプの三拍子であるのに対して,日本人のリズム感覚の基本が一拍子ともされ,日本の三拍子は,拍を3つ連ねて1小節をつくる。(中略)これは, 「裏拍をとる」感覚がなく,結果的に「音楽にノレない」日本人のリズム感の特徴として捉えられる。

「音楽にノる」「裏拍をとる」ための動きの要素(愛知教育大学 幼児教育研究第19号)

「Ringo Star」のレコーディングの時に、王林さんが多田さんから「裏拍を意識して歌って」と言われて、戸惑っていました。体に染みついたリズム感を切り替えるのは、意外と難しいのです。
<言い訳おわり>

そういえば、Jさんは
「レコーディングやMV撮影で、グループの時は待ち時間があったけど、ソロになって、どんどん進んでいくので忙しい」
みたいなことを言っていました。

♪ ワルツのようにせわしい ♪ とは、
制作のリズムが変わった忙しさ、違和感のようなこと
を表していると考えることができます。

Jさんが、多田さんに
「ソロになって良かったのかな?こんなに大変なんて思ってなかった…」
みたいな弱音を言ったのかもしれません(妄想です)。

2 二度と戻らない~

♪ 二度と戻らないこと ♪ を単なる「過去」と考えると、♪ あるのなら ♪ と齟齬が生じます。(「過去があるなら言ってよ」では意味をなさないので)

♪ 二度と戻らないこと ♪ は、1で考察したことと、FOURsの卒業前にJさんがりんご娘に残ることを提案され断ったことなどを合わせて考えると、
「後悔していること。自分の過去の決断に対する迷い」
みたいなことで、
♪ あるのなら言ってよ ♪ は、
「どうしたの?何か抱えてるなら、相談に乗るよ」
という感じかなと思います。

3 同じリズム~

♪ 同じリズム~息をしてる ♪ は、唐突感がありますが、
「ねえ 言ってよ」と言える間柄
を表していると思います。

Jさんと多田さんの関係は、2016年にさかのぼります。
愛踊祭優勝のご褒美として、多田さんが「Ringo Star」を提供してくれました。
その後、多田さんは弘前市に移住するほど深くりんご娘、リンゴミュージックに関わることになったのは、皆さんご存じのとおりです。

多田さんの楽曲なしに、今日のりんご娘はありません。
一方、多田さんもりんご娘が地域に向き合う真摯な態度に感銘を受けて、より深い楽曲を提供することになります。
Jさんと多田さんの関係は、まさに ♪ 同じ歌の中で息をしてる ♪ と言えるでしょう。

※ 実のところ、♪ 同じリズム~息をしてる ♪ が、Jさんと多田さんの関係を表しているんじゃないかと思いついたのが、この考察のスタートになっています。

4 続いていくよ~

(1)続いていくよ~この想いも

さて、Jさんから悩みを打ち明けられた多田さんのアドバイスは、「しっかりしろ」でも「がんばれ」でもありませんでした。

♪ 続いていくよ~描け描け ♪ は、多田さんの世界観(おそらくはリンゴミュージックでの経験に培われた)が表れているように思います。
それは、ライスボール「Relay」にも通じるものです。

神の意志のように佇むその森
静かに生まれ静かに去る
存在の意義よ

命とは遥かなるRelay
それぞれに輝いて
かけがえのないその時間(とき)を
ただ生きて
We are the life

ライスボール「Relay」作詞作曲:多田慎也

♪ どんなに考えても答えはない 私たちが出会ったその意味に ♪ という歌詞が後に出てきます。
多田さんとJさん(りんご娘、リンゴミュージック)の関係も意思によって生じたものではなく、もしかしたら、多田さんとの出会いがなければ、Jさんも、過去の多くのりんご娘と同じように、芸能とは関係のない生活を送っていたかもしれません。

人の意思とは関係なく、世界は存在し、続いていきます。その大きな営みの前では、個人は小さな存在でしかありません。

「Relay」の歌詞に重ねるなら、
音楽や音楽で地域を元気にすることが私(Jさん)に与えられた使命(神の意志)とするなら、私にできることは「それぞれに輝いて、ただ生きる」ことしかありません。

♪ 続いていくよ ♪ は、「私は、歌い続けるよ」のようなフレーズに比べると意志が感じられません。
しかし、与えられた状況の中で、ただできることをやる。それで十分なのです。

(2)知る由もない~描け

♪ 知る由もない~描け ♪ は、いくつか解釈があると思います。

① 思いどおりの将来にならないのだから
今日は昨日から見ると「知る由もない明日」です。人生とは、振り返ってみれば「知る由もない明日」の積み重ねで埋め尽くされています。
どうせ思いどおりにならないなら、今できることをやろう。

② 将来のことで思い悩むくらいなら
心が「知る由もない明日」で埋め尽くされていると考えると、将来のことで思い悩む様子を表していることになります。
思い悩むことにエネルギーを使うくらいなら、今できることをやろう。

これまでの流れからすると、②が近いのかなと思います。
しかし、この違いは些細なことです。
大事なことは「今できることをやろう。そして、それで十分だ」というメッセージだと思います。
(後で出てくる ♪ 一瞬を刻め ♪ という歌詞にもつながります。)

5 まとめ

これまでの考察を、多田さんからJさんへの言葉としてまとめてみます。

ソロになって忙しそうだね
何か悩んでることがあるなら言ってみて
もう長いこと一緒に音楽をやってきた仲でしょ

リンゴミュージックの想いは、歌とともに受け継がれていく
(僕らは、そのために呼ばれた気がするよ)
先のことは誰にもわからないし、悩んでも仕方がない
大事なことは、ただひたすらに、目の前の歌と向き合うことじゃないのかな

つづく

<拍子の思い出>

「クレーの絵本」という合唱曲があります。
スイス人画家パウル・クレーの絵に触発されて、谷川俊太郎が書いた詩に、三善晃が曲をつけたものです。
その中に「ケトルドラム奏者」という「4分の5拍子」の曲があるのですが、へなちょこ高校合唱部の実力では歌いこなすことができませんでした。
今聴くと、特に難しくは思えないのですが……。

40点の絵と14編の詩が奏でる二重奏(デュエット)
不思議な感覚に浸れます

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