邪念で残念?
どうも。
コンビニや書店で見かける商品にワクワクが止まらないKONGです。
その商品を購入する時に信じるのは己の感覚。
買って後悔をするか、はたまた飛び上がるか。
人を天国か地獄に一瞬にして連れて行く商品。
その名も"一番くじ"である。
A〜Hぐらいまで各賞が揃えられ、A賞の多くは『フィギュア』や『大きいぬいぐるみ』さらには『時計』等。
毎回店頭に飾ってある賞品を見ると
「おぉー!すっげぇー!」
と、立ち止まってしまうほどKONGの心を鷲掴みにする賞品達なのだ。
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その日のKONGは、そんな"一番くじ"を横目で見ながらミルクティーを持って列に並んでいた。
店内は比較的空いていたものの、レジは2つ解放されており、1つのレジは宅配便の手続きで塞がっていた。
別に珍しくもない状況に、ついついボーっとしていたKONGだが、前に並ぶ男性の呪文でピクリと反応をしてしまう。
「一番くじ、6回お願いします。」
(わぁ〜お!!)
対応している店員さんは、50代ぐらいの大ベテランの風格が出ている女性で、"一番くじ"を購入した男性はボックスに手を入れ、戦いの火蓋が切って落とされた。
ゴソゴソと慎重に"くじ"を選ぶ男性。
〈ゴソゴソ〉
なぜかKONGも少しドキドキしながら、店内に並ぶ一番くじのラインナップを眺める。
〈ゴソゴソ〉
(この人もA賞やB賞やC賞のフィギュアが欲しいのだろう。)
〈ゴソゴソ〉
(ん? 長くね?)
およそ30秒は経過しただろう。
なかなか男性はボックスから手を抜かず、なおも首を傾げながらゴソゴソを続けている。
(そろそろ、一枚目を引いてもいいんじゃないか?)
KONGの心の声が漏れたのかと思ってしまうタイミングで、デェベテランの店員さんが口を開く
「このくじはね。邪念があったらダメなのよ。」
(ふぇ?)
「ほら、あのAとBは子供の兄弟が2枚だけ引いて当てた物なのよ。」
デェベテランさんは"当てられたくじ"が張り出されている壁を指差す。
男性は
「はぁ‥そうですか‥」
と、デェベテランの指差す方向に一瞬顔を向け、少し間を置き、再び"くじ"と向き合う。
だが、デェベテランは止まる事なく怪獣のように〈ガッシャンガッシャン〉と男性のメンタルCityを崩しにかかる。
「大人は邪念があるのよねぇ。
不思議よねぇ。
なんでかしら‥?」
独り言のようなデェベテランの進撃に耐えた男性は、ようやくボックスから手を抜きテーブルに"くじ"を置く。
しかも同時に3枚。
「あと3枚よ。」
有無も言わさぬ追い討ち。
男性は無言で頷き、肝心な"くじ"は開封されずテーブルに置かれる。
(開けんのかい!!)
そして、男性が2回目のチャレンジとしてボックスに手を入れた直後
「それにしなさい。」
(ぶぇ!命令口調!!)
「大人はねぇ。
邪念があるからダメなのよぉ。
最初に手に当たったヤツがあなたの欲しい物。」
男性は
「はぁ‥そうですか‥」
と、相槌を打ちながらもゴソゴソタイムを継続していた。
なぜか、
このやり取りを見ていたKONGのメンタルCityが怪獣の進撃によって崩れていく。
やがて崩壊した街に一筋の光が刺すように、男性の手がボックスから抜かれる。
(おーーーーー!!)
男性が引いた"くじ"は、
まさかの2枚。
(ふぇ?)
それを見たデェベテランは、
優しく微笑み、
箱を持ち上げ、
無言で
振った。
まるでカクテルのように。
ワッシャワッシャと振り
ドン!
テーブルにボックスを置き、デェベテランは口を開く。
「邪念は捨てなさい。」
もはやコントである。
開封していないのに何を捨てるのだろうか。
その時チラリと男性がKONGを見るが、幸い時間帯からなのかKONGの後ろには誰も並んでなかったので、笑顔でジェスチャーを送る。
精一杯の『どうぞどうぞ。』
ここまで来たらKONGも結末を見届けたい。
このコンビニに3人だけのサンクチュアリが創り上げられた。
ボックスに手を入れゴソゴソしている男性。
(逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!)
2人が見守る中、ようやく最後の一枚を引いた男性にデェベテランは一言放つ。
「変えるなら‥開けてない今よ?」
このタイミングでの揺さぶり。
まるで江戸時代の賭博場にタイムスリップしたKONG。
※体験料はミルクティーの176円(未払い)
男性は
「大丈夫です。」
と、伝えて開封を始めた。
その時、
「お次のお客様どうぞ〜♪」
(うぉぉぉぉい!!!)
どうやら『大江戸物語〜賭博場編〜』の続きを見るには課金が必要らしい。
こうして‥‥
壮絶な戦いの結末が見れないまま、メンタルCityを壊されたKONGはコンビニを後にした。
振り返ると"一番くじ"のポスターが目に止まる。
『怪獣8号』
うむ。
今日も街のホットステーションは誰かの心をホットにしてくれるだろう。
それでは!
また!
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