もの書きの素質を感じる
子どもの寝かしつけの時間になっても、まだ一文字も書けていない。それどころか、なにを書くかすら決まっていない。憂鬱になる。書くのは好きだけど、切羽詰まって書くのは好きじゃない。
わたしは、思い切って娘に相談した。娘は5歳である。
「今日はなにを書けばいいと思う?」
娘は、うーんと2秒くらい考えてから、
「お花の話は?」
と言って、わたしの目をのぞき込んだ。一昨日買った黄色い花のことを言っているらしい。わたしは、真顔で説明した。
「お花を買ったというだけじゃ話として足りないなあ。ストーリーになっていないと読んでいておもしろくないでしょう?」
すると娘は、チャットGPTみたいに、秒でストーリーを考えてくれた。
ふむ。「ただ買いました」よりは良くなったね。
わたしは欲が出て、チャットGPTに訊くように、「ほかにもアイデアがある?」と聞いたら、続けざまに4つも案が出てきた。我が家の生き字引ならぬ生きチャットGPTが、幼いくせに頼もしすぎる。
そのうちの2番目か3番目かの案が思いのほか良かったので、ここにご紹介したい。ストーリーというよりは、詩に近い。
冒頭が始まったときに、なんだかいいものが出てきそうな直感がした。瞬時に録音して正解だった。
わたしは、娘のこの作品を和訳してみた。
あまりいじくりまわさずに、5歳児の描いた世界を素直に日本語に置き換えてみたつもり。
わたしが気に入ったのは、お日様がお月様に変わるところ。交代するんじゃなくて、夜の姿になるっていうイメージなのかな。月の光の中で月の夢を見るっていうのも、ロマンチックでいいね。そして、朝になって目覚めて、また新しい一日が始まる。ちゃんと起承転結になっている。
ちなみに、娘は4歳のときに自作の絵本を作ったのだけど、そのタイトルが、「Beauty in the Sky」だった。雨とか虹とかが出てくるお話である。
4歳でこの語感。湧き出すアイデアと言葉たち。
娘にはもの書きの素質があるんじゃないかと、わたしは密かに注目している。
…親ばかですかね。親ばかですね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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