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武田一義著 ペリリュー 楽園のゲルニカ

水木しげるの戦記ものを読んでいて、リアルではあるものの、どうも心の奥底で物足りなさを覚えていた
そんなとき、この丸っこい三頭身の主人公を見て、ちょっと茶化しているのかなとか、どうかなと思いつつ、手に取った
著者も戦後生まれだし、マンガの感じの通り、リアルさに欠けるのではないかと懸念していたが、読みだしてびっくりした
確か全12巻だったか13巻だったか出版されている、ここでは、多分差し支えないであろうところを紹介しよう
ペリリュー島は、日米の激戦地であり、日本兵1万人余りのほとんどが戦死した島でアメリカ軍もそれ相当の戦死・戦傷者を出したと言われている
著者を中心にこの激戦の模様を丹念に取材し、再構成したと書かれている、そして、この本で非常に感動したのは、取材対象が当時の上官から兵士まで数多くいたということによるものであった、兵としての悲惨さを一方的に描くだけではなく、司令官とその司令官の薫陶を受けた、上官が描かれているところだ
戦争の命令を受けた時にその司令官は、どのような思いで命令し、部下がついていったのか、その点を垣間見る思いがしたのだ
水木しげるさんの戦記ものをはじめ、多く素晴らしい作品であったけれど、そう、戦後も敗軍の将が語ってくれないので、どのような思いで命令したのか、どう考えたのか、どうして、どうしてと思うことが多かったが、その一部を観ることが出来た
私が読んだのは、やっと敗戦を迎えて、さてどうなるかという所までだ、数十名しか残らなかったとのことであり、もって冥福を祈るものである

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