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ジャービルが噛む?


なぜ噛むのか

ねずみらぼではジャービルはとても温厚で噛むことの少ない生き物として紹介しています。
しかし著者の元には「家で飼っているジャービルが流血するほど噛む」との相談がたまに寄せられます。
相手を本気で噛むということは、同じく自分もやり返される危険を覚悟しての行動ですので、それなりの理由があるはずです。
こちらの記事ではジャービルが人間を噛む例の中でも、ついて解説します。

飼育環境が適切でない

ケージが狭い、明るすぎる、温度や湿度が不適切、他の動物が同じ部屋にいる、床材の量が不十分、身を隠し休息をとれる場所がない、餌の栄養バランスが悪い、餌の量や水が足りていない、齧ったり掘ったりといった要求を満足させられていないなど。
不適切な環境下では精神的にも不安定になります。
まずは基本的な飼育環境を見直し、ジャービルが心身ともに健康な状態で、安心して生活できるような環境を整えます。

ペットショップで飼育方法はハムスターと同じ、などと説明され鵜呑みにしていると、知らず知らずのうちにジャービルに過大なストレスを与えてしまっているかもしれません。

扱い方の問題

・触れ合い方
野生下では捕食される側の動物であるジャービルは、上から掴まれたり、身体を拘束されることを嫌います。
急に掴んで持ち上げたり、しっぽを掴んだり、無理やり押さえつけたりすると嫌がって噛むことがあります。
驚かせないよう人間の手を認識させてから触るようにし、持ち上げるときは下からそっとすくい上げるようにします。
投薬の時のためなど、ある程度保定されることに慣れておいてもらう必要はありますが、無理は厳禁です。
また、スタンピングをしているのは周囲を警戒しているときなので、スタンピング中は急に目の前に手を出さないようにしましょう。
寝ているときや食事中などジャービルが嫌がるときは邪魔をしてはいけません。

・複数人で世話をしている場合
ジャービルはにおいや声で人間を判別しています。
家族など複数人で世話をしている場合、ジャービルが好きな人間、嫌いな人間とで態度を変えることがあるようです。
家族内で自分だけが噛まれるといった場合は、今までジャービルが嫌がることをしなかったか確認し、信頼関係の修復が必要です。

・手のにおい
食べ物のにおいが指に付いていると間違って噛まれることがあります。
特にミルワームやコオロギなど生餌のにおいには反応しやすいので注意します。
また、他のケージのジャービルや、他の動物を触った後ににおいが付いていると攻撃対象として本気で噛み付いてくることがあります。
ハンドクリームやせっけんなど普段の飼い主のにおいと違う場合、確認のために歯を当ててくることがあります。

・縄張りを荒らす侵入者だと思われている
ケージ内でそっと手を差し伸べただけなのに…」という方の子に多いパターン。
ジャービルは群れの仲間には愛情深く友好的ですが、本来縄張り意識がとても強く侵入者や敵には攻撃的になる動物です。
人の手に嫌な思い出のある個体や、特別縄張り意識が強い個体などは、ケージ内に入ってきた人間の手を敵とみなしている可能性があります。(この傾向はとくに繁殖適齢期のメスに多くみられます)
ジャービルが見ている前で床材の交換などをしていると巣を荒らされているとさらに勘違いされてしまうので、こういった個体のケージ掃除の際はプラケースなどにあらかじめ移動させておきます。
改善していくには、手から好物を頻繁に与えたり、根気よく人の手が敵ではないと理解してもらう必要があります。

体調不良

ある日突然噛むようになった、突然攻撃的になった場合は体調が悪いことが考えられます。
ジャービルは自分の具合が悪いことを本能的に隠そうとしますので、外見では分からないかもしれません。
特に身体に痛みがある場合は触られることを極端に嫌がるようになります。餌や水の摂取量、排泄物の状態など他にも変化がないか確認し、必要があれば早急に獣医師の診断を受けましょう。

生まれつきの気質、生育環境

・遺伝による気質
ジャービルの性格は両親から子へ引き継がれます。
ジャービルも元々の性格はそれぞれ個性があります。
繁殖者は特に社交的でペットとしての気質に優れた個体を厳選して育種に励むべきですが、残念ながら日本で流通しているジャービルの多くは気質を重視した育種が行われていません。そのため一般の飼育者がショップで出会うジャービルの気質には大きくばらつきがあり、攻撃的な個体に出会ってしまう可能性があります。

・親から離す時期が早すぎた場合
ジャービルの子供は最低でも6週齢、できれば8週齢までは両親と共に過ごさせることが推奨されています。
4週齢から親と同じ固形物を食べ始め離乳はしますが、健全な身体と精神的な発育、社会化のためにはその後の期間が非常に大切です。
一般的に日本のペットショップの店頭にいるジャービル達の多くは幼体が海外から輸入され、問屋などを経由し、長い距離を何度も移動してやっと店頭にたどり着いています。国内の繁殖業者であっても幼い時期に親から離します。このような個体は精神的な発育が不十分で、社交性に問題があったり、神経質な気質になりやすいといわれています。
さらに、店頭で複数匹ではなく1匹で飼育されていた場合この傾向は顕著になります。

気質に問題のある個体への対応

上記のように気質に問題を抱えたジャービルは、新しい環境下で心を開いてくれるまで少し時間がかかるかもしれません。
まずは適切な飼育環境を用意し、環境に慣れたら徐々に手からおやつを与えたり手のにおいをかがせ、恐怖心や警戒心を根気よく解いていきます。
少なくとも、むやみに本気で噛んでくるようなことは無くなるはずです。

ただし、生まれ持った攻撃性があまりにも強い個体、毎度流血するような噛み付き方をしてくる個体の場合は、進展が見られずお互いのストレスとなることがあります。
この場合は無理をせず、直接触れ合わずに済む間接的なお世話の方法に切り替えましょう。

注意事項

他の動物種の噛み癖の古典的な矯正法として、噛んできた際に顔に息を吹きかけるという方法をご存じの方も多いかと思いますが、この方法はあらかじめ信頼関係が出来ていることを前提とした甘噛みの矯正法であるため、上記のジャービルの例では逆効果となります。
また、ジャービル特有のてんかん発作を引起こすトリガーとなるため、顔に息を吹きかけてはいけません。


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