鐘古こよみ

カクヨムで小説を書いています。https://kakuyomu.jp/users/ka…

鐘古こよみ

カクヨムで小説を書いています。https://kakuyomu.jp/users/kanekoyomi ジャンルをまたいでいろいろ書く雑食性創作者。 noteでは絵本の紹介などしていましたが、創作大賞2024にも参加します。 よろしくお願いします♪

マガジン

  • 石炭とブランデー

    恋愛ファンタジー小説です。全11話で完結済み。現代ドイツを舞台に、魔女とクランプスの恋模様を描きます。

最近の記事

Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ⑧『バーバ・ヤガー』

こんにちは、鐘古こよみです! 私の好きな絵本の中でも、創作する人に特にお薦め! のポイントがある絵本を、のんびり紹介しています♪ 第八回はロシアの民話『バーバ・ヤガー』をご紹介。 森に住む魔女に子供がさらわれる定番のお話なのですが、この魔女、いろいろと設定が定番じゃないんです……! <基本情報> タイトル:『バーバ・ヤガー』 作:アーネスト・スモール 絵:ブレア・レント 訳: 小玉知子 出版社: 童話館出版 <あらすじ> 母さんにカブを買ってくるよう頼まれたマルーシャ

    • Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ⑦『ダニエルのふしぎな絵』

      絵を描くのは好きですか? 空想遊びは好きですか? どちらも好き! という方に、今回の絵本は、特にお薦めかもしれません。第七回は、何を描いても不思議な絵になってしまう少女のお話、『ダニエルのふしぎな絵』をご紹介します♪ <基本情報> タイトル:『ダニエルのふしぎな絵』 作:バーバラ・マクリントック 訳:福本友美子 出版社: ほるぷ出版 ※現在、絶版です <あらすじ> ダニエルは絵を描くのが好きな女の子。 カメラマンのお父さんと、二人っきりで暮らしています。 ダニエルが

      • 「石炭とブランデー」第11話

        第10話 11・石炭とブランデー  目が覚めるとすっかり明るくなっていた。  恐る恐る身を起こす。昨日の服のままベッドに寝ていた。 「あれ……?」  頭を抱える。私は夕べ、ブランデーを飲んで幼い頃の記憶を取り戻し、混乱したままユルゲンに電話をかけたはずだ。彼は『すぐ行く』と言って……。 「あの、ユルゲン来た? いつも来ていたクランプスよ」  傍らでコロコロしているヤドリギたちに訊くと、三体ともポンポン跳ねたけれど、「来た!」なのか「来てない!」なのかは微妙なところだ。

        • 「石炭とブランデー」第10話

          第9話 10・再会  目を開けると、木の梁が剥き出しの見慣れた天井が見えた。  視界がぼやける。溢れた涙が耳の辺りに次々と零れ落ちる。  ユルゲン。  少し前に、その名をどこかで目にした。  頭がぼんやりして、立ち上がるとふらついた。  ローテーブルに足をぶつけながら玄関前へ行き、フックに掛けてあるコートのポケットから、くしゃくしゃに握り潰された紙きれを取り出す。  手帳の切れ端だ。  電話番号の下に、名前が走り書きしてあった。  Jürgen Eckhart。

        Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ⑧『バーバ・ヤガー』

        マガジン

        • 石炭とブランデー
          11本

        記事

          「石炭とブランデー」第9話

          第8話 9・記憶  仕事をした方が気が紛れるので、それからの一ヶ月は、仕事ばかりしていた。  私の好きなクランプスに奥様がいたことを知ってから、という意味だ。   やることは山ほどある。古い森での魔女の暮らしは、全てを文明の利器に頼ると言うわけにいかないので、探せば探すほどやるべきことが見つかるのだ。  精霊たちの力を借りて屋根の苔と泥を落とし、外壁や窓を磨いて、歪んだ木扉は自分で工具を持ち出して直した。竈と暖炉の煤を落とし、薪もたっぷり用意した。  カーテンやマット

          「石炭とブランデー」第9話

          「石炭とブランデー」第8話

          第7話 8・追憶<おまじないと別れ>      ◆  十五歳の誕生日。  今年も彼に会えると思うとドキドキして、数日前から眠れなくなった。  何を話そう。どんな服を着よう。何を訊いたら、たくさん答えてくれるかな。  何かをあげるのは掟に反すると知ったから、物じゃないプレゼントを考えた。  ……幸運のおまじない?  はい。かけてもいいですか? 精霊の加護が得られるおまじないです!    見上げる私の瞳はたぶん、満天の星空よりもきらきらしていたに違いない。  すぐ終わるな

          「石炭とブランデー」第8話

          「石炭とブランデー」第7話

          第6話 7・衝撃  ブランデーの仕込みや発送をしているうち、あっという間に一ヶ月が過ぎた。  今日はまたフランクフルト・アム・マインへ行き、用事を二つ済ませる予定。  一つ目、精霊文化支援センターで成人を迎える魔女向けの面談を受ける。  二つ目、ゲーテ大学の無料講座へ遅刻して行き、クランプス全体へのファンレターを届けてもらえるかどうか、例の助手さん、エックハルト氏に回答を聞く。  精霊文化支援センターの入っている建物は、フランクフルト随一の観光スポット、レーマー広場の

          「石炭とブランデー」第7話

          「石炭とブランデー」第6話

          第5話 6・追憶<反省文>      ◆  クランプスを怪我させた後、私は、すごく反省していた。  もう二度と、あんな迷惑はかけないと心に決めていた。  その気持ちを、どうにかして彼に伝えたい。  そこで手紙を書いた。  十三歳の誕生日、魔獣の姿が見えても家の中から飛び出したりせず、ノックされるのを待ってから、私はおずおずと扉を開けた。  クランプスの折れた角がちゃんと治っていたので、ひとまず胸を撫でおろす。  ……具合でも悪いのか。やけに大人しいな。  訝しげな

          「石炭とブランデー」第6話

          「石炭とブランデー」第5話

          第4話 5・薬局にて  大きな町へ出てきた時、私はいつも森の家へ帰る前に、魔女商品の売れ行きを確認しておくことにしている。  大学を出て賑やかな大通りから脇道に逸れると、辺りは急に静かになった。  Aのアルファベートと蛇が絡みついた杯のマークの組み合わせを見つけ、ガラス扉を押し開ける。処方箋を取り扱う調剤薬局だ。  ドイツは薬局の歴史が古くて、世界で一番薬品の管理が厳しいと言われているらしい。フランクフルトのような大都会にも、地元に馴染んだ昔ながらの調剤薬局があちこちに

          「石炭とブランデー」第5話

          「石炭とブランデー」第4話

          第3話 4・追憶<邪霊>      ◆  十歳になると、私は魔女として急激に成長し始めた。  魔女の魔法のほとんどは、精霊が豊富な古い森の中でしか使えない。  せっかく魔法を覚えても誰かに見せる機会があまりないので、ちょっとつまらない気持ちだった私は、クランプスが来る日はここぞとばかりに張り切った。    窓から魔獣の姿を確認するなり、寝間着姿に裸足で雪の上へ躍り出る。靴は嫌いだし、暖炉の精にぬくもりを貸してもらっていたから、ちっとも寒くないのだ。  黒玉を交換するま

          「石炭とブランデー」第4話

          「石炭とブランデー」第3話

          第2話 3・助手 「クランプスに会う方法?」  私がしわくちゃのコピー用紙に書いた字を見て、助手さんは驚きの声を上げる。  なんだか少し恥ずかしくなったけれど、知らない人だし別にいいやと開き直って、私は「ええ」と頷いた。 「なぜそんなことを。身内の方にクランプスの兆候でもあるんですか?」 「いいえ、お礼を言いたいんです。お世話になったから」 「お世話に?」  不思議そうに問い返されて、うっかり口を滑らせたことに気付いた。本物のクランプスにお世話になるなんて、普通の人

          「石炭とブランデー」第3話

          「石炭とブランデー」第2話

          第1話 2・追憶<初対面>      ◆  最初にクランプスがやって来たのは、私が七歳の時だった。   お師様の魔法で真夜中に叩き起こされ、目を擦りながら階段を降りると、玄関の外に知らない人影が立っていたのだ。  普通の人間じゃない。二本の太い角の生えた悪魔みたいな仮面を被って、肩には毛皮のマントを斜めに引っ掛けている。  クランプスよ、とお師様が簡単な紹介をした。  去年、死にかけのあんたを拾ってここに連れてきた奴。これから毎年この日に来るから、一応覚えときなさい

          「石炭とブランデー」第2話

          「石炭とブランデー」第1話(全11話)

          1・階段教室  三つ揃えのスーツを着こなした初老の教授が手振りを交え、自分の声が届いているか聴衆に確認しながら、階段教室の底を行ったり来たりしている。  ドイツの精霊文化を研究している高名な学者だそうだ。彼が市民向けの無料講座を開くと知って、私はフランクフルト・アム・マインのゲーテ大学を訪れていた。  講義のテーマは「クリスマス」。 「ドイツ各地の古い森に、今でも魔女が住んでいることは、皆さんもご存知の通りだと思う。キリスト教伝播以前から存在した、精霊文化を受け継ぐ者たち

          「石炭とブランデー」第1話(全11話)

          Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ⑥家にいながら世界旅行!『こんな家にすんでたらー世界の家の絵本ー』

          こんにちは、鐘古こよみです。 随分と暑くなってきましたね! 気付けば春休みも終わり、GWが近付いて参りました。 旅行でもしたいけれど、混んでいる場所へ行くのは嫌だし……。 そんな気持ちでいるあなたに、家にいながら世界旅行が楽しめちゃう絵本をご紹介♪ 第六回目は、『こんな家にすんでたら―世界の家の絵本ー』という絵本です。もちろん、創作をする人に、ものすごくお勧めですよ^^ ※書影や内容紹介が出版社の公式HPで見当たらなかったので、今回は引用ナシです。ペーパークラフトを使っ

          Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ⑥家にいながら世界旅行!『こんな家にすんでたらー世界の家の絵本ー』

          Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ⑤森のおくから むかし、カナダであった ほんとうのはなし

          こんにちは、鐘古こよみです。 創作する人にこそ読んでいただきたい、そんな絵本をご紹介! 第五回目は、『森のおくから むかしカナダであったほんとうのはなし』。 第64回(2018年度)青少年読書感想文全国コンクールの、3・4年生の部の課題図書になっていたみたいです。 ※書影や内容紹介は、各出版社の利用ガイドに則って、使用可の場合のみ引用させていただいています。 <あらすじ> これは、いまから100年ほど前、カナダでほんとうにあった話。 もうじき5歳のアントニオは、深い森

          Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ⑤森のおくから むかし、カナダであった ほんとうのはなし

          Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ④舌ながばあさん

          こんにちは、鐘古こよみです。 学校や図書館で読み聞かせのボランティアをし、たくさんの絵本に触れてきました。 数ある素敵な作品の中でも特に、創作する人にこそ読んでいただきたい! そんな絵本の紹介をしていきます。 第四回目は、『舌ながばあさん』のご紹介。 書影やあらすじの引用が不可だったので、今回は引用ナシです。ご興味ある方はぜひ、タイトルを検索してみてくださいね♪ <基本情報> タイトル:『舌ながばあさん』 著者:武 建華  編集:千葉幹夫 発売日:2001.02.23

          Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ④舌ながばあさん