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ふぉれすとどわあふ 赤い宝石の主

おふたかたのストーリーを踏まえ?まして…

***

ミユが生まれたとき、母は難産だった。
それもそのはず、ミユは大きな赤い宝石を胸に抱いていたのだ。
誕生祝いにおとずれた魔女がそれをひとめ見て、泡を吹いて腰を抜かした。
「これはまちがいなく、500年にいちど姿を現すとされる『救世石』じゃ」

肌身離さず慎重に扱うようにと命じられ、ミユは幼少の頃から今に至るまで、宝石をポシェットに入れて持ち歩いていた。
正直、かさばってじゃまなので気乗りしなかった。
が、転んで膝をすりむいても秒で傷が癒えたり、矢を射かけられても不自然に軌道が変わったりと、その石は不思議な魔力をいかんなく発揮していた。

ルビーを求めてあらゆる種族が戦をしかけてくることにうんざりしたミユは、聡明なカラスさんちの三兄弟に相談しにいった。

「そんなんカンタンやん」とサンさん。
「そやそや。森のはずれに行ってみ?」とバンさん。
「ながあい棒が2本、土に埋められとるから、その上に石を置いとくんや」
とバサさん。
「ちょっと待っとってみ?」とサンさん。
「なんや大声上げて、ガーッとすべってくるわ」とバンさん。
「センロを走るデンシャっちゅーやつが、粉々にしてくれるで」とバサさん。

ミユは言われたとおりにし、宝石はバラバラになった。
残さず拾い集め、すべてを首飾りに仕立てた。
「なんで首飾り?」と姉のマサコは不思議そう。「まあ、服の下に隠せるけども」
「bちゃんに言われたんだ」
「bちゃんって?」
「Rubyのbちゃん」
昨夜、カラスさんちに行こうと決めたミユは、夢をみた。

『我を砕き、首飾りにせよ。そして、まわりの者に分け与えるのだ。欠片を飲み込めば、一生にいちどだけ願いが叶うであろう……知らんけど』
「…って」
「ふーん。石がねえ…お告げをしたわけか」とマサコ。
「おねえちゃんには、ふたつね」
「は?」
「渡したい人がいるでしょ?」
マサコはぐっと押し黙ってしまったのだった。


*宝石ネタがもしかぶってしまったら、スミマセン…
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