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尊敬できる女 555字

ある日、友達と「尊敬できる人間」について語りあった。
わたしには、どうしても挙げねばならぬポイントがあった。
「ラジオ体操第二を踊りきれる人」
友人はうなずく。
「第一はヨユーだけどな。って踊りか?あれ」

「あと、これもはずせない。腹八分ができる人」
「わかる。満腹になんないと満足できないよね」
「ペンまわしの達人」
「あれは特訓が必要らしい」
「初対面のわんこをなでられる」
「ガブッとこられそうだよな」

昨日、突如としてドカ雪が降り、温暖な地に住むわれらは右往左往した。「雪道をヒールで歩く人。あれはなにげにスゴイ。体幹」
「天気予報見てないだけじゃ…」
一方的だったことに気づき、わたしは友達にエアマイクを渡す。

***

「んー、あ。悪口を言わない人」
「うん、それは大事。陰口言う人は信用できない」
「人の失敗をさりげなくフォローする」
「うんうん。できた人だね」
「聞き上手」
「うんうん。うれしいよね」

日々のちいさなしあわせに気づいて、機嫌よく過ごせる人。
「おお。世界平和」
「…僕をいつも笑わせてくれる」

そこで、彼はわたしをじっと見た。
お笑いが好きなんだっけ?と聞いてみても、どうもはっきりしない。
今言った条件をすべて満たす人を、彼は尊敬し大事に思っているそうだ。
なんだか実在の人物みたいに言うんだなと、わたしは首をかしげた。

(おわり)

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